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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
2026年の春、住宅市場を眺めていて、ふと気になる数字に出会いました。
賃金の伸びが住宅価格の伸びを上回る状態が、19か月も続いているというのです。
Redfinの試算をベースに複数のメディアが報じているデータで、金融危機の余波が残っていた時期以来、これほど長く続いたことはないといいます。
「けれども、家が安くなった実感はない」という声が出てきそうですが、この19か月という数字には、見過ごせない意味が込められています。
「追い抜く」と「追いつく」は違う
まず前提として確認しておきたいのが、賃金が価格を上回ったからといって、家が突然安くなるわけではないという点です。
2024年末の時点で、住宅価格と所得の比は歴史的な高水準にありました。
そこから賃金がわずかに優勢な状況が続いても、比の数字はゆっくりとしか動きません。
Affordability(住宅取得の容易さ)は2026年1月に前年比で約11%改善し、2022年8月以来の水準に戻ったと報告されています。
これは明らかに前進です。
けれども、パンデミック前の水準と比べると、Affordabilityはなお60%以上低い状態にとどまっています。
「ようやく少しだけ追いつき始めた」というのが、正確なニュアンスに近いように思います。
Redfinの2026年見通しによれば、賃金は年3.4%ほど上昇する見込みです。
そして住宅価格の伸びは、それを1.2ポイントほど下回る予測となっています。
単純に引き算をすると、実質的な購買力は1年でおよそ1%強、改善する計算になります。
「たった1%か」と感じる向きもあるかもしれません。
けれども、過去10年の大半は賃金が価格に大きく引き離される時期でした。
その構造が逆転し、しかも19か月続いているという事実は、市場の空気を少しずつ変え始めています。
日本から見ると
日本から米国市場を見る立場から言うと、この19か月という数字は「入り口のタイミング」を考える材料になります。
2020年から2022年にかけての米国住宅市場は、価格が収入を大きく引き離して駆け上がる局面でした。
その時期に買い手として競争に巻き込まれた感覚のある方も少なくないはずです。
いま起きているのは、その逆方向の、ごく緩やかな調律です。
価格が急落するわけではなく、収入が少しずつ追いついていくかたちで、帳尻が戻っていく調整と言えそうです。
こうした市場では、短期の値下がりを狙うよりも、Cash Flow(賃貸収支のキャッシュフロー)や長期の保有前提でシナリオを組み直すほうが、腰の据わった判断につながるように思います。
数字だけを見ると、住宅市場はまだ「手の届きにくい場所」に見えます。
けれども、賃金と価格の関係は、ゆっくりとではあっても確実に動いています。
19か月の逆転が、この先さらに積み重なっていくかどうかが、2026年後半以降の焦点になりそうです。
急いで買う理由も、諦める理由も、いまは強くはありません。
少し引いた位置から、この静かな逆転の歩みを、数字とともに追いかけていくのがよさそうに思います。
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