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74,000ドルの現実とアメリカ不動産の構造的課題

74,000ドルの現実とアメリカ不動産の構造的課題

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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。

今日は、「理想の年収=パーフェクトサラリー」がアメリカで家を購入できる条件にはならない現実について、触れておきたいと思います。

最近の調査によれば、多くのアメリカ人が「年収74,000ドルあれば幸せに暮らせる」と感じています。

けれども現実の不動産市場では、この金額で家を購入できる州はわずか2つしかありません。

理想と現実のギャップが非常に大きいのです。

その一方で収入が2倍の148,000ドルあっても、全米どこでも家を買えるわけではありません。

実際には「6桁(10万ドル以上)」必要と考える人は2割にも満たないのに、家を買うためにはそれ以上が必要になるケースがほとんどなのです。

なぜ現実はこれほど厳しいのでしょうか。

まず、数字で見てみましょう。

年収74,000ドルで20%の頭金を用意し、金利6.56%でローンを組むと買える家の価格は約285,000ドルが限界です。

けれども2025年7月の全米の中央値は439,450ドル。

差額は15万ドル以上です。

結果として、74,000ドルで買えるのは「ウェストバージニア州」と「ルイジアナ州」のみ。

その他48州では全く足りません。

ただし世帯で2人が「74,000ドル」を稼いでいれば37州で購入可能になります。

けれどもこの前提はかなり理想的で、共働きが前提、20%頭金を貯めていること、そして子育てや介護の負担がないことが条件です。

実際の生活では、そうスムーズにはいかないのが現実です。

さらに購入時の頭金だけでなく、保険料や固定資産税が重くのしかかります。

たとえばルイジアナ州ニューオーリンズでは23万1,000ドルの住宅に対して保険料が年間8,000ドルを超えるケースもあり、家の価値の約4%を毎年保険に支払う計算です。

またオハイオ州の一部地域では固定資産税の滞納率が18%に達し、3軒に1軒が滞納しているという深刻な状況です。

要するに家を買える年収があっても「持ち続けるコスト」に耐えられない人が多いのです。

それでは年収74,000ドル前後の人は家を買えないのかというと、必ずしもそうではありません。

中央値の家が買えなくても地方の安価なマーケットを狙う、郊外や小都市に視点を移す、あるいは頭金を増やしてローン負担を軽減するなど、戦略を工夫すれば道は残されています。

最近では「Assumable Mortgage(引き継ぎ可能ローン)」といって、売り主の低金利ローンをそのまま引き継げるケースも出ています。

これは金利上昇期には非常に有効な方法です。

またFHAやVAローンといった政府系ローンを活用することで、頭金を少なく抑える選択肢もあります。

結局のところ、多くのアメリカ人が望んでいるのは贅沢ではなく「安定」です。

けれども現実の住宅市場は、そのささやかな期待すら裏切っているのが現実。

「理想の年収」で生活はできても、家を買うには足りない。

そんな現実が多くの人を賃貸暮らしに留め、資産形成の機会を奪っているのです。

かくして、アメリカで自宅購入を検討するには「いくら稼ぐか」だけでなく、「どこに住むか」「どう買うか」という視点を持つことが、ますます大切になっていきそうです。

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