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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
確定申告の時期に際し、日本ご在住の投資家の方々から納税に関するお問合わせを度々頂戴しています。
過去に購入した物件に対してもそうですが、今から購入する物件に対してもエグジット(売却時点)の税金まで踏まえたご相談を頂くわけです。
先に免責の意でお断りしますが、私(佐藤)は社会人になってからというものアメリカ政府に納税し続けてはいますが、日本政府への納税経験はありませんので日本の税法に関しては知識ベースしか持ち合わせていません。
また日本でもアメリカでも公認会計士(あるいは税理士)の資格は有していませんので、
「節税のアドバイス的な助言は出来ず、日本の税法に基づく事実を指摘すること」
しか出来ない立場の者です。
その意味で本日の項も税法の事実を指摘するに過ぎないのですが、アメリカ人に驚かれる日本の税制で
「築22年以上の木造物件は4年間で減価償却が可能」
というものがあります。
私(佐藤)自身はこの4年間減価償却の恩恵を受けたことは一度もありませんし、あくまで知識ベースに過ぎないのですが、それでも日本ご在住の方々からお問い合わせを頂戴する中で
「4年間の短い期間に減価償却することで、年間に支払う税金がかなり少なくなり、それが4年間続く(日本政府にはこの償却分の税金を支払わなくてよくなる)」
と捉えていらっしゃる方々が見受けられるようです。
あくまで事実の指摘でしかありませんが、日本の税法からすれば支払う税金がなくなるわけではなく、その本質は繰り延べになると思います。
今日は、この4年間減価償却の本質について深掘りしてみましょう。
(*注意:繰り返しますが、節税のアドバイスではありませんよ)
税の繰り延べを考えてみる
分かりやすくケーススタディでいきましょう。
アメリカの不動産物件を購入した場合ですが、換算の手間を省いて日本円で考えてみます。
物件購入額:1000万円
建物比率:80%
築年:1997(築22年)
この場合、「4年間減価償却」というのは物件価値の建物按配分を4年間で償却できるということですね。
全期間の償却は
800万(1000万円 × 80%)
になり、4年間で償却できるのであれば1年間に
200万(800万 ÷ 4年)
これだけ減価償却分として経費計上できることになります。
ここではまだ投資収入以外の通常の収入(給与所得等)と損益通算が可能ですから、家賃収入のみならずあなたの日本の収入を合わせた上で、年間200万円を経費計上できるわけです。
そうすると、アメリカの家賃収入と日本の収入を合わせた年収を見て
「200万円分の節税が出来た!200万にかかる税金は支払うことはなく、その分のお金が手元に残る!」
と解釈してしまいがちですが、ここで
「税金を支払う必要はなく、納税するはずの現金は自由に使える!」
と誤解して捉えるのと
「税金の繰り延べで、納税するはずの現金はしばらく手元に残る!」
と正しく解釈するのとでは大きく差が出てしまいます。
日本の税法を基に数字を追っていくと減価償却分の税金を支払わずによくなったわけではなく、厳密には納税を繰り延べしたに過ぎないのです。
これはどういうことでしょうか。
売却まで視野に入れて考えてみる
このことは物件を購入する際の入り口のみならず、物件を売却する際の出口(エグジット)まで視野に入れるとよく分かります。
というよりも、エグジットまで見ておかないと分からないのです。
減価償却が税の繰り延べにしかならないその理由は「譲渡税」にあります。
すなわち、
(a. 物件売却額)-(b. 物件売却時の簿価)-(c. 諸経費)
この売却時点の純利益に対して譲渡税がかかってきます。
*ちなみに、この譲渡税に関しては私(佐藤)が日本にご在住のプロの投資家から教えて頂いた実践レベルの知識がありますので、そちらは後日ご紹介させて頂きます。
そこで、
(a. 物件売却額)-(b. 物件売却時の簿価)-(c. 諸経費)
ここに先のケーススタディの数字を入れて考えてみましょう。
分かりやすく、この物件を10年後に売却して
売却額:1500万
諸経費:150万(アメリカでは10%程度みるのが無難です)
とします。
そしてキモはここです。
(b. 物件売却時の簿価)= (1000万 - 800万) = 200万
すなわち、減価償却が終了しているこの物件の簿価(帳簿上の価値)は200万円になっています。
ということは
(a. 物件売却額:1500万)-(b. 物件売却時の簿価:200万)-(c. 諸経費:150万)
ですから、
1150万(1500万 - 200万 -150万)
この1150万円に譲渡税がかかってくることになりますね。
ところが、ここで仮に「減価償却は全くなされなかった」と仮定してみましょう。
この場合は4年間で800万円分の減価償却はなくなり、購入時の価格がそのままの簿価になりますから
(a. 物件売却額:1500万)-(b. 物件売却時の簿価:1000万)-(c. 諸経費:150万)
となり、
350万(1500万 - 1000万 -150万)
この350万が課税対象となります。
先の課税対象との差額は
800万(1150万 - 350万)
と、これは減価償却の総額そのままですね。まさに減価償却分がそのまま課税対象額の差になっています。
すなわち、ここが「減価償却の本質は税の繰り延べ」と言われる所以です。
言い換えると、
1.全償却期間の減価償却総額はそのまま簿価を下げる起因の数値となる
2.その数値はそのまま、売却時の売却益として跳ね返ってくる(簿価を下げた分、差額により利益が大きくなる)
となるわけです。
まさに、売却のその時まで納税額を繰り延べているわけですね。
このことをきちんと理解しておかないと、どこかの不動産投資セミナーで
「4年間で節税が可能!」
と謳われる言葉を額面どおり受けて
「そうか、その分の税金を支払わなくてよくなるのか!」
と勘違いしてしまうことになりかねません。
そうではなくて、
「そうか、その税金相当額の現金を売却するまでは手元に残せるのか!」
このように解釈しなくてはならないのです。
もちろん減価償却は全く意味がないということはなく、繰り延べることでその分の現金を手元に残せますから
⇛ 別の事業資金に充てる
⇛ 別の投資資金に充てる
等の様々な利点があると思います。
けれどもそれ以前に、
「減価償却の本質は税の繰り延べである」
という事実はしっかり把握しておく必要があると思うのです。
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