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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
アメリカの住宅市場で、ひとつの数字が静かに歴史を塗り替えました。
2026年2月時点で、売り手が買い手を約63万人上回っているのです。
これはRedfin(レッドフィン)が2013年に集計を始めて以来、最大の差です。
売り手の数が買い手の数を46.3%も上回る状態。
数字だけを見れば、これは明らかに「Buyer's Market(買い手市場)」と呼んで差し支えない局面に思えます。
けれども実態はそう単純ではありません。
なぜ売り手がこれほど増えたのか
背景には、いくつかの要因が重なっています。
まず、2025年に売れ残って一度取り下げた物件が、春の市場に合わせて大量に再出品(Relisting)されていること。
2026年1月だけで約45,000件の再出品があり、これは過去10年で最多の水準です。
サンノゼでは、1月に市場に出ていた物件のうち実に12.5%が再出品だったというデータもあります。
そして新規の売り出しも増えている。
長年「Lock-in Effect(金利固定効果)」で動けなかった売り手たちが、
「もうこれ以上待っても状況は変わらない」
と判断し始めた可能性が高く、供給サイドが一気に膨らんだわけです。
買い手はなぜ動かないのか
一方で、買い手の動きは鈍いままです。
最大の理由は、やはりMortgage Rate(住宅ローン金利)の再上昇と思われます。
2月末に一時6%を割り込んだ30年固定金利は、3月に入って急反転しました。
現在の金利は6.5%前後まで上昇しており、これは2025年9月以来の高水準です。
せっかく物件の選択肢が増えても、月々の支払いが重くなれば手が出しにくい。
「物件はあるのに買えない」
という、もどかしい状況が広がっているのです。
とりわけFirst-time Buyer(初めての住宅購入者)にとっては、頭金の準備に加えて月々の返済負担が重くのしかかります。
けれども、見方を変えれば、これはある種の投資家にとって絶好の環境でもあります。
売り手が焦り始めているということは、Price Reduction(値下げ)やSeller Concession(売り手からの譲歩)を引き出しやすい局面だということです。
実際に、新築住宅の在庫は9.7ヶ月分に達しており、2022年以来の高水準となっています。
ビルダーたちも値引きを加速させており、全米住宅建設業者協会(NAHB)によれば、3月に値下げを実施したビルダーの割合は拡大を続けています。
現金で購入できる投資家、あるいはローン金利の影響を吸収できるだけのキャッシュフロー計画を持っている投資家であれば、この「売り手過剰」の局面は交渉力を最大限に活かせる時期といえます。
不動産市場を動かしているのは、つまるところ人間の心理です。
売り手が増えているのは、
「もうこのまま持ち続けるのは得策ではない」
と感じる人が増えたから。
買い手が減っているのは、
「今は無理をすべきではない」
と感じる人が増えたから。
この両者の心理が極端に乖離したとき、市場は大きく動きます。
過去を振り返ると、売り手と買い手の差が最も大きくなった時期の直後に、価格の調整が加速した例は少なくありません。
もちろん、今回も同じ展開になるとは限りませんが、63万人という差が示すシグナルを軽く見ることはできないように思います。
この先どう動くか、引き続き注視していきましょう。
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