こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
今回は、家の売却時に「売れない家」になってしまう可能性のある床材について、アメリカの住宅市場専門チャンネル『HGTV』の専門家の意見をもとに見ていきましょう。
家を売る際に、売れ残りのリスクを高めてしまう意外な原因の一つに、「床材」の問題があります。
特に、柄入りのカーペットは要注意。
先日、『HGTV』の人気番組『Unsellable Houses』で、ホストのリンゼイ・ラムとレスリー・デイビスが取り上げたのは、2つの寝室に花柄のカーペットを敷いた住宅でした。
ラム曰く、特定の趣味を持つ人には魅力的かもしれませんが、一般的な買い手にとっては大きなマイナス要素なのだそうです。
では、なぜ柄入りカーペットは敬遠されるのでしょうか?
柄入りカーペットは個人的な好みや流行の過去形を反映するため、多くの買い手が「改装が必要」と感じてしまいます。
Lux Floor Decorのオーナーで床材の専門家、ユーリ・グラコフスキー氏によると、「現在の買い手はすぐに入居可能な家を求めており、古いカーペットを見ると即座に『リフォームが必要』という印象を抱いてしまう」との指摘。
また、壁から壁まで敷かれた全面カーペットは古臭さを感じさせるだけでなく、掃除やアレルギー問題も懸念されます。
特に、ミレニアル世代やZ世代の若い買い手は、カーペットを
「アレルゲンやペット臭、掃除の手間が多い」
と敬遠し、掃除が簡単で衛生的なハードフロアを好む傾向があります。
では、実際の買い手はどんな床材を求めているのでしょうか?
人気が高いのは、
- ハードウッド
- エンジニアードウッド
- ラグジュアリービニールプランク(LVP)
など、耐久性が高く見た目も美しい床材です。
特にLVPは防水性や耐傷性が高く、木材や石材のような高級感のある見た目を低価格(1平方フィートあたり2~5ドル)で実現できることから、近年急速に人気が高まっています。
ただし、カーペットが完全に不要というわけではありません。
寝室やクローゼット、仕上げ済みの地下室など、特定の場所には中間色で清潔なカーペットが適しています。
例えば、ベッドルームにソフトなグレーやトープ色の新しいカーペットを敷くと、心地よさと新鮮さを感じさせることができます。
その一方で、玄関やキッチン、リビングといった頻繁に人が通るエリアではカーペットは避けるべきです。
そしてカーペットの撤去費用と注意点についてですが、カーペット撤去の費用は1平方フィートあたり1~2ドル程度。
けれども撤去後にサブフロア(床下地)のダメージ(ペットの尿やカビ、水漏れ跡)が見つかることもあり、その修理には500〜2000ドルの追加費用がかかる可能性があります。
そこでカーペットがまだ比較的新しく、目立ったダメージがなければ、プロによるクリーニング(平均200〜400ドル)で済ませる選択肢もあります。
ただし8年以上経過したカーペットは汚れや摩耗が激しく、クリーニングでは満足な結果が得られないことが多いため、その場合は思い切って交換したほうがよい場合が多いものです。
床材を最新のLVPなどに交換すると平均的な住宅で3000〜6000ドルの投資となりますが、結果として住宅価格を1万〜1万5000ドルほど押し上げ、販売スピードも向上させる可能性があります。
特に他のエリアが既にリノベーション済みであれば古いカーペットは非常に目立つため、交換の効果が顕著になります。
地域による好みの差も見逃せず、フロリダやアリゾナなど高温多湿な地域ではタイルやLVPが圧倒的に人気です。
逆に北東部や中西部などの寒冷地では寝室や地下室、リビングにさえも断熱性や暖かさを重視してカーペットがまだ主流です。
こうした地域差を考慮し、買い手の期待に応える床材を選ぶことで家の売却を成功に導くことができます。
家を売却する際には購入の時点から床材の選定に十分注意し、地域特性と市場のトレンドを意識して戦略的にリフォームを行いましょう。
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