こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
クラフツマン住宅を所有している方にとって、今はまさに「売り時」です。
クラフツマン住宅とは20世紀初頭のアメリカで誕生した建築様式のことで、「職人の手作業(Craftsmanship)」による住宅のことを指します。
19世紀末の産業革命以降、機械による大量生産の住宅が増える中で、手作業による温かみと素材の美しさを取り戻そうという「アーツ・アンド・クラフツ運動」から生まれましたのが由来です。
その名の通り、「クラフト(工芸)」と「マン(人)」の精神が融合した家で、車では英国のベントレー車がこのクラフトマン系に入ります。
要するに、「職人の魂を感じる家」なのです。
このクラフツマン住宅が売り時である理由はシンプルで、この独特の建築様式が今、全国的に再び注目を集めているからです。
クラフツマン住宅の魅力は100年以上経っても色あせないデザインと、丁寧な職人技にあります。
天然木を活かした造り付け家具、梁をあらわにした天井、存在感のある暖炉、そして広々としたポーチ。
こうした要素が生み出す「ぬくもり」と「人の手の痕跡」が、現代の買い手にとって何よりの魅力になっています。
この「魂のこもった家」を求める動きは、広い意味での文化的変化とも関係しています。
最近は「多くを持つ」よりも、「良いものを長く使う」という価値観に人々がシフトしているというのです。
量より質。
トレンドよりも永続的な美しさを求める時代。
そうすると、その価値観にぴったりと合うのがクラフツマン住宅です。
リサーチによれば、クラフツマン住宅の価格は過去6年間で約43.7%上昇し、今年だけでも3.8%の値上がりを見せているとのこと。
全米の住宅価格中央値よりも約4万2千ドル高く、現在の中央値は46万7千ドル。
最も好調な建築スタイルは「ランチ型住宅」ですが、それに次ぐ伸びを見せているのがクラフツマンです。
特に高い需要を誇るのが、米国北西部と中西部。
オレゴン州ポートランドでは全リスティングの4%がクラフツマン住宅であり、デトロイトでも3.7%を占めています。
けれども最も多く流通している都市はアトランタ。
実に14.2%がクラフツマンスタイルという数字は、全米でトップです。
アトランタはニューサウスの中心地。
クラフツマン住宅には古き良き南部の精神が息づいており、現代の不安定な時代に心の安らぎを与える存在になっています。
興味深いことに、アトランタでは新築住宅の市場でもクラフツマン様式が増加傾向にあります。
市場在庫が多くなった今は、買い手にとっても有利なタイミングです。
その一方で、コネチカット州のモンローでは全く逆の現象が起きています。
クラフツマン住宅が市場に出ると複数の買い手が一斉に動き、激しい入札合戦になることが多いといいます。
買い手は予算を超えてでも手に入れようとし、契約条件を緩めてでも購入を急ぐそうです。
たとえばアトランタ東部の歴史地区カークウッドでは、1940年築のクラフツマン住宅が過去10年で50%以上値上がりしています。
現在の売り出し価格は52万ドルで、2015年の価格から51.6%上昇です。
売却を検討しているオーナーにとって大切なのは、「適正な価格設定」と「戦略的な演出」です。
相場(コンプ)も重要ですが、クラフツマン住宅は場所・オリジナリティ・状態の三拍子で価値が決まるため、適度に強気な価格設定は関心を引きつけ入札競争が起こりやすくなります。
そして売り出し前に少しの修復を加えることも効果的です。
木部の再研磨、オリジナル金具の磨き直し、当時の照明の復元など、小さな手入れが本物感を強調し、買い手の心を動かします。
また、住宅の「ストーリー」を伝えることも忘れてはいけません。
歴史ある家を選ぶ買い手は、その物語を求めています。
どんな大工が建てたのか、どんな家族が住んできたのか。
それを知ることで、価格に説得力が生まれるのです。
かつ販売時のマーケティングにも工夫が必要です。
本物志向の買い手を狙うためにはオリジナルのディテールを写真でしっかり見せ、建築様式の魅力を前面に押し出すこと。
さらに歴史地区や徒歩圏の立地を強調することで物件そのものだけでなく、暮らしのスタイルを売り出すことができます。
こうなるともはやクラフツマン住宅は、単なる不動産ではありません。
手仕事の温もり、木の香り、重厚な柱や梁が語る物語。
それらすべてが、現代社会で忘れられつつある「人間らしい豊かさ」を思い出させてくれます。
もしクラフツマン住宅を所有しているなら、今こそその価値を活かすタイミングと言えそうです。
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