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数字でわかる訴訟ファイナンスという投資

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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。

近年、アメリカの機関投資家や富裕層の間で静かに注目を集めている投資分野に「訴訟ファイナンス」があります。

これは株式や不動産とはまったく異なるロジックでリターンが生まれる、オルタナティブ投資の一種です。

とはいえ、この手のオルタナティブ系は日本ではまだ情報が少なく、仕組みが分かりにくい投資でもあります。

とりわけ、日本でも訴訟はひと昔前よりも相対的に数が増えているとはいえ、

「訴訟を投資対象にするなんて」

と感性的な抵抗感が多いかもしれません。

そこで今日は、訴訟ファイナンスとは何かを、できるだけ数字を使いながら具体的に解説していきます。

まず結論からお伝えすると、訴訟ファイナンスは「高リターンが狙える一方、案件選別がすべてを左右する投資」です。

その理由を順に見ていきましょう。

そして訴訟ファイナンスとは、簡単に言えば「訴訟を起こしている原告側、または弁護士に対して、訴訟費用を提供する投資」です。

訴訟には多額のコストがかかります。

弁護士費用、調査費用、専門家証人への報酬、長期化した場合の事務コストなどが代表例です。

具体的には、大型のクラスアクション訴訟では、判決が出るまでに2〜5年かかることも珍しくありません。

その間、原告や弁護士は収入を得られないまま、コストだけが先行します。

ここに投資家が資金を提供するのが、訴訟ファイナンスです。

この流れで投資家はどのようにリターンを得るのでしょうか。

多くの場合、「勝訴または和解した場合に、その賠償金や和解金の一部を受け取る」という契約になります。

具体例で考えてみます。

ある企業に対する不正請求のクラスアクション訴訟があり、想定される和解金が1,000万ドルだとします。

この訴訟を進めるために、弁護士チームが必要とする資金が200万ドルだったとします。

投資家はこの200万ドルを提供します。

契約条件として、「勝訴または和解した場合、投資家は元本200万ドルに加え、和解金の30%を受け取る」と設定されているケースを考えます。

仮に1,000万ドルで和解した場合、投資家の取り分は300万ドルです。

ここから元本200万ドルを差し引くと、利益は100万ドルになります。

リターン率で見ると、50%のリターンです。

もしこれが3年で回収できたとすれば、年率換算で約14%前後になります。

これだけを見ると、不動産投資よりも高い利回りに見えるかもしれません。

その一方で、注意すべきポイントもあります。

最大のリスクは「敗訴した場合、投資資金がゼロになる可能性がある」という点です。

多くの訴訟ファイナンスはノンリコース、つまり敗訴時に原告や弁護士が返済義務を負いません。

つまり投資家は、負けたら全損です。

では、なぜ「勝てる訴訟」を抱えている弁護士が、わざわざ外部資金を必要とするのでしょうか。

ここが訴訟ファイナンスの重要なポイントです。

まず、資金繰りの問題があります。

たとえ勝算が高くても、数年にわたり数百万ドルを立て替え続けるのは、弁護士事務所にとって大きな負担です。

そしてリスク分散です。

弁護士事務所は同時に複数の訴訟を抱えています。

一件に資金を集中させすぎると、キャッシュフローが不安定になります。

あkつ、機会損失の回避です。

訴訟ファイナンスを使えば、自己資金を温存しながら他の案件も同時に進められます。

つまり、弁護士側にとっては「勝算は高いが、資金効率を上げたい」という合理的な判断なのです。

投資家目線で見ると、訴訟ファイナンスはしばしば「Mezzanine的」と表現されます。

これは、リスクとリターンがシニアローンとエクイティの中間に位置するためです。

担保はありません。

けれども、成功した場合のリターンは単なる利息収入よりも大きくなります。

実際のファンドでは、以下のような設計が多く見られます。

・1案件あたりの投資額:50万〜500万ドル

・想定回収期間:2〜5年

・目標IRR:15〜25%

・勝率想定:60〜70%

たとえば、10件に分散投資し、7件が成功、3件が失敗した場合でも、全体でプラスになるよう設計されます。

ここで重要なのは、個別案件ではなく「ポートフォリオ」で考える点です。

一件一件の当たり外れではなく、全体として期待値がプラスになるかどうかが判断基準になります。

。。。

ここまで、「訴訟ファイナンス」についてお伝えしてきましたが、この投資は誰にでも向いているわけではありません。

途中で資金がロックされ、流動性はほぼなし。

また訴訟内容の理解や、弁護士の質を見極める目も求められます。

そのため、多くの場合は専門ファンドを通じて投資する形になります。

実際に訴訟ファイナンスは「時間とリスクを引き受ける代わりに、高いリターンを狙う投資」と言えます。

株式や不動産とは異なる値動きをするため、分散投資の一部として検討する価値はありますが、まずは小口で、仕組みを理解しながら検討するのが現実的ではないでしょうか。

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