こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
不動産投資をするうえで経済動向は非常に重要ですが、ここ最近のアメリカ経済指標には興味深い変化が見られますので、本日はその内容を詳しく解説していきます。
まず最も注目すべきポイントは、5月の消費者物価指数(CPI)が予想を下回る伸びだったことです。
エネルギー価格の低下が他の商品の価格上昇を部分的に相殺した結果、CPIは前年同月比で2.4%の上昇にとどまりました。
エネルギーや食品を除いたコアCPIも2.8%で、市場予想の2.9%よりやや低い水準となっています。
これによりインフレ圧力が弱まったことで、住宅ローン金利が1カ月ぶりの低水準となりました。
具体的には、30年固定金利が前週比0.08%低下し、投資家にとっても今までと比べると若干借り入れがしやすい環境となっています。
特に住宅ローン金利が低下すると不動産市場への参入障壁が下がり、需要増加が期待できるため、投資物件を購入検討中の方にとっては頃合いではないでしょうか。
そしてスモールビジネスの楽観指数が5か月ぶりに改善しました。
NFIBスモールビジネス楽観指数は5月に3ポイント上昇の98.8を記録し、51年間の平均値を再び超えました。
この要因は主に米中貿易摩擦の緩和によるもので、特に景況感が改善すると企業は設備投資や雇用を拡大しやすくなります。
これにより商業不動産への需要も高まる可能性があり、投資家にとって新たな収益チャンスとなると思われます。
その一方で商品在庫が不足していると回答した経営者の割合も増えているため、今後商品価格の上昇が予想されます。
住宅市場では建材や内装品の価格上昇につながる可能性もあり、修繕やリノベーションを考える際は予算管理に注意が必要です。
また、労働市場に対する消費者の悲観的な見方が改善しています。
ニューヨーク連銀が実施した調査によれば、12カ月以内の失業リスクを感じる消費者の割合は14.8%へと低下しました。
また、もし失業したとしても3カ月以内に再就職できると考える消費者が増えています。
雇用安定は住宅ローン返済能力を高め、差し押さえリスクを低減させるため、投資家にとっても良い兆候です。
実際に、米国全体の住宅差し押さえ件数は前月比1.5%減少しました。
ちなみにカリフォルニア州でも差し押さえ率が13番目に高いものの、大きな増加は見込まれていません。
住宅価格が高水準で維持されている一方で、労働市場が堅調であることが主な理由です。
ただし、注意すべき点もあります。
地政学的リスクの高まりや、夏場にかけて大手小売企業が商品価格の引き上げを示唆していることから、今後インフレ率が再び上昇する可能性があります。
何よりも米中貿易摩擦の影響は依然として残っており、不動産市場にも間接的に影響を及ぼすリスクがあります。
特に輸入建材の価格上昇や供給遅延には注意が必要です。
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かくして、全体的に見ると経済環境は改善の兆しを見せているものの、完全にリスクが消えたわけではありません。
住宅ローン金利の低下や労働市場の安定といったプラス要素がある一方で、商品価格の上昇や地政学的リスクなどのマイナス要素が依然として存在しています。
今の市況で投資を検討する方はこうした指標をバランスよく評価し、慎重に判断することが重要となりそうです。
不動産市場は常に経済環境と密接に関連しています。
今回のデータを踏まえ、かつ今後も経済指標や市場動向を注視しながら、適切なタイミングでの投資判断を継続していきましょう。
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