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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
「関税(Tariff)」という言葉は、どこかマクロ経済の話に聞こえます。
ニュースで目にするたびに、「自分の生活とは少し遠い話かな」と感じる方もいるかもしれません。
けれども、今アメリカで起きていることを見ると、関税はすでに「家の値段」に直接影響を与え始めています。
カナダ、メキシコ、中国からの輸入品に対して課された25%の関税。
その影響は、建築資材のコストを通じて、新築住宅の価格へと波及しているのです。
アメリカの住宅建築に使われる木材(Lumber)の多くはカナダから輸入されています。
鉄鋼(Steel)、銅(Copper)、家電製品(Appliances)も、サプライチェーンの上流にはメキシコや中国の工場があります。
これらすべてに25%の関税がかかるとなると、ビルダー(Builder)はその分のコストを吸収するか、価格に転嫁するかの二択に迫られます。
そして現実的には、多くのビルダーが価格転嫁を選んでいます。
全米ホームビルダー協会(NAHB:National Association of Home Builders)の推計によると、この関税措置が一戸建て住宅の建設コストを平均で9,200ドルから1万4,000ドル程度引き上げるとされています。
そして「新築物件が既存住宅より安くなる」という逆転現象が一部市場で起きていると言われる中、さらに建設コストが上昇するとなると、その逆転は一時的なものにとどまる可能性があります。
「新しい家を買いたいけれど、価格がまた上がるの?」
という疑問はもっともです。
そしてここで興味深いのは、建設コストの上昇がどこに影響するかという点です。
まず影響を受けるのは、エントリーレベル(Entry-Level)と呼ばれる比較的手頃な価格帯の住宅です。
高価格帯の住宅に比べて、建材コストが販売価格に占める割合が大きいため、コスト上昇の影響がより直接的に現れます。
アフォーダビリティ(Affordability:住宅取得の容易さ)がすでに歴史的に低い水準にある中、この層の住宅まで価格が上がるとなると、「初めて家を買う」という選択肢がさらに遠のいていきます。
けれども、話はそれだけではありません。
関税は建設コストだけでなく、市場全体のセンチメント(Sentiment:市場心理)にも影響しています。
ビルダーが先行きの不透明さから着工(Housing Start)を慎重にすれば、将来的な供給が絞られます。
需要が回復してきたときに物件が足りないという状況が繰り返されることになる。
これは過去にも見てきたパターンです。
実際、2026年の春の住宅市場は、高金利と関税という二つの重石を同時に抱えた状態で始まっています。
30年固定モーゲージ(30-Year Fixed Mortgage)の金利は現在6%台半ばで推移しており、「6%を切るか」と期待されていた年初の予測は大きく外れた形です。
そこに建設コストの上昇が加わると、アフォーダビリティの改善は一段と遅れることになります。
「では、投資の観点ではどう考えればいいのか」
という視点で言えば、建設コストが上がれば、既存の住宅(Existing Home)の相対的な価値は高まります。
特に、状態の良い中古住宅は「新築よりもコスパが良い」という評価を受けやすくなる。
そして、建設コストの上昇が新規供給を抑制すれば、需要の強いエリアでは家賃(Rent)にも上昇圧力がかかります。
賃貸需要を狙った投資戦略を考える場合、このコスト上昇局面は必ずしも悪いニュースではありません。
とはいえ、関税政策は今後も変更や延期、除外措置などが入り交じる可能性があります。
長期的な影響を見通すには、まだ材料が揃っていない部分もあります。
大切なのは、「関税=遠い話」と切り離すのではなく、建築コストの動向が住宅の供給量と価格に直結しているという構造を理解しておくことだと思っています。
市場は常に複数の変数が絡み合うもの。
金利、在庫、雇用、そして関税。
そのどれもが、住宅という「生活の拠点」の値段を動かす要因です。
一つひとつの変数の意味を丁寧に追いながら、全体の流れを読んでいきましょう。
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