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持ち家が“税の罠”に?──広がるホームエクイティ課税の衝撃と改革の行方

持ち家が“税の罠”に?──広がるホームエクイティ課税の衝撃と改革の行方

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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。

近年、アメリカの住宅所有者は過去10年間の価格上昇と低金利の恩恵で、合計34.7兆ドルもの莫大なホームエクイティ(持ち家資産)を築いてきました。

この資産は、多くの家庭にとって

「いざという時に使える安心のクッション」

でした。

けれども今、この資産を取り崩そうとしたときには思わぬ壁が立ちはだかることになります。

それは「税金」です。

家を売ればキャピタルゲイン(譲渡益)課税、所有し続ければ上昇する固定資産税、子や孫へ譲れば贈与税や相続税。

いずれも制度が古く、しかも重複して負担を生み出すため「富裕層向け」のはずだった税制が、普通の長期所有者にも重くのしかかっています。

特にキャピタルゲインの非課税枠は1997年から据え置きです。

単身者は25万ドル、夫婦は50万ドルまでが非課税ですが、インフレを反映すれば本来は倍以上の水準になるはずです。

そのため、最近では家を売る一般家庭の約3分の1が非課税枠を超え、税金を払う羽目になっています。

2030年には、この割合が過半数に達すると予測されています。

こうした状況に対し、連邦議会では複数の改革案が動き出しました。

最も注目されているのは、ジョージア州選出のマージョリー・テイラー・グリーン下院議員が提出した「No Tax on Home Sales Act」です。

これは一次住宅の売却益に対するキャピタルゲイン課税を廃止する法案で、投資用や転売目的の物件は対象外です。

彼女はこの法案を「普通のアメリカ人への贈り物」と表現し、高齢者が税負担のために引っ越せない現状を打破すると訴えています。

トランプ大統領も支持を表明し、不動産業界団体NARも「公平性の問題」として歓迎。

市場に出回る物件が増え、住宅不足の緩和や高齢者の生活安定にもつながるという見方が広がっています。

まだ採決はされていませんが、賛同の輪は確実に広がり、一方ですでに成立した改革もあります。

まずはSALT(州・地方税)控除の上限引き上げ。

2017年の税制改革で導入された1万ドルの上限は、高税率州の住宅所有者にとって大きな痛手でした。

ニューヨークやニュージャージー、カリフォルニアなどでは、固定資産税だけで1万ドルを超える家庭が多数あり、他の州税控除はゼロという状況が続いていました。

しかし2025年からは「One Big Beautiful Bill Act」により、上限が4万ドルへ大幅アップ。

これにより高税率州のほぼ全ての家庭が控除枠内に収まり、税負担が大幅に軽くなります。

次に、贈与税・相続税の生涯非課税枠の恒久化。

これまでの制度では2026年に非課税枠が半減する予定でしたが、新法で現行の約1,399万ドルが維持されます。

さらに年間贈与の非課税額も1人あたり1.9万ドルまで可能に。

これにより、高額な不動産を次世代へ渡す際の計画が立てやすくなりました。

ただし税制は複雑なため専門家への相談は不可欠となります。

こうした改革は前進ではあるものの、本項の主題である「ホームエクイティ課税」にはまだ手が届いていなかったのです。

今や約3,000万世帯が非課税枠を超えており、10年後には5,900万世帯に達すると見込まれています。

持ち家が「資産」から「税負担」へと変わるリスクは、過去最大規模になりつつあるわけです。

もし前出の法案が成立すれば市場流動性が上がり、住宅不足の解消、高齢者の住み替え促進、そしてアメリカの住宅市場の健全化につながることが予想されます。

。。。

かくして、2025年は「家を持つことの意味」が再び問われる年になりそうです。

こうした流れを受け、アメリカ不動産業界も単なる売買仲介だけでなく、税制や資産計画まで含めた総合的なアドバイスがより求められる時代に突入しています。

興味のある方は、早めに現行制度での最適な選択肢を検討してみてください。

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