こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
昨日に引き続き、連邦政府のシャットダウン終了から、住宅関連プログラム再開が市場に与える影響について考察してみたいと思います。
この数週間、住宅ローンの審査や保険更新が滞り多くの取引が保留状態になっていました。
不動産市場の20%近くを占める連邦関連業務がストップしていたことで、現場では確かな経済的影響が積み重なっていたのです。
けれども今回の政府再開により、この停滞が解消に向かいます。
何が起きていたのか、そしてこれからどうなるのかを、投資家目線で整理してみましょう。
まず、今回のシャットダウンが解除された背景には議会による暫定予算の成立があります。
上院では60対40で可決され、大統領の署名によって正式に政府の機能が再開しました。
これによりFHA、VA、USDAといった住宅ローンプログラムが再び稼働し、更新が止まっていた洪水保険(NFIP)の発行も再開されます。
現場のエージェントとして特に痛感したのは、FHAローン審査の停止が持つ影響の大きさです。
FHAローンは、初めて家を買う購入層にとって“最後の砦”と言えるローン商品であり、これが止まると手付け契約を済ませていた買主でもクロージングが完全に止まってしまいます。
USDAローンも同様で、地方都市の住宅購入に不可欠なローンですがこちらも審査が進まず、多くの家族が家を買ったのに引っ越せないという状況に陥っていました。
また今回の停止で最もヒヤリとしたのが、NFIP(洪水保険)の新規発行が止まっていたことです。
アメリカでは洪水被害リスクの高い地域の住宅購入では、NFIP保険加入が義務付けられています。
つまり洪水保険が発行されない=家の売買そのものが成立しない、という状態が続いていたわけです。
けれども今回の合意により、NFIPの権限は2026年1月30日まで延長されました。
これにより、洪水リスク区域での住宅取引はようやく正常化に向かいます。
ただし、ここからが本当のスタートです。
NAR(全米不動産協会)によれば、すでに6週間分のバックログ(審査の滞り)が積み重なっており、完全な通常運転に戻るまでには時間がかかります。
FHAローンやVAローンの審査には、それでなくとも時間が必要です。
そこに6週間分の積み残しが加わるわけなので、12月〜1月のクロージングには、依然として遅延リスクが残ると考えておくべきです。
その一方で市場にとって前向きな材料もあります。
今回の政府再開に向けてNARは全国規模で議会に働きかけを行い、影響を受けた取引の実例や経済損失データを積極的に共有してきました。
全米で600件以上のストップした取引の実例”が議会に届けられたことで、住宅市場がアメリカ経済の20%近くを占めているという事実が、改めて認識されることになりました。
議会との交渉は議長、少数党・多数党リーダー、銀行委員会議長など、極めて広い範囲に対して行われ、最終的に今回の再開につながりました。
不動産業界として声を上げることの意味を強く感じた数週間だったと言えます。
政府再開後のポイント
ここまでの流れを踏まえ、投資家として注意したいポイントを整理します。
まず一つは今後数週間のローン審査の遅れです。
特に投資物件をFHAやUSDAでは購入しませんが、マーケット全体のスピードが落ちることはオファー競争にも影響します。
二つ目は洪水保険の再開により、これまで止まっていた物件が一気に市場に戻ってくる可能性がある点です。
売り手が「売れる」と判断すればペンディングに戻る物件も増えますし、買い手側の行動も再開します。
三つ目は、政府関連プログラムの停止がもたらした消費者心理の冷え込み徐々に解消されるということです。
住宅市場は心理要因の影響が非常に大きいため、シャットダウン終了は買い手にとって大きな後押しになります。
。。。
かくして、アメリカ不動産市場も再び動く準備を始めています。
停滞していた数週間の反動で、年末に向けて取引が活発化する地域も出てくるはずです。
投資物件を購入するタイミングを検討している方は、この遅延からの回復局面は一つのチャンスになり得るかと思います。
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