こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
今日はアメリカ不動産投資家が注目すべき興味深いトピック
「家賃設定アルゴリズムを巡る米国での大型訴訟」
について触れておきたいと思います。
米司法省と9つの州の司法長官が、大手賃貸管理会社と不動産管理ソフトウェア企業であるRealPageを提訴しました。
この訴訟の中心にあるのは「YieldStar」という家賃設定アルゴリズムです。
YieldStarは周辺物件の家賃データを分析し、収益を最大化する価格を提示する仕組みで、賃貸市場における効率化を目的としています。
けれども今回の訴訟で指摘されているのは、このアルゴリズムが単なる価格の自動化に留まらず、実質的な「カルテル」として機能し、複数の企業間で家賃の同時値上げを誘発していたという点です。
実際、アリゾナ州のフェニックスやツーソンでは、この2年間で家賃が30%以上も急上昇しました。
その原因の一部として、この「アルゴリズム共謀」が指摘されています。
米国ではすでにアリゾナ州、コロラド州、ニュージャージー州を含む複数の地域で家賃高騰による住宅問題が深刻化しており、この訴訟が成功すれば、市場全体の家賃設定方法が大きく見直される可能性があります。
また訴訟の対象となった企業には、Greystar、Camden Property Trust、Cortland、LivCor、Cushman & Wakefieldなど、不動産業界では非常に有名な企業が名を連ねています。
ということは、私たち不動産投資家にとってもこの動向は決して他人事ではありません。
なぜなら、この訴訟による判決次第では家賃設定に関する規制が厳しくなり、現在使用している家賃設定の仕組みを見直す必要が出てくる可能性があるからです。
不動産投資を行う上で適正な家賃設定は重要な要素であり、市場競争が自由であることが前提です。
今回の訴訟をきっかけに市場の透明性が高まり、投資家にとっても公正な競争環境が整うことが期待される一方で、アルゴリズムが家賃を決定する仕組みに頼っている投資家や管理会社は今後の動きを注視する必要があると思います。
今回の場合、学べることは次のとおりです。
- 家賃設定アルゴリズムを利用する場合は法的なリスクを十分認識し、適正競争を意識した運用を行うこと。
- 訴訟の動向をリアルタイムで把握し、市場環境の変化に柔軟に対応できる体制を整えること。
。。。
不動産投資家としても今後の訴訟の進展を見守りながら、市場の健全性を保つための意識改革が求められることになります。
今回のケースは単なる法律問題を超え、アメリカ賃貸市場の透明性向上や適正競争環境整備への大きな一歩になるかもしれません。
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