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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
2026年2月、アメリカで4万2千件を超える住宅売買契約が解除されました。
これは、その月に契約に入った物件全体の13.7%にあたります。
2月としては、2017年以降で最も高い「Contract Cancellation Rate(契約解除率)」です。
この動きを読み解いていきましょう。
「Under Contract」から「解除」までの流れ
アメリカの不動産売買では、買い手がOffer(購入申し込み)を入れ、売り手がそれを受け入れた時点で「Under Contract(契約中)」の状態になります。
けれども、この段階ではまだ所有権は移転しておらず、Inspection(物件検査)や融資審査など、いくつかのContingency(条件)をクリアして初めてClosing(決済)に至ります。
Contingencyの期間中であれば、買い手は所定の手続きを踏むことでEarnest Money(手付金)の全部または一部を取り戻しながら契約を解除できます。
「やはりやめた」
という選択肢が、制度として存在しているわけです。
解除が急増している理由
今回の記録的な解除率の背景には、複数の要因が絡み合っています。
まず、2月末に始まったイランとの軍事衝突が、アメリカ経済全体に不確実性の影を広げています。
「仕事を失うかもしれない」
「物価がさらに上がるかもしれない」
という漠然とした不安が、大きな買い物への慎重さを後押ししているのです。
そして、モーゲージ金利の急変動も解除の引き金になっています。
2月上旬、30年固定金利は一時4年ぶりの水準まで低下していました。
その時点でオファーを入れた買い手が、クロージング直前になって
「金利が上がり、月々の返済が予算を超えてしまった」
と気づくケースが相次いでいます。
オファーを入れた時点とクロージング時点で、市場環境がまるで別物になってしまったのです。
さらに、インスペクションで見つかった些細な問題を名目に解除を申し出るケースも増えています。
「表向きの理由はインスペクションだが、本当の理由は経済的な不安にある」
というのが、現場のエージェントたちが口をそろえて言うことです。
地域によって大きく異なる解除率
Contract Cancellation Rateは、地域によって大きな差があります。
最も解除率が高いのはRiverside(リバーサイド、カリフォルニア州)で16.9%。
前年同月の14.4%からさらに上昇しています。
次いで、ロサンゼルスが15.0%(前年比+2.9ポイント)、バージニアビーチが14.7%と続きます。
タンパやサンアントニオでは、売り手の数が買い手の約2倍にまで膨らんでいます。
こういった市場では、売り手がオファーを受けた後も
「この買い手は本当に最後まで来てくれるのか」
という不安を抱えながら交渉を続けることになります。
売り手にとっての重荷
解除率の上昇は、売り手側にとって深刻な影響をもたらします。
「売れた」と思っていた物件が再び市場に戻ると、Days on Market(市場滞在日数)が伸び、次の買い手に「この物件、何か問題があるのでは」という印象を与えかねません。
一度解除された物件は、心理的なハードルが上がった状態で再スタートを切ることになるわけです。
解除が増えている市場では、売り出し価格の見直しと買い手の見極めが、これまで以上に重要になってきているように思います。
高い金利と高い不確実性が同時に存在する今の市場では、「Under Contractになった」ことがゴールではありません。
Closingまで丁寧にプロセスを積み重ねることが、これまで以上に売り手にも買い手にも求められるようになってきているのです。
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