こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
10月中旬、フィラデルフィアで行われた講演で連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が
「雇用の鈍化が経済にリスクをもたらしている」
と発言しました。
この一言が示すのは、アメリカ経済がいまだ金利引き下げを必要としているという現実です。
FRBはすでに9月に今年初めての利下げを実施しましたが、今回の発言で「年内にあと2回の利下げが行われる可能性が高い」との見方を強めています。
パウエル議長は
「雇用とインフレの見通しは9月時点から大きく変わっていない」
と述べる中、今回の政府閉鎖によって経済データが一時的に途絶えている中でも、政策の方向性に変化はないとの示唆。
要するに、FRBは今後も慎重に金利を引き下げ、景気の減速を防ぐ姿勢を続けるということです。
一方で、議長は
「インフレ率は関税の影響を含めて2.9%に上昇している」
と認めつつも、
「広範囲な物価上昇圧力は見られない」
とのこと。
物価高の主因は関税などの一時的要因であり持続的なインフレとは異なるという見解ですが、FRBの関心は「インフレ抑制」から「雇用の維持」へと重心を移しつつあるようです。
実質的な経済界への影響は
この変化は住宅ローンや自動車ローン、事業融資などの金利が今後さらに下がる可能性を意味します。
最も有力な見方は、「次回のFOMC(10月28〜29日)で利下げが行われることは確実」との路線です。
さらに注目すべきは、FRBが6.6兆ドルに膨らんだバランスシートの縮小を停止する可能性を示唆している点です。
現在のところFRBは毎月約400億ドルの国債と住宅ローン担保証券を満期で償還し、再投資を行っていません。
けれどもパウエル議長は
「今後数か月で、そのプロセスを止める時期に近づく可能性がある」
と話しています。
もしこれが実現すれば、市場の長期金利がわずかに低下し、住宅ローン金利などもゆるやかに下がる可能性が出てくるのです。
その一方で、議長はパンデミック時にFRBが実施した大規模な資産購入についても弁明しています。
当時FRBは2020〜2021年にかけて、長期国債や住宅ローン担保証券を大量に購入し、長期金利を引き下げて景気を下支えする狙いがありました。
けれどもこの政策は後に厳しい批判を受けています。
批判の内容は
「資産購入が株価を押し上げ、富裕層の資産を増やす一方で、経済全体への恩恵は限定的だった」
というもの。
またインフレが2021年後半に急上昇した際にもFRBが緩和策を長く続けすぎた、との声もあります。
パウエル議長はこれに対し
「結果論として、資産購入をもう少し早く止めるべきだったかもしれない」
と認めつつ
「当時は景気下振れリスクに備える保険として必要な判断だった」
と説明。
要するにFRBの対応は過剰ではなく、当時の不確実性を考えれば合理的だったという立場です。
また、議長は
「たとえ資産購入を早く止めていても、コロナ禍のインフレ高騰を防げたとは限らない」
とも触れています。
これはそのとおりで、タラれば話は未来の役に立たない上、誰が当時の議長であったとしても結果はさほど変わらなかったのではないでしょうか。
。。。
かくしてアメリカ経済は依然として雇用の減速リスクを抱えており、FRBは慎重に舵を切りながらも、金融緩和を続ける姿勢を見せているようです。
私たち不動産投資家にとって大切は次の節目は、次回のFOMC(10月28〜29日)の結果です。
金利据え置きか利下げか、その瞬間を待ちましょう。
投資案件をメールマガジンで無料購読。
下記よりメールアドレスをご登録ください。