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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
昨日はカリフォルニア州ロサンゼルス郡の不動産市場に注目してみました。
現在のロサンゼルス郡は人口そのものが減少しつつあり、その人口減少が直接的に物件購入数の減少に影響してきています。
物件価格が10年前の水準に戻り高騰している感があることは事実ですが、その物件価格の高さからの買い控えのみならず人口そのものが減少し始めている事実はより深刻です。
実際にはロサンゼルス郡の人口は過去にも緩やかに減少した時期があり、幾度かの減少期を経て相対的には人口が増え続けています。
「ロサンゼルス郡の人口減少はいつまで続くのか」
「この流れは物件価格の上昇率減少のみならず物件価格の下落につながるのか」
このあたりはもうしばらく様子を見ないことには分かりません。
ちなみにzillow.comではロサンゼルス郡の不動産価値は
このように本年の3月から下げに転じ、向こう一年間でゼロ成長を予想しています。
不動産価値が2012年に底値を打ってからは近年まで上昇の一途でしたが、ここにきて(zillow.com上では)その不動産価値が下げに転じたのは始めであり、ロサンゼルス郡の不動産成長が鈍化から更には市場縮小にまで発展する可能性も低くはないのです。
そして今回はロサンゼルス郡のみに注目しましたが、カリフォルニア州全体でいえば実はロサンゼルス郡以上に販売数が減少している地域もあります。
ロサンゼルスから南に約一時間のオレンジ郡など過去一年間ではないレベルでそれ以前から販売数が減少し続けていますし、サンフランシスコなどそもそもの販売数が多くない状態。
カリフォルニア州をリードするこれらの市場が元気をなくし始めている今、カリフォルニア州全体の不動産市場の行く先は目が離せないと思います。
カリフォルニア州賃貸市場の今
そこで今日は昨日までの流れを汲んで、カリフォルニアの賃貸市場についても言及しておきたいと思います。
この点は昨日ロサンゼルス郡の賃貸市場のグラフを見てみましたが、改めてロサンゼルス郡の賃貸推移を俯瞰してみましょう。
平均家賃が$3,000超えです。
ここまで高いと、ロサンゼルス郡で暮らす人々は郊外に出たくなる気持ちも分かりますね。
ちなみに今の南カリフォルニア州で治安と学区の良い地域で暮らそうと思えば、3ベッドルームの一戸建て物件・コンドミニアムであれば家賃が$3,000を下ることはないだろうと思います。
ことロサンゼルス郡の場合は治安は横においたとしても、少なくともここは南カリフォルニア商業地の中心ですから
・物件を購入するには高い
・かといって家賃も随分と高くなった
この状態であれば収入と比較した時に家賃が割に合わないのであれば
「通勤時間が長くなったとしても郊外に移り住んだ方がマシ」
このように判断する個人も決して少なくはないはずです。
事実、このような郊外に逃げる動きは決して目新しいものではなく以前から見られる光景です。
例えばリバーサイドと呼ばれるロサンゼルス郡から車で一時間少し離れた東北に位置する市がありますが、ここからの距離をロサンゼルスダウンタウンまで車で通勤する人々は以前から多くいます。
これに習い、郊外に移り住んで車での長距離運転を選ぶ人々が増えているわけです。
そこでカリフォルニア州の賃貸市場を数字で俯瞰すると
カリフォルニア州賃貸生活者数:約1,800万世帯
収入の30%以上を家賃にあてている割合:約950万世帯
このような統計が発表されています。
補足ですが、一般的には自分が支払うべき家賃の目安は
「年収の三分の一以下に留めるべき」
と言われています。
これに従えば、家賃が$3,000だとすると年収は
$108,000($3,000 × 3 × 12ヶ月)以上
でなければならない、ということです。
実際、私自身も不動産投資においてはテナント申込者のスクリーニング時には「年収は年間家賃の三倍以上」を絶対基準としています。
この基準を下がると家賃滞納の可能性が高まってくるからです。
ところがカリフォルニア州の場合は家賃世帯の実に半分以上が収入の30%超えを家賃に当てているというのですから事は深刻です。
単純に考えて、カリフォルニア州で投資物件を回してテナントを入れる場合は申込者の二人に一人は三分の一ルールを満たさないことになります。
つまり、今のカリフォルニア賃貸市場では賃貸物件のオーナーから見ても「家賃は収入の三分の一ルール」にこだわっていられない現状があるのです。
総じて言えば、今のカリフォルニアの賃貸市場は「危機的状況にある」といっても過言ではありません。
法案「AB1482」が施行
そんな中、非常にタイムリーですが今月9月11日にカリフォルニア州においてある法案が可決されました。
それは「AB1482」と呼ばれる新法案です。
施行は来年1月1日からですが、その概要はポイントをかいつまむと
・家賃上昇率に上限を定める
・その上限は(5% + インフレ率)とする
・テナントには理由なしに退去を求められてはならない
・過去15年以内に建造され、かつ個人に所有されるアパート・一戸建て物件は適用を除外
というもの。
ちなみに内容は多少違いますが、本年家賃にキャップ(上限)をかける法案を可決した州は
ニューヨーク州
オレゴン州
があり、カリフォルニア州はこれら二州についで三州目となります。
またロサンゼルスやサンフランシスコといったすでに既存の家賃上昇率にキャップルールがある地域は除外となり、この法案はそれ以外のカリフォルニア州内の地域に適用、約200万の賃貸世帯に影響を及ぼすと見込まれています。
この法案の意図は
賃貸市場が危機的状況にあるカリフォルニア州において家賃上昇率にブレーキをかける。
また理不尽にテナントが追い出されることのないように退去命令には明確な理由を求める。
というものです。
実際のところ、この来年から施行される法案「AB1482」がどれだけの効果を発揮するのかは疑問が残ります。
そもそも現状のテナントの収入と家賃に触れるものではないからです。
またテナントを守ることも大切ですが、同時に物件所有者にとっては物件価値上昇に伴う固定資産税を始めとする固定費の上昇が重くのしかかってきますから、家賃上昇は利益を貪る意図はなくともやむを得ない事情もあります。
少なくとも現状でオーナー利益とテナント利益のバランスを取りつつ定められたであろう「5% + インフレ率の上昇率キャップ」のルール。
この法案は向こう10年間有効という期限付きですが、その効果の程に注目していきましょう。
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