こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
アメリカの不動産物件を一度でも購入された方はよくご存じかと思いますが、物件を購入後に新しくオーナーとなるとGrant Deed(グラント・ディード)が送られてきます。
こちらでもお伝えしたようにDeed(ディード)そのものは権利書ではありませんが、該当する物件の権利が移行された際のあらゆる状況と事実は全てそこに記載されており、
1.不動産の所在地
2.不動産の前所有者
3.不動産の現所有者(すなわち物件を購入したあなた)
4.譲渡方法
5.権利に関する瑕疵の有無(もしあれば添付がつきます)
6.サイン
等の情報が網羅されているわけです(内容の詳細は後日、項を上げます)。
そして一番最初の
1.不動産の所在地
これは間違いなく最重要情報の一つ。
物件購入も何も、どこに所在する土地の物件を購入したのかが分からなければサッパリ話になりません。
ちなみに、アメリカ合衆国の一部であるカリフォルニア州をスペインが支配していた時代には土地の売買においては現在使われているWarranty Deed(ウァランティ・ディード)のようなシステムは全く存在していませんでした。
おそらく木製の小さな板か何かを権利書と称して、「はい、どうぞ」と購入者に渡していたであろうと推測されています。
その板には(もし板であれば)購入した物件の所在地など明確に記載されているはずもなく、ハッキリとした境界のない中で「ここからここまでが私の土地だ」とざっくりと認識されていたのです。
後の1846年から1848年の間におこった米墨戦争の後にグアダルーペ・イダルゴ条約により、アメリカ合衆国がカリフォルニアを領土とした後からカリフォルニア州の土地管理にもメスが入り、Warranty Deedを使用する方向に転換されていきました。
そこにはっきりと記載されている重要情報の一つが「物件の所在地」です。
この物件の所在地の記載方法は「Legal Description(法定表記)」と呼ばれ、何度か形を変えて現在までに3種類の法定表記方法が確立されています。
今日から、アメリカ不動産所在地の法定表記について深堀してみましょう。
土地の法定表記を表す3つの方法
アメリカでは土地の区分を法的に定義する方法として下記の3つが採用されています。
Metes and bounds(長さと境界)
Rectangular survey(矩形測量)
Lot and block(区画と街区)
この広大なアメリカの土地を管理する上でこれら3種類の方法が採用されてきましたが、それぞれに特徴があります。
あなたがアメリカの不動産物件を購入してDeed(ディード)を手にすると、そこには物件の所在地を示す法定表記として上記のいずれか、もしくはその複数が使われているのです。
ちなみに、これら法定表記に基づく所在地の表現はいずれも「住所」とは違います。
一般に配達物の送付先や自分の身分証明書等に使われるアメリカの住所は
ストリート番号
(あれば、アパート番号等)
ストリート名
市名
州名
の順番に記載されています。
例えばカリフォルニア州アナハイム市にあるディズニーランド本家の住所は
1313 Disneyland Dr, Anaheim, CA 92802
です。さすがにそのまんま、ストリート名になっていますね。。
ただしこの住所はあくまでも簡易的に所在地を示しているだけであり、例えば
未開発の土地
農牧地
では判別しにくかったり、或いは
ストリート名が変更される
道路が移設される
公共事業の結果で有効ではなくなる場合もあります。
そのため、現在のアメリカでは土地の所在を示すのに
1.(上記3種類の)法的記述
2.納税査定用のパーセル番号(APN: Tax Assessor's Parcel Number)
3.プロパティアドレス
の3種類を使用しているわけです。
私たちが日常生活で目にするのは主に「3」の住所ですが、不動産登記に関しては「1」の法定表記は当然として「2」と「3」のいずれか、もしくはその両方も共に記載されている場合があります。
そこで明日から、法定表記である
Metes and bounds(長さと境界)
Rectangular survey(矩形測量)
Lot and block(区画と街区)
これら3種類についてお伝えさせていただきます。
これらの法定表記は日常で接しない表記方法なだけに取っ付き難いかと思います。
けれどもアメリカで不動産物件を所有するのであればオーナーとしてDeed(ディード)に記載されている内容を理解することは大切ですから、あなたがDeed(ディード)を手にした際の参考にして頂ければ幸いです。
明日に続けます。
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