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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
アメリカの行政は州ごとの縦割り行政になっています。
州ごとはあたかも別々の国であるかのように自治権を認められ、それを連邦政府が束ねて統括するという方式です。
かの国ではとんでもない数の人口をたった一つの政党が統括しているわけですが、アメリカの場合は各州の単位で自治を認めつつ、アメリカ全体の基盤を連邦政府が整える方式になっているわけです。
結果として自分が暮らす州ごとに多少法律が変わってきますから、州をまたいで引っ越すとなるとやっかいな手続きに直面することがよくあります。
例えば私(佐藤)はアメリカの有力な商業銀行の一つ、JPモルガン・チェース銀行の口座をニューヨークで暮らしていた時代に開設しました。
ところが後にテキサス州やカリフォルニア州で口座登録情報の根本的な部分を変更しようとすると、
「この口座はニューヨーク州で開設されましたね。申し訳ありませんが、口座情報そのものの変更はニューヨーク州内の支店で行っていただく必要があります。」
とのこと(笑)
全国に展開する大手銀行ですら、その中身の運営が州ごとの縦割りになっているのです。
そして、このことはアメリカの不動産業界でも同じことがいえます。
アメリカの不動産業界は連邦政府が手動する
HUD(U.S. Department of Housing and Urban Development)
が全米を統括しており、その参加に各州の不動産協会が存在していることになります。
例えば近年のトランプ大統領による予算編成で
「不動産業界への予算を削減する」
という方針がありましたが、これは連邦政府機関の一つであるHUDの予算を減らすという意味であり、HUDに割り当てられた連邦政府予算が削減されたお陰で各州の不動産協会や連邦政府による住宅支援に影響が及んでいるわけです。
同時に、このような州ごとの縦割り行政の流れで必然的に各州ごとに不動産取引のルールにも違いがあります。
今日からその各州ごとに違う不動産取引ルールの中でもアメリカで不動産物件を購入する際に知っておくべき、ブローカーに適用される不動産法の違いについてお伝えさせて頂きます。
シングル・エージェンシーとデュアル・エージェンシーの違い
不動産取引の中でブローカーが演じるべき役割についてですが、大きく分けると
シングル・エージェンシー(Single Agency)
と
デュアル・エージェンシー(Dual Agency)
の2つに分かれています。
この違いは何かというと、不動産取引においては
売り手
買い手
の二者が存在するわけですが、この両者が求めるべき利益には明らかに違いがあります。
端的には
売り手
自分名義の物件を手放したい
現金を手に入れる
(ローンが残っていれば)ローン残高を精算したい
という売り手の思惑に対し
買い手
物件を購入して自分名義にしたい
現金を支払う
(現金が足りなければ)ローンを組んで購入する
となり、ほぼ全面的にお互いの求める利益は正反対のものとなります。
このような利害が相反する二者間において、ブローカーの立ち位置が各州ごとに異なっているのです。
つまり、
シングル・エージェンシー
⇛ 仲介ブローカーとして、売り手か買い手のどちらか片方の支援しか出来ない
デュアル・エージェンシー
⇛ 仲介ブローカーとして、売り手と買い手の双方の支援が同時に出来る
という違いがあるのです。
例えば、カリフォルニア州やテネシー州では売り手と買い手の双方を同時に支援するデュアル・エージェンシーが許されていますが、テキサス州ではデュアル・エージェンシーは禁止されており、シングル・エージェンシーしか出来ないルールになっています。
州ごとにルールが違うのが面白いところですが、不動産売買という多額のお金が動く取引でもあくまで州ごとに采配が任されているのがアメリカらしいところです。
自分の取引がどちらのパターンかを知る
そこで、上記のようにアメリカでは一口に不動産取引といってもその仲介には
シングル・エージェンシー の取引
デュアル・エージェンシーの取引
の2種類がありますから、あなた自身の不動産取引がどちらのパターンになっているかは把握しておいた方がよいと思います。
なぜ把握する必要があるかといえば、デュアル・エージェンシーで組まれる場合はブローカーのサポートレベルに差が出てくることは否定できないからです。
要するに、物件購入にあたり自分の不動産購入取引を手伝ってくれるはずのブローカーですが、取引そのものがデュアル・エージェンシーで組まれていた場合にはそのブローカーはあなたのみならず売り手も同時に支援することになります。
前述のように
売り手が求める利益
買い手が求める利益
この二者間の利益は相反するわけですから、この両者を同時に満足させることは論理的に不可能なはずなのです。
ここにデュアル・エージェンシーの難しさがあります。
この為に、テキサス州の不動産協会では
「そもそも売り手と買い手の両者を同時に満足させることなど出来ず、いずれかの利益が損なわれてしまう」
と断じて、デュアル・エージェンシーを禁止にしているのです。
その一方でカリフォルニア州やテネシー州の取引であればデュアル・エージェンシーは普通に行われていますから、これらの州であなたが売買取引をする際には
「購入契約書」
あるいは
「仲介ブローカーに関する規約」
といった類の書類には
売り主側のエージェント名
買い主側のエージェント名
はそれぞれ別々の名前が記載されていますから、そこを見ることでシングルとデュアルのいずれで行われるかを確認できる出来ることになります。
もしその取引がデュアル・エージェンシーとなっており買い主であるあなたと売り主である相手側の間に一人しか仲介者がいないという場合、あなたが
「完全に自分だけの方を向いて仲介してほしい」
と願うのであれば
「デュアル・エージェンシーならやりません。相手側にもエージェントをつけてお互いシングルエージェントの取引にしてください」
と依頼することも可能なわけです。
この仲介業務の立ち位置がシングルかデュアルかはあなたのアメリカでの不動産取引に大きく影響してきますから、エージェンシーがどちらになっているかは事前によく確認しておくようにしましょう。
各州におけるブローカーの役割の違いについて、もうひとつだけ知っておいた方がよいことを明日に続けます。
(*注釈)
不動産エージェントの呼び名そのものも州によって違いがあります。テキサス州では「エージェント」と呼びますが、カリフォルニア州では「セールスパーソン(もしくは「セールス・アソシエイツ」、「アソシエイツ・ライセンシー」)」です。この項では呼び方をテキサス州の「エージェント」に統一しています。
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