こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
昨日から
「Short term loan for construction:リノベーション用の短期融資」
と呼ばれる類のTDIについてお伝えしています。
フリップ業者が物件を安く購入してリノベーションをかける際に、その購入からリノベーションまでの費用を100%自己資金で行うことはまずありません。
自己資金の回転率を上げていくための彼らの基本概念は
「いかに自己資金の搬出を少なくして融資から費用を賄うか」
です。
けれどもまともに民間の銀行から用立てすると投資用物件のリノベーションプロジェクトの場合は通常「75%~80%」もの高い自己資金(頭金)を求められることになります。
昨日の例の
物件買い付け資金:$70,000
修繕費:$25,000
合計$95,000
となると、せいぜい引ける融資額は
$19,000 ~ $23,750
程度ということです。
結果として
$71,250 ~ $76,000
も自己資金を使っていたら資金効率が悪く、事業の成長もそれだけ鈍ってしまいます。
そこでフリップ業者としては民間の銀行からの融資は避け、十分な資金を提供してくれる融資機関に助けを求めることになります。
今日も続けます。
餅は餅屋式でファイナンスする

そこでフリップ業者が銀行以外に融資を依頼するとすれば、どんな融資機関が考えられるのでしょうか。
最初に考えられるのはこちらでもご紹介したようなプライベートレンダーです。
このプライベートレンダーは個人の場合もあれば法人の場合もあります。
いずれにせよ、プライベートレンダーは銀行で引き受けてくれないレベルの条件で融資するわけですから金利も非常に高いものです。
しかもここは銀行と同じ考え方になりますが、短期融資の場合は融資する側としても利益(利息)を受け取る期間が長くは続かないわけですから余計に金利は高く設定されています。
結果として、「借り手としてはかなり高い金利で融資を受ける」必要があることになります。
ここで単純に
「そんなに高い金利で資金を用立てするのはなぜ?」
という疑問が湧きますね。
その理由は他でもなく、
・高い利息を払ったとしても物件価値の75% ~ 80%を自己資金で捻出するよりは遥かにマシ
・リノベーション完了後は売却して清算し、十分な利益を確保できる
です。
このレベルで資金を確保するフリップ業者は当然何百とフリップをこなしているプロですから、十分に目利きが出来る彼らはそもそも売れない物件はまず仕入れないものなのです。
その為、手慣れたフリップ業者は躊躇なく高い金利で短期融資を引く傾向にあります。
とはいえ、そんな彼らも借用する相手は選ぶもの。
実はフリップ業者が最も好む類の融資元は通常のプライベートレンダーではなく、「ファイナンス事業も行っている同業者」です。
自分でもフリップ事業を行いながらも融資事業をも行う資金豊富なフリップ業者が同業者のフリップ業者に融資する流れが存在しています。
餅は餅屋。
同じ融資を受けるにしても同業者の場合はツボどころをよく理解しているわけですから、通常のプライベートレンダーから借用するよりもよい条件で融資が引けるわけです。
また融資事業も行う資金豊富なフリップ業者は十分にコントロール可能な範囲で同業者に融資を行いつつも、
融資する ⇒ 自己資金が少なくなる
ですから、今度はTDIの仕組みを利用して自分自身が投資家から同額の融資を募集する流れが出てきます。
ここまでを整理すると
A … リノベーションプロジェクト用に資金が必要なフリップ業者
B … フリップ業務のみならず、融資事業も行うフリップ業者
C … 投資家
の三者がいた場合に資金が必要なのはAですから、最初に
B(債権者) ⇒ A(債務者)
となり、今度はB社はCさんから借用する形で
C(Bの債権者) ⇒ B(Cの債務者、Aの債権者) ⇒ A(Bの債務者)
となるわけです。
そしてBはすでにAが所有する物件を担保にするTrust Deedを所有していますから、このTrust DeedをB社がCさんに譲渡することで
C(Bの債権者、Trust Deed保持者) ⇒ B(Cの債務者、Aの債権者) ⇒ A(Bの債務者)
となります。
これが「Short term loan for construction:リノベーション用の短期融資」として出されるTDIのスキームになります。
言葉に落とすと
「B社はA社に課した金利よりも安い金利でCさんから借用することで金利差に利益を得る」
「Cさんは銀行に定期預金するよりもはるかに高い金利(7%前後)で安定したリターンを受け取る」
このような構図が出来上がっているのです。
そして昨日までにお伝えしたように、このようなリノベーション用の短期借用の場合はその返済方式は
・毎月利息のみを返済する
・最終月に元本もまとめて返済する
というバルーンペイメント形式が一般的ですから投資家Cさんは毎月リターン(利息)を着実に受け取り、最終月に元本をまとめて返済してもらうことになります。
その期間は通常は一年です。
「本当に元本は最終月にまとめて戻ってくるのか?」
私(佐藤)自身、このバルーンペイメント形式のTDIを数多く回しており実証済です。
毎月着実にリターン(利息)が入ってきますが、この不労所得をいざという時の後方支援資金として貯め続けています(手をつけたことはありませんが)。
「でも、Bの資金は大丈夫なのか?本当にコントロールできる範囲で融資事業が行われているのか?」
私(佐藤)自身がこのタイプのTDIを購入する先は、自社のバランスシートを開示してくれたフリップ業者からのみです。(自分の腹の内を見せれない業者はパス)
さらにいつもの如く、仮に債務不履行が発生した場合は抵当権発動以前にシンプルに「その時点の元本残高が債権者に払い戻される」という一文を条項に加えてもらっています。
。。。
この「Short term loan for construction:リノベーション用の短期融資」のTDIが最近は日本人投資家の方々にも大人気なのですが、その理由は
・あまり長い期間のTDIは避けたい(資金の使い方に柔軟性がもてなくなる)
・試しに一年間だけ保有してみたい
という、よい意味で保守的に進めたい場合が多いようです。
いずれにせよその存在を知る知らないでは資産運用に大きく差が出てくるTDI。
そこから受け取る利息の使い方は様々ですが、私(佐藤)にとってはこの毎月巨大化し続けるスノーボールが「負ける気がしない不動産投資モデル」を確立する要因の一つになっているのは紛れもない事実なのです。
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