こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
最近話題となっている「ホームエクイティ・ボンド(Home Equity Bond)」の急増について解説します。
現在、アメリカでは住宅ローン金利が高止まりしています。
2025年6月の時点で30年固定金利は6.85%を記録し、専門家の間でも大きな下落はしばらく望めないとの見解が一般的です。
かくして住宅購入がますます難しくなったことで、家の買い替えやリファイナンス(借り換え)を諦め、代わりに自宅の「ホームエクイティ(住宅の純資産)」を活用するケースが増えています。
具体的には、HELOC(ホームエクイティラインオブクレジット)やホームエクイティローンなどを利用する方が増加しているのです。
HELOCやホームエクイティローンとは、自宅の純資産を担保として現金を借りる仕組みです。
これまでこれらは「最後の手段」と見なされることが多かったですが、最近の住宅ローン金利より相対的に低い金利で借りられるため、注目を浴びています。
HELOCは必要な時に必要な金額を引き出せる柔軟性が特徴ですが、金利が変動制のため返済額が予測しづらく、返済が滞れば家を失うリスクもあります。
その一方でホームエクイティローンは固定金利で一括して現金を受け取るため、毎月の返済額が予測しやすいメリットがありますが、同じく返済ができなければ自宅を失うリスクがあります。
こうした流れを受け、ウォール街ではこれらのローンを束ねた「ホームエクイティ・ボンド」を新たな投資商品として販売しているのです。
ホームエクイティ契約(HEIs)のリターンの具体例を分かりやすく挙げてみましょう。
例えば、自宅の価値が現在50万ドルだとします。
HEIを利用して、企業から5万ドルの資金を受け取るとします。
契約では、「10年後に住宅を売却する際、その時点での住宅価値の一定割合(例えば20%)を返済する」と決められています。
もし10年後、自宅の価値が70万ドルに上昇していた場合:
- 返済する金額は 70万ドルの20%、つまり14万ドルとなります。
この場合、企業のリターンは「14万ドル-5万ドル=9万ドル」となり、投資額の180%の利益を得たことになります。
一方、自宅の価値が10年後に45万ドルに下落していた場合:
- 返済する金額は45万ドルの20%、つまり9万ドルとなります。
企業のリターンは「9万ドル-5万ドル=4万ドル」となり、投資額の80%の利益を得ますが、住宅価値が下落したことで当初期待より利益が減少します。
このようにHEIsは住宅価格の変動に敏感で、市場が好調であれば企業にとって高いリターンをもたらしますが、市場が低迷すればその利益は限定的となります。
何よりも、借り手からすると相当な返済が必要になることが分かります。
「別に自分のお財布が傷むわけではない」
といえばそうなのですが、返済額だけを見ると相当なものです。
そして現在、アメリカ全土で活用可能なホームエクイティ総額はなんと35兆ドルにも上ります。
これはかつてのサブプライム住宅ローンを証券化した仕組みと似ていますが、今回は主に信用力の高い借り手が中心となっており、当時よりも安全性が高いと言われています。
とはいえ、不動産価格の下落や失業率の上昇が長期化すれば、一定のリスクが残ることも無視できません。
さらに最近注目されるのが「ホームエクイティ契約(HEIs)」という新たな金融商品です。
これは企業が住宅所有者に一括で資金を提供し、その代わりに将来一定期間後の住宅価値に連動した金額を返済する仕組みです。
HEIsは特に信用スコアが低い借り手にも利用されているため、市場変動に弱く、2000年代初頭の金融危機時の変動金利型ローンに類似したリスクを内包しています。
不動産投資家としてこのトレンドをどう見るべきでしょうか。
まず、投資対象としては魅力的な面があります。
住宅価値の上昇や低いデフォルト率を背景に、比較的高い利回りが期待できる点です。
ただし、市場変動リスクは決してゼロではありません。
投資を検討する際には、商品の仕組みを十分に理解し、ホームエクイティ市場の動向を慎重に見極める必要があります。
ま、実際にホームエクイティを活用して資金調達を考えている場合は、リスクをしっかり認識し返済計画を堅実に立てることが重要です。
ホームエクイティ市場のトレンドは今後も続きそうですが、不動産市場や経済状況の変化に敏感に対応していくことが求められるのではないでしょうか。
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