こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
最近、モンタナ州での不動産投資に大きな変化が訪れています。
その要因は、新たに施行された州の固定資産税制度改革です。
今回の改革により、州外の投資家が所有するセカンドホームや短期賃貸物件にかかる固定資産税率が大幅に引き上げられることになりました。
具体的には、これまで一律の税率だった制度が見直され、セカンドホームや短期賃貸物件には資産価値の全額に対して一律1.9%の税率が適用されることになるのでうs。
このことはモンタナ州の不動産をセカンドホームや投資目的で所有する州外の投資家にとって、大きな税負担増を意味します。
その一方で、モンタナ州に居住する住民が所有する住宅に対しては税率が大幅に軽減されるようです。
例えば、州の住宅価格中央値(約34万ドル)以下の一次居住用物件は0.76%の税率となり、それを超える分については段階的に税率が引き上げられ、資産価値が4倍(約136万ドル)を超える分に対しては最高税率1.9%が適用されます。
この税制改革の背景には、モンタナ州の不動産価格が急騰し、州外からの投資家が増えたことで地元住民の税負担が相対的に増加している現状にあります。
特に、パンデミック中にカリフォルニア州などの高価格帯市場からリモートワーカーがモンタナ州に押し寄せ、別荘や高級住宅を多数購入したことが影響していると見られているのです。
2021年には、なんとモンタナ州での住宅販売の約20%がセカンドホームとして購入され、州外所有者の不動産価値が全体の5%を超える約95億ドルに達しました。
けれどもこれらの州外所有者が納める固定資産税は全体のわずか3.54%にとどまり、州の税収構造に大きな不均衡を生んでいたといいます。
この改革により、州外所有者に公平な負担を求めることで、地元住民の税負担軽減と財政バランスの是正を目指しているというわけです。
ただし、この改革にはリスクもあります。
税率引き上げが州外の富裕層にとって魅力を損ね、将来的な投資が他州へ流れる可能性があることです。
実際に、アイダホ州、コロラド州、ワイオミング州など、周辺州への投資が増加する懸念もあります。
また、税負担のシフトにより一部の地方自治体は一時的に財政的恩恵を受ける可能性がある一方、長期的には税収構造が不安定になる恐れも指摘されています。
モンタナ州の今回の取り組みは他州からも注目されており、特に州外投資家からの需要が高い地域では同様の政策が検討されるかもしれません。
この政策の成功は「税負担のシフト」ではなく、「構造的な税制改革」としての実効性を持つかどうかにかかっています。
モンタナ州でのこの新しい税制度が、今後のアメリカ不動産市場全体にどのような影響を与えるのか、注目が集まるのはこれからです。
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