FSBO(For Sale By Owner:物件オーナー自身による売却)コンサルティング案件が増加中です。
・バイヤーエージェントの報酬はバイヤーからお支払い頂きたい
・自宅も自分で売却することでリスティングエージェントへの報酬をゼロにしたい
という方はこちらからご連絡ください。
コンサルティング料金は発生しますが、リスティングエージェント雇用よりは大幅に節約が可能です。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサル タントとして働く佐藤です。
昨日からHOA権限の限界についてお伝えしています。
「バルコニーが老朽化している為、◯◯日以内に修繕して証拠を提出するように」
「外から見ると二階の窓のブラインドが壊れている。◯◯日以内に修繕して証拠を提出するように」
「◯日 〜 ◯日のいずれかで外壁のペンキ塗りを行う。作業の邪魔になるものは家の外に置かないこと」
これらは過去に私(佐藤)がHOAから受け取ったことのある指示書の一部です。
一年を通して度々HOAから連絡が来ますが、その内容はいずれも景観を一定レベルに保つ目的のもの。
自分が所有者であるはずの物件に対して定期的に指示を出されるというのも面白いものですが、HOAとしてもそれだけ資産保全には真剣だということです。
事実、HOAの管理下にある物件を購入する場合は購入契約期間中に受け取る
CC&Rs(covenants, conditions, and restrictions:規約、規定、規制)
には様々な内容が記載されています。
後々でHOAのCC&Rsは売買にも大きく影響してきますから、それなりにしっかり読み込んでおくことが賢明だと思います。
とはいえ、CC&Rsを細かく読み進めていくと
「制定した担当者たちは州法をきちんと理解していないな」
と気づくこともあります(ということは確認を担当した不動産弁護士も見逃している)。
ともするとHOAのCC&Rsは絶対権限にして各物件のオーナーたちを治めているかのように思われがちですが、CC&Rsはあくまでも「オーナー達が独自に運営する組合に適用される地元ルール」の域を出ません。
そうすると当然ながら、
コモンロー(連邦政府機関が定める法律。全州に適用される)
州法
等で定められている規定と矛盾する場合、これら政府機関が定める規定に軍配が上がるのです。
HOAが各物件のオーナーを縛ることが出来ない項目例について、本日も続けます。
ディッシュ・ネットワークの設置
ディッシュ・ネットワーク(Dish Network)とは、アメリカの衛星放送サービスのことです。
各種テレビ番組が充実しており、地下を這うケーブルテレビよりも毎月の受信料が比較的安いために根強い人気があります。
設置方法としては上の写真のような受信媒体を家の外壁に設置し、電波を受け取って屋内のテレビで番組を視聴出来ることになります。
映像が天候に左右され易い為に個人的にはケーブルテレビにしているのですが、モーテルではこのディッシュ・ネットワークを各部屋に導入しているパターンが多いものです。
そしてこのディッシュ・ネットワーク。
電波を受信しやすくする為に外壁の高い位置に設置する必要があり、HOAのCC&Rsで使用禁止が規定されている場合がよくあります。
これもまた「ディッシュが景観を壊す」という理由です。
HOAとしても地地域一体の資産価値保全に努めたいからではありますが、結果として地域住民はケーブルテレビしか選択したなくなってしまいます。
。。と思いがちですが、実は「Over-the-Air Reception Devices Rule」という連邦政府機関の規定により、アメリカ国民は自由に映像電波を受け取る権利が保証されているのです。
厳密には、ディッシュを壁に設置して映像電波を受け取る権利はFederal Communications Commission(連邦通信委員会)により定められています。
仮に外壁に設置したディッシュに対して
「◯◯日までに外さないと、$◯◯◯の罰金です」
と通知されたとしても
「FCCの規定で個人の自由なはずですよね?」
と返せるわけです。
敷地内の植物
HOAの規定にありがちなのが「物件敷地内に植える植物の種類の指定」です。
ここもまた景観を守る趣旨になりますが、運営がしっかりとしたHOAであるほど「地域のデザインプラン」がきちんと定義されており、
・この区域の壁の色はこの色で統一
・この区域の植物は◯◯で統一
・この区域はストリートにヤシの木を
などなど、ひとつの街づくりのように細かく指定されています。
そんな中であなたの家だけが
「ここは砂漠気候(南カリフォルニア)ですから、うちはサボテンシリーズでいきます」
と突っぱねると警告を受けることになるのです。
けれども、ここもまた州法があなたの権利を守る範囲となります。
厳密にはすべての州ではありませんが、
California(カリフォルニア州)
Florida(フロリダ州)
Texas(テキサス州)
これらの州であれば
「エコ・プラント(空気を浄化してくれる自然系の植物)」
である場合に限り、自分の庭先に持つ権利を保証してくれるのです。
佐藤も自分の中で後手後手に回っている計画として
「裏庭を(人口芝生 + 南の島系の植物)で埋め尽くす」
というものがありますが(急ぎではないので放置中)、実際に動いた際にHOAの許可が下りない状況になれば
「いえ、エコ・プラントをもつことは州法で権利が守られていますよね?」
と訴えることが出来るわけです。
。。。
かくして、HOAは所属する物件のオーナーに対して強い権限を持っていることは間違いありません。
HOAの名誉の為に繰り返しとなりますが、その意図は何もいたずらに罰金を課して運営資金を稼ごうとするものではなく(当たり前に運営されていれば毎月のHOA料金で十分運営出来るはず)、あくまでも地域一帯の価値を保ちたい意図がそこにはあるのです。
とはいえ、本日までにお伝えした連邦政府や州政府により守られている権利についてはHOAの権限は及びません。
同時に、何らかの罰金が課せられたとしてもその通知内容を鵜呑みにはせず、まずは
「罰金$◯◯◯とあるが、こんなルールはCC&Rsに記載されていたかな?」
と、購入契約期間中に受け取っているはずのCC&Rsに必ず目を通して確認するようにしましょう。
もしも関連事項の記載がないのであれば、新規ルールを突然あなたにぶつけてくることは出来ませんから大いに主張する余地はあるのです。
周辺一体の資産価値保全に頑張ってくれるHOAに感謝しつつ、同時に越権行為を被らないように時には注意深く、HOAとは上手に付き合っていくとよいと思います。
投資案件をメールマガジンで無料購読。
下記よりメールアドレスをご登録ください。