こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサル タントとして働く佐藤です。
年があけてアメリカ不動産市場は徐々にピークタイムに向けて動き始めていきます。
冬場は総じて全体的に静かになるアメリカ不動産市場ですが、私(佐藤)の感覚ではその冬場市場の中でも一番の分岐点は
12月31日
1月1日
この真ん中にあるように思います。
アメリカには日本のような正月三が日の概念はありませんから、大概は1月1日から、もしくは遅くとも2日からは世の中では仕事が始まっているものです。
そしてあくまで感覚的な話ですが市場の静けさは12月31日をピークに、年が開けると徐々に徐々に人の動きが不動産市場にも反映されてくるように思われます。
結果として今のこの時期までは
不動産売買
不動産賃貸
これら双方において動きが鈍かったのですが、それでも年明けから暮らす場所が必要、という人々もおり全く反応がなくなるということはありませんでした。
そこでつい最近の例で下記のような事例とご質問がありました。
「
冬の市場において物件がしばらく賃貸市場に出たままになっており、テナントづけに時間がかかっていました。
この年末にようやく申し込みが入ったのですが、年収見込みは高いものの、クレジットスコアは低い状態です。
管理会社より入居可否の判断を迫られていますが、入居を許可するべきでしょうか?
」
今日は、入居審査の可否にあたりその判断指針の一つについてみていきましょう。
クレジットスコアの特徴

まずはご質問者に伺ったところ、審査対象となっているテナント候補者の数字は下記のようなものでした。
クレジットスコア:520
年収:$148,000
物件家賃:$1,850
この物件は見た目も素晴らしく、キッチンもまずかなり女性受けするだろうデザインと間取りになっています。
結局のところ、このレベルの家賃になってくるとテナントの最終的な選択には家賃の金額のみならず感性も大いに含まれる傾向があるものです。
冬場で多少時間がかかったとのことですが、それでも真冬に申込みが入るのはさもありなん、という魅力的な物件です。
ところが申込者の入居審査にあたり、出てきた数字は上記のとおりでクレジットスコアに関して心配が残るとのこと。
ここで簡単にクレジットスコアについておさらいしてみましょう。
クレジットスコアについてはちょうど一年ほど前、こちらに項を上げています。
クレジットスコアは米国で暮らしていく上では必須のスコアです。
全てにおいて現金支払いで暮らすというのであればクレジットスコアは必要ありませんが、実際には
・物件購入にあたり融資を引く
・車購入にあたりローンを組む
そして本項の対象となっている
・賃貸物件の入居審査を受ける
等、あらゆる場面で自分自身のお金に対する信用格付けとなるクレジットスコアが必要になるのです。
そのスコアは300~850の範囲で示されており、その評価は
スコアと評価
761~850:「優良」
701~760:「良好」
621~700:「平均的」
300~620:「平均以下」
が目安とされています。
アメリカで普通に暮らし、クレジットカードを使っても毎月借金を残さずにきちっと返済を繰り返していけばクレジットスコアは大概
761~850:「優良」
701~760:「良好」
これらの範囲に入るものです。
ご相談者が所有される物件に申し込まれたテナント候補者の場合、年収としては十分なように思われますがクレジットスコアは520、ということは平均以下の数字にあります。
上記リンクにある過去の項で、私(佐藤)は
「
クレジットスコアは
『600以上あれば十分』
だと思います。
もしもクレジットスコアが500台以下の場合は
『すみませんが。。』
と、不動産管理会社を通してテナント候補者にお断りするようにしましょう。
」
と書いていますが、520であればまさにお断りスレスレのレベルです。
このような場合はどう判断するべきなのでしょうか。
収入保証が優先でいい

お答えとしては、
「このテナント候補者は入居を許可してもよい」
です。
誤解を恐れずにドライな言い方をすれば、入居審査では数字が全てです。
「テナント候補者はニコニコと温和な雰囲気で非常に人当たりがいい。」
このような人物描写は判断要素に含めてはいけません。
もちろんその方は良い人かもしれませんが、ドライに言えば
→ ニコニコと人が良い
→ 支払い能力がある
この二つは全く別の話。
何よりも絶対基準としなくてはならないのは
「分相応の賃料の物件で暮らす」
ことです。
世の中誰だって明日を生きようと今を頑張っています。
けれどもその時その時の自分の収入は決まっていますから、その時の収入に相応な家賃の物件に入る必要があるわけです。
無理をして過分な物件に入居してもほどなくして支払いが苦しくなってきますから、オーナーとテナント、双方の為にも分相応な賃貸物件に促してあげることが大切なのです。
その意味では今回のテナント候補のクレジットスコアは520と低く、私(佐藤)の基準でもスレスレのレベルにあります。
けれどももう少し情報を頂くと
・示された収入は過去のものではなく2020年に契約で約束されている
・借金はない
とのこと。
結局のところ、
→ 収入元が保証されている(証明が提出されている)
→ 借金を差し引いても「家賃は収入の1/3まで」ルールを満たしている
ということであれば、クレジットスコアが500台であっても全く問題ないです。
もう少し言えば、借金はないのにクレジットスコアがここまで低いということは、高い可能性でこのクレジットスコアはほどなくして600台にまで戻ってくると思います。
クレジットスコアはちょっと激しい使い方をすると乱高下するものだからです。
例えば車のローンを支払う際に頭金にクレジットカードを使用するだけでも、クレジットスコアは一時的にガクンと落ちてきます。
一時的にでも借金残高が増える為にクレジットスコアに影響するわけです。
借金がないのならこのテナント候補もごく最近、年末にあたり高額な決済をクレジットカードで行っただろうことは疑いありません。
そしてあくまでも優先されるべきは
「家賃が支払えるか否か」
という基準であり、しっかりした雇用元から十分な給与が保証されているのであればクレジットスコアよりも収入を優先しても大丈夫です。
今回は収入の1/3ルールで考えてみると、1年間の家賃は
$22,200($1,850 × 12ヶ月)
ですから、これを3倍して
$66,600($22,200 × 3)
と考えた時に、$148,000の年収は十分ということになります。
これに加えて借金もないのであれば、クレジットスコアは520でも全く問題ないと思います。
投資案件をメールマガジンで無料購読。
下記よりメールアドレスをご登録ください。