FSBO(For Sale By Owner:物件オーナー自身による売却)コンサルティング案件が増加中です。
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コンサルティング料金は発生しますが、リスティングエージェント雇用よりは大幅に節約が可能です。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
約10年前のこと、世界中にアメリカ発の金融危機が広がりアメリカ全土は本格的な不景気に入っていました。
当時私(佐藤)が入居していたオフィスモールでもまわりのテナントは数カ月の間にあれよあれよと退去してしまい、かなり閑散とし始めていたものです。
景気サイクルの法則からずっとこの状況が続くわけではないことは理解しつつも、
「大丈夫かね、これ」
と他人事ながらオフィスモールの運営者を心配していました。
そうするうちに案の定、オフィスモールの管理事務所からリース契約担当の女性が尋ねてきました。
服装は相変わらず派手にビシっときめてハイヒールでコツコツとやってくるのですが、いつもと違いその手にはお菓子の詰め物と思われる箱が。
何の用事かと思えば
「もうすぐ契約更新の時期ですね。今回も双方にとってよい更新契約が出来たらありがたいです。こちら、みなさんでどうぞ。」
と、手に持っている箱を差し出してきたのです。
正直、これにはびっくりしました。
お土産を包むのは私たち日本人にとってごく当たり前の習慣ですが、アメリカのビジネス現場で単なる挨拶で手土産を渡されたことなどなかったからです。
アメリカではさほど深い付き合いがあるわけでもない他人から仰々しくモノを渡されると、大概は訝しがられてしまいます。
この時の率直な感想は、
「よっぽど焦ってるんだろうな。。」
というものでした。
それから間もなくして徐々に経済は持ち直してテナントも戻り始め、その後に同じような低姿勢を見ることは二度とありませんでしたが。。
。。。
このぷち話をもってここで取り上げたいのは「リース契約更新時のオーナーからテナントへのアプローチ」です。
上記の実例では、リース契約担当者の彼女は私(佐藤)に「今回もリース契約を更新してほしい」という意図でアプローチしてきていますね。
テナント(佐藤)に直接会って意図を伝え、また手土産をもって印象を良くしようと努めています。
頂戴したお菓子は他の同僚とも遠慮なく頂きましたし、これはこれで悪い気はしません。
強いて言えば感情的アプローチとでもいいましょうか、彼女は少しでも印象を良くすることで契約更新の気持ちを固くしてもらおうと考えたのです。
ところが、当のテナント(佐藤)はどうだったでしょうか。
もちろん頂いたお菓子に対して日本人らしくペコっとお辞儀をして礼を述べその後みんなで頂いたものの、
「よし、彼女の気持ちに応えて今回もリース更新しよう!」
と決意を固めたかといえば、答えは「No」です。
結果的にはその時もリース契約は更新しましたが、その理由は
「今退去して別のオフィスを探すのは得策ではない」
という、あくまでも経営上の数字からの判断でした。
ちょうど家賃が高いと感じていましたので、リース担当の彼女の姿勢を見て逆に
「ああ、これはいい条件で更新契約出来るな」
と確信して、交渉して家賃を大きく下げて頂きました(契約更新をもって、お菓子の御礼としたつもりで)。
つまり、テナントに更新の動機を促す直接の要因はやはり「家賃」なのです。
昨日から家賃の値上げについて考察していますが、今日は賃料をコントロールすることでテナントの更新意欲を掻き立てる手法について見ていきましょう。
前置きとなりますが、原則としてその賃貸市場に十分な需要があるのであれば下記のような手法を取る必要はありません。
意識的に更新意欲を引き出す必要があるのは
・賃貸市場が冷え込んでいる時(賃貸需要が少ない時)
・運営上、家賃を大きく引き上げなくてはならない時
のいずれか、もしくはその両方の状況にある時です。
また下記に記すのは絶対唯一の方法ではなく、数多く考えられるオプションの一部です。
かつ一戸建て物件・複数世帯物件・商業物件では事情が違ってきますので、あくまでも自分自身が所有する物件の運営状況に沿った方法を考察・適用する必要があることを申し添えておきます。
契約更新当月の家賃を無料にする
今も昔も「無料」という言葉は人と惹きつけます。
「契約更新後の初月家賃は無料です」
これは結構強力です。
経験上、このカードはかなりの確率で賃貸契約更新率を高めます。
ただしこのカードはあくまでも
「家賃を引き上げる必要があるが、市場状況から困難な時」
です。
例えば「空室率を一定のままにしたい」、つまりは収入口を一定の割合に保ちたい場合にそれまでの家賃を
$1,450 / 月
から
$1,500 / 月
に引き上げる必要があるとします。
これまでは一年の家賃収入は
$17,400($1,450 × 12ヶ月)
でした。
この家賃を$50増額の$1,500とする必要があるとします。
テナントにとっては「え、$50も増額?」となるかもしれません。
本来はストレートに値上げして
$18,000($1,500 × 12ヶ月)
この$1,200増の家賃を手に入れたいところですが、ここで
「今の時期に$50の増額は大変でしょうから、更新後の初月は無料にしましょう。」
こう伝えると
「おお、おれはありがたい。じゃあ更新しようかな。」
そんな得した気持ちになるものです。
そこでオーナー側でソロバンを弾いてみると、
$16,500($1,500 × 11ヶ月)
となり、これまでの年間家賃収入と比較すると
$900($17,400 - $16,500)
と、$900の減収になります。
けれども家賃を値上げする必要があるとはいえ、よほどの事態でない限り来年の$900減収なら大抵は許容出来るはずです。
更新後の初年度は$900減収となりますが、二年目には十分取り戻せることになります。
またもう少し言えば、この初月無料の更新契約で行うべきは
「今回の契約期間は三年間でいかがでしょうか、その代わりに初月は無料です。」
と、契約期間を最低三年に伸ばすことです。これにより、確実に三年間でプラスになります。
そして三年間の確約のみならず、
「三年契約で、一年ごとに家賃は3%ずつ上昇」
として初年度から$1,500、$1,545、1,591、と徐々に値上げしていくと更に運営は安定していきます。
「年間3%の値上げだけど、初月が無料ならいいや」
そう考えるテナントは実に多いものです。
とりわけ家賃上昇率が年間3%台で推移しているアメリカでは当然の数値。
この結果、
$16,500 ($1,500 × 11ヶ月)
$18,540 ($1,545 × 12ヶ月)
$19,092 ($1,591 × 12ヶ月)
と、向こう三年間で
$54,132 ($16,500 + $18,540 + $19,092)
の家賃収入が確定することになります。
。。。
これは一例ですが、運営状況からして家賃を値上げしなくてはならない時に「初月無料」の手法は有効です。
例えば一戸建て物件を運用していて予想以上に$2,000 〜 $3,000の修繕費がかかった年があったとします(特に物件購入後の一年目)。
中長期的にこのロスを回収する必要がある場合、その次の契約更新を上記の「更新初月無料」方式で取り戻すことも出来るわけです。
あなたの物件が管理費倒れになる傾向が見られるとき、上記の考え方でエクセル上で計算してみてはいかがでしょうか。
不動産は自分で家賃コントロールが出来る、基本は中長期視点で運用するべき投資対象なのです。
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