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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
アメリカ不動産に関心を寄せるとき、誰もがまず気にするのが「Mortgage Rate(住宅ローン金利)」の行方だと思います。
「そろそろ下がるのではないか」という観測と、「いや、まだまだ高止まりだ」という見方が、ここ一年あまり交互に出ては消えてきました。
そんな中、Fannie Maeが2026年5月に発表した最新の住宅市場見通し「May 2026 Housing Forecast」を読むと、ひとつのはっきりした答えが浮かび上がってきます。
「6.3%という水準が、2027年初頭までは動かないと見ておくべき」という見立てです。
「下がるけれども、底はそこまで深くない」という風景
Fannie Maeが示したシナリオを具体的に追ってみます。
30年固定金利「30-Year Fixed Rate」は、2026年中におおむね6.3%前後で推移し、2027年に入ってからもしばらくは同じ水準を維持する見込みです。
そして2027年の半ば以降に、ようやく6.2%へとごくわずかに下がっていく、というシナリオが描かれています。
注目しておきたいのは、2026年・2027年を通じて、6.1%を下回るシナリオがそもそも描かれていないという点です。
「いずれゼロ金利近くまで戻る」「コロナ前の3%台が再び来る」という期待は、もはや少数派の見方になってきているように映ります。
そして見落とせないのは、わずか3か月前の2026年2月時点で、Fannie Maeは「2026年末には6.0%まで下がる」と予想していた、という事実です。
それを5月にきて、「いや、6.3%が続く」と上方修正してきたわけです。
背景にあるのは、4月のインフレ率が3年ぶりの高水準となる3.8%まで跳ね上がったことや、地政学リスクの再燃といった、いくつもの不確実性です。
「6.3%」を前提に、組み立て直す
では、この見立てを受けて、アメリカ不動産の投資戦略はどう考えていけばよいのでしょうか。
まず思うのは、「金利が下がるまで待つ」という発想をもう一度棚卸ししたほうがよさそうだ、ということです。
たしかに6.3%という数字は、ここ20年の平均から見ても決して低くはありません。
けれども、
「6.3%が標準で、それ以上下がるとはあまり期待しない」
という前提に立つと、見える景色がだいぶ変わってきます。
たとえば「Cash Flow(キャッシュフロー)」の設計です。
6.3%の借入金利を前提にしても黒字が出るかどうか、という基準で物件を選ぶ。
これは将来の利下げに頼らない、いわば「守りの組み立て」になります。
そしてもし金利が想定よりも下がってくれた場合は、「Refinance(借り換え)」によってさらに収益が改善する、という上振れ余地が生まれます。
そう考えると、6.3%は「悲観すべき水準」ではなく、「物件選別の前提となる基準値」として置き直すべき数字に見えてきます。
「利下げ待ち」が、機会を逃すこともある
もうひとつ気にかけておきたいのが、「市場の力関係」と「金利」のずれです。
これまでにも触れてきた通り、アメリカの住宅市場では、買い手側と売り手側の力関係がじわじわと変わりはじめています。
売り手の方が依然として多いものの、その差は少しずつ縮みつつあります。
つまり、「Seller Concession(売り手からの譲歩)」や価格交渉に応じてもらいやすい時間帯は、永遠には続かないということです。
もし「6.3%まで下がってから動こう」と待ち構えているうちに、買い手有利の温度感が薄れ、価格や条件の交渉余地が減ってしまえば、結果として総コストはむしろ高くつくことも十分にあり得ます。
金利の小さな改善を待っているあいだに、価格や条件で得られていたはずの譲歩が消えてしまう。
これは、アメリカ不動産の世界でしばしば繰り返されてきた光景です。
とどのつまり、Fannie Maeの今回の見立てが伝えてくれるのは、
「6.3%という数字が、当面の風景の一部になる」
ということだと思います。
金利は風のようなもので強く吹いたり弱まったりはしますが、いまの風向きそのものが大きく変わることはしばらくなさそうだという見方です。
金利の数字だけを追うのではなく、その水準を前提にしながら「キャッシュフロー」「物件選定」「タイミング」をどう組み立てるか。
そうした視点から、アメリカ不動産の風景を一緒に眺めていきたく思います。
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