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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
Deed(ディード)の種類についてお伝えしています。
今日は
Quitclaim Deed(クイットクレーム・ディード)
についてです。
Quitclaim Deed(クイットクレーム・ディード)
Quitclaim Deed(クイットクレーム・ディード)とは聞き慣れない方が多いことと思います。
Quitclaim (クイットクレーム)の言葉を解すると
Quit:クイット ⇛ 止める
Claim:クレーム ⇛ 要求・請求
このようになりますね。
日本語でクレームというと「文句をつける、改善を要求する」というネガティブな意味合いで使われているように思いますが、本来のクレームの意味はごく普通に「(補償、修正等を)要求する」という、もう少し静かなニュアンスのものです。
すなわちQuitclaim(クイットクレーム)とはそのまま、
「要求や請求を止める」
という意味合いになり、不動産権譲渡で使用されるDeed(ディード)なだけに
「Quitclaim Deed(クイットクレーム・ディード):「権利譲渡に関する(未来に起こり得る)要求を止める」
という意味になります。
不動産権に関する何らかの要求が起こり得るというのは、言い換えると現在の不動産権に何かしらもやもやした不確かな要素があるということです。
このことをアメリカ不動産用語で
The cloud on the title(直訳:不動産権上の雲)
といいます。
権利を阻害しているかもしれない、もやもやした不明確な要素をCloud(雲)という言葉で表現しているわけです。
そしてそのもやもやした不確定要素を予め除くための措置として使われるのが、Quitclaim Deed(クイットクレーム・ディード)ということになります。
平たくいえば「不動産権に絡む不安要素に対する補足や修正に使用する為のDeed(ディード)」といってもよいかもしれません。
Quitclaim Deed(クイットクレーム・ディード)は少し分かりにくい概念ですので、ケーススタディで理解を深めてみましょう。
ケーススタディ(創作)
Aさん(夫)とBさん(妻)は夫婦です。
AさんはBさんと結婚して間もなく、投資用に一戸建て物件を購入しました。
けれどもその時の購入資金は共同名義の口座からではなく、Aさんが独身時代に購入していた投資物件を売却してのものでした。
結婚直後だったこともあり、AさんもBさんも深く考えずに
「自分(Aさん)が独身時代に購入した単独名義の物件(Separate Property:セパレート・プロパティ)の売却益で購入するから」
と、新しい一戸建て物件を購入する時にはAさんのみが署名をしました。
それから数年後。。
Aさんはこの投資物件が売却するに頃合いだと判断して市場に出した結果、Cさんがこの一戸建て物件を購入しました。
この時点でCさんは不動産権を手に入れています。
そしてクロージングから数週間後、Cさんは万が一を考えてこの物件の不動権に対する保険を購入しておこうと判断しました。
ところが、タイトル会社の担当者に依頼すると
「
この物件の以前のオーナーは夫婦ですよね?この場合は物件はCommunity Property(コミュニティ・プロパティ)だったはずではないですか?
あなたに譲渡された時に奥さん(B)さんはサインしていませんから、不動産権は完全にあなたに移管したとはいえませんよ。
このままでは保険を発行することは出来ません。
」とのこと。
Cさんは青ざめます。一千万円単位の大金で購入したはずが、自分は完全な不動産権を所有していないかもしれないのです。
そこでCさんはAさんとBさんに相談したところ、Aさんからは
「
その物件はもともと私の資産を売却して購入したんだ。彼女(Bさん)は関係ないよ。そもそも、不動産法ではSeparate Property(セパレート・プロパティ、単独所有名義のこと)にするか、Community Property(コミュニティ・プロパティ、共同名義所有のこと)にするかを選べるはずだろ?
今更そんな話を持ち出されても。。
」との答え。
Aさんは問題ないと言い、タイトル会社は保険は発行できないといい、Cさんは八方塞がり。まさに目に見えない不動産権にもやもやと雲がかったような、
The cloud on the title(不動産権上の雲)
の状態になりました。
そこで不動産弁護士に相談したところ、
「Quitclaim Deed(クイットクレーム・ディード)を使うといいですよ。」
とのこと。
「
すなわちこの場合はBさん(妻)のサインがないことが問題ですから、もやもやした不確定要素を払拭するためにQuitclaim Deed(クイットクレーム・ディード)を使い、Bさん(妻)から改めて署名を頂けばいいんですよ。」とのアドバイスでした。
結果としてこのQuitclaim Deed(クイットクレーム・ディード)を使うことで、
「(将来発生するかもしれない)Bさん(妻)からの不動産権に関する何らかの要求を止める」
ことが出来るというのです。
Cさんは早速Quitclaim Deed(クイットクレーム・ディード)を準備し、Bさん(妻)の快い承諾を得て改めて署名をもらい、The cloud on the title(不動産権上の雲)を払拭することに成功しました。
そして無事に、タイトル会社も不動産保険を発行してくれたのです。
このような例は実際に起こり得ることです。
名義そのものが不確かな場合も、Quitclaim Deed(クイットクレーム・ディード)を使って修正出来るわけですね。
そしてもうひとつ、今度は私(佐藤)の実例でいきます。
ケーススタディ(実例)
私自身もQuitclaim Deed(クイットクレーム・ディード)の使い方をよく理解していなかったかなり以前のこと。
物件の一つに関するある手続きが必要になり、税務署に出向いてその物件のDeed(ディード)を提出する必要がありました。
すると担当者が、
「あれ、この物件は所在地が間違っていますよ?」
というのです。
その物件の所在地はDeed(ディード)上では先日こちらでお伝えしたLot and Blockの法定表記になっていたのですが、
「Lot番号が間違えている」
との指摘。
いつ、どの時点で番号が間違われたのか分かりませんが、この物件を購入した時に登記されたLot番号が間違っていたのです。。
私(佐藤)は顔面蒼白になりました。何しろその物件は相当なキャピタルも出ている物件です。
不動産権そのものを所有していないとみなされ、購入時の元本はおろかキャピタルを含めて全て吹き飛んでしまったら。。
そこですぐに同役所構内の別の部署に駆け込み、慌てて
「カクカクシカジカで、まずい状況なんです!」
と窓口の女性に訴えたのです。
すると、その女性は眉一つ動かさずに無表情で
「はいっ」
とQuitclaim Deed(クイットクレーム・ディード)と書かれた紙を私(佐藤)に渡してきました。
このDeed(ディード)を使って修正すれば問題ないとのこと。
Quitclaim Deed(クイットクレーム・ディード)そのものは権利を譲渡する働きはないものの、不動産権利に関する不確定要素を払拭できるからこれを使いなさい、との説明でした。
そこで早速手続きをし、佐藤の手で修正したこの物件の正しいLot番号と共にQuitclaim Deed(クイットクレーム・ディード)は役所に登記されています。
。。。
このように、Quitclaim Deed(クイットクレーム・ディード)はThe cloud on the title(不動産権上の不確定要素)が発生した時に、それを修正する(将来に起こり得る要求を止める)ために使用されます。
もしあなたがアメリカで不動産を所有しており、何かしら不動産権で不確定要素がある場合はこの
Quitclaim Deed(クイットクレーム・ディード)
の出番かもしれません。
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