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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
不動産物件を所有していると、売却時の出口で避けられないのがいわゆるキャピタルゲイン課税ですね。
一般的にはキャピタルゲインというと
キャピタルゲイン =(売却時の価格 - 購入時の価格)
でその概要が語られています。
ざっくりと話すときにはこれでもよいものですが、いざ本当にキャピタルゲインを算出する時にはその計算は多少複雑になってきます。
複雑とは言っても鶴亀算で計算できるものなのですが、税法に基づいたルールがあるのです。
そこであなたが物件を長年保有していていざ売却する前には、正式なキャピタルゲインの数字を算出してシュミレーションをしておくと、実際にどれくらいの現金が最終的に手元に残せるのかを把握することが出来ます。
そしてアメリカ不動産で正式にキャピタルゲインを算出する時に必要な因数は
The original basis (OB) :純基準額
The depreciable basis (DB): 償却可能基準額
The adjusted basis (AB):調整後基準額
の三つです。
ここから、最終的にキャピタルゲインを算出する式は
キャピタルゲイン = 売却額 - 売却費用 - 調整後基準額
です。
今日は、この式でキャピタルゲインを正確に算出する上でそこに関わる因数と公式を深掘りして把握してみましょう。
The original basis (OB) :純基準額
キャピタルゲインの出発は当然ながら、あなたが物件を購入した価格になります。
けれども厳密には購入した金額のみならず、「購入にあたり発生した費用」も加えたものを本当の出発地点の価格として定めることになります。
「The original basis (OB) :純基準額」として表現される大元の基準になる数字は
純基準額 = 物件価格 + 購入費用
です。
この純基準額はどこで分かるかといえば、一番簡単なのはクロージング時に出される決済書類(Settlement Statement)を見ることです。
この決済書類には
物件価格
エスクロー会社手数料
不動産権保険費用
固定資産税生産額
等、その取引で必要となった項目が全て網羅されています。
それらが差し引きされた最終価格が自然と純基準額として出てくるわけですね。
ただし、この決済書類に記載されなかったものは自分で加算する必要があります。
物件調査費用
不動産弁護士費用
等の必要に応じて自分の意思で外部業者を雇った場合は、その実費を購入費用として加算して調整するわけです。
ここまで詰めると、完全な純基準額が完成することになります。
The depreciable basis (DB): 償却可能基準額
そして次に物件の保有期間に自然と発生するのが、ご存知のとおり減価償却費ですね。
アメリカの場合は住居用物件は一律に27.5年を減価償却期間とします。
そして対処となる償却可能基準額は建物のみが対象となり、土地の価格は差し引くことになります。
「建物は劣化するけれども、土地は劣化対象ではない」
という概念で、土地は対象外とするためです。
そこで式としては
償却可能基準額 = 純基準額 - 地価
です。
この時、地価を算出する方法は
査定額メソッド … 役所の不動産鑑定士が査定した地価
鑑定メソッド … オーナーが自分で不動産鑑定士を雇って建物と土地を鑑定した際の価値。査定額メソッドと比較すると上下する為、自分にとって有利になる数字を選ぶ。
契約メソッド … 物件購入契約期間中に、売主と買主の合意で定める地価。後にIRS(アメリカ内国歳入庁)による監査が入った際にも正当な数値として説明出来るよう、プロを雇って算出することが望ましい。
の三種類があります。
そして売却時にキャピタルゲインを計算する時点での減価償却費は
減価償却費 = 償却可能基準額 / 27.5 × 保有年数
となるわけです。
The adjusted basis (AB):調整後基準額
かくして、最初の購入の段階から減価償却が年々進むにつれて保有する物件の簿価(現実の物件価値ではなく、あなたが所有し始めてからの帳簿上の価値)は下がってきます。
ただし保有期間に発生するのは減価償却による減額要素のみならず、リフォームによる加算要素も起こりえますね。
それらの過程を経た最終金額が調整後基準額となるわけです。
公式は
調整後基準額 = 純基準額 + (リフォーム等による)付加価値 - 減価償却費
となります。
単純にいえば、最初の
The original basis (OB) :純基準額
が
The adjusted basis (AB):調整後基準額
に変化するわけですね。
ちなみに純基準額は一般的には上記の購入価格と購入費用の総和になりますが、その基準額の算出そのものが違う場合もあります。
例を上げると
贈与の場合:
誰かに不動産資産を贈与するとなる場合、そこに売却額の話は出てきません。
この場合は贈与する側の(調整後基準額 + 支払われた贈与税)が純基準額となります。
相続の場合:
オーナーが死去した場合の相続であれば、その亡くなった時点の適正な市場価値が純基準額として使われることになります。
キャピタルゲインを計算する
ここまでで、一口にキャピタルゲインとはいっても正確な額を算出するには様々な要素が絡むことが見えてきました。
そこで実際にキャピタルゲインを計算してみましょう。
キャピタルゲインを算出する公式は
キャピタルゲイン = 売却額 - 売却費用 - 調整後基準額
です。
Aさんは物件を$80,000で購入した。
この購入時の費用は最終的に$800かかった。
その後の物件所有期間中にちょっとしたリフォームを行い、その結果価値が$3,000上がった。
数年たち、Aさんは物件を$100,000で売却した。
売却までの保有期間中に発生した減価償却費の合計は$12,500だった。
この売却時に発生した費用は$4,000だった。
このシナリオで言えば、
売却額:$100,000
売却費用:$4,000
調整後基準額:$80,000 + $800 + $3,000 - $12,500 = $71,300
ですから、
キャピタルゲイン = 売却額 - 売却費用 - 調整後基準額
の式に当てはめると
キャピタルゲイン = $100,000 - $4,000 - $71,300 = $24,700
となります。
ざっくりと
「$80,000で購入して$100,000で売却したから、キャピタルゲインは$20,000くらいだよ。」
と語る場合とは明らかな違いが出てきますね。
このような正確なキャピタルゲインの算出方法は覚えておくとよいと思います。
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