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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
2026年3月の既存住宅販売件数が発表されました。
全米リアルター協会(NAR)の集計では、年率換算で398万件。
前月から3.6%の減少、昨年同月の水準も下回っています。
春の住宅市場としては、この9か月でもっとも低い水準です。
見出しの数字だけを追っていると、「やはり今年の春は静かだ」と受け止めて終わってしまいそうになります。
けれども、この同じレポートに、もうひとつの数字が並んでいました。
それが、個人投資家とセカンドホーム購入者の比率が、前月の16%から18%に上がったという一行です。
昨年の3月は15%でした。
一年で3ポイント、一か月で2ポイントの上昇です。
「全体は冷え、投資家は動く」という構図
住宅市場全体が9か月ぶりの低水準まで冷え込んだ月に、投資家の比率だけが上がっている。
これをどう読めばよいのでしょうか。
ひとつの手がかりは、All-Cash Buyer(現金購入者)の比率です。
3月の現金購入比率は27%。
前月の31%からは下がっているものの、昨年同月の26%とほぼ並ぶ水準にあります。
Mortgage Rate(住宅ローン金利)が6%台後半で推移するなか、金利の影響を受けない層だけが相対的に動きやすい環境になっているということです。
住宅ローンを組んで家を買う一般世帯にとって、月々の返済額はこの2〜3年でずいぶん重くなりました。
そうすると、春になって物件が増えても、金利という「天井」がなかなか外れません。
けれども、現金で買える投資家にとっては、むしろ今こそが動きやすい時期と映ります。
在庫は4.1か月分まで積み上がり、Price Reduction(値下げ)の話も珍しいものではなくなってきました。
売り手から「一歩譲ってもらえる」余地が広がった季節、というわけです。
3月の中央値は40万8,800ドル。
前年同月を小幅ながら上回っています。
全体としての価格はなお高止まりしていて、ここだけ見れば市場は大きく変わっていないように見えます。
とはいえ、物件ごとの交渉余地は以前とはずいぶん違う状況です。
値下げ後の成約や、Seller Concession(売り手からの譲歩)を含めたクロージングコスト負担の交渉は、年々増えてきました。
「値段」は下がっていなくても、「買い方」の選択肢は確実に増えているのです。
投資家がこの時期に動いているのは、まさにこのあたりを丁寧にすくい取っているからのように思います。
販売件数は9か月ぶりの低水準、ローン金利は高止まり、値下げも増えている。
こうして並べると、今年の春は「待ち」の季節のように感じられます。
けれども、18%という投資家比率は、この「待ち」の空気のなかで、静かに動いている誰かがいることを示しています。
かくして市場というものは、いつも一枚岩ではありません。
平均や中央値が語ることと、個々の取引で実際に起きていることは、しばしば違った顔をしているのです。
目の前の数字を受け取りながら、そのすぐ裏側で動いている別の層の動きにも目を向けてみる。
そうすると、「今は動く時期か、待つ時期か」という問いに、自分なりの答えが少しずつ見えてくるように思います。
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