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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
昨日から1929年のあの時期を振り返っています。
今回のコロナウイルスに端を欲する世界経済の打撃について、アメリカの中ではもはや
「2008年以降のリーマンショックレベル」
ではなく、
「1929年以降の大恐慌レベル」
に焦点が当てられています。
先進国と発展途上国の全てが一斉に減速し、
商品相場低迷
世界貿易の後退
同時多発的な景気後退
と、あらゆる点が大恐慌に酷似しているという現実。
歴史は繰り返すといいますが、人類はまさに100年に1度の現象に再度遭遇しているのかもしれません。
もちろんここでは不必要に不安を煽る意図はなく、むしろみんなで前向きに現状を乗り越えるべき時期です。
私(佐藤)も本当に微力ながら、少しでも社会に貢献出来ることはないかと考えながら項を上げ続けていきたいと思います。
そこで昨日から、1929年前後のアメリカ不動産の動向をプリンストン大学が独自に調べ上げた成果をお借りしてご紹介しています。
改めて統計グラフを見てみましょう。
上記は1880年の物件価格をインデックス(指数)100としたグラフですが、当時から現代までの
Home Prices(物件価格)
Building Costs(建築コスト)
Population(人口)
Interest Rates(金利)
の推移がよく分かります。
不動産価格の推移ついてまず指摘できるのは、
第一次世界大戦前後の9年間 … 不動産価格が37ポイント下がる
1929年以降の3年間 … 4ポイント
という特徴です。
1929年からの大恐慌では不動産価格は総じて4ポイントしか下落していません。
例えば$250,000の物件であれば
$240,000($250,000 × 0.96)
まで下がったことになりますが、これは2007年から始まった不動産価格暴落の時よりは遥かに低いものですし、それ以前の第一次世界大戦前後に37ポイントも下がっている方が明らかに目立っています。
第一次世界大戦前後の方が、大恐慌以前の時期が値下がりしているとはどういうことでしょうか。
1929年前後のアメリカ不動産について、今日も続けます。
第一次世界大戦前後に価格上昇の条件は揃っていた
物件価格は他のモノと同様に
需要があれば価格は上がり
需要がなければ価格は下がる
という反応を示します。
そして不動産需要の三大要素は
人口
人口動態
賃金・雇用機会
です。
グラフをみても分かるとおり、当時から現代までアメリカの人口は一定して増加しています。
この点は第一次世界大戦前後でも同じです。
そこで雇用機会はどうでしょうか。
ここで当時の失業率の詳細を見ていきたいところですが、残念ながら当時のアメリカの失業率を俯瞰する資料は手に入っていません。
局部的な職種の資料はあるのですが、全体を見渡すには不十分です。
一つ確かなことは、第一次世界大戦前後のアメリカは決して不景気ではありませんでした。
それどころかヨーロッパを中心に展開された第一次世界大戦の特需で、いわゆる大戦景気が起こって戦後の世界経済を牽引するまでに成長しています。
その一つの証拠として、上記のグラフでも建築コストが同時期に大きく跳ね上がっているわけです。
別の証拠として、この時期のアメリカのインフレ率は相当上がっています。
下記のグラフをご覧ください。
1916年にはいってからどんどん物価が上昇していることが分かりますね。この時期の最高インフレ率は1918年11月の20.7%です。
この時はいわゆる特需による好景気に沸いた「陽性インフレ」が起こっていたことが分かりますし、これで同時期の建築コストの増加も説明がつきます。
資材や人件費が大幅に上昇し、当時の高コストにつながったと思われるのです。
けれども不動産価格は下がった
ところが興味深いことに、同時期に物件価格は急降下しています。
人口が増えた
失業率は低い
高いインフレ率
という条件であれば、物と同様に不動産価格も上昇傾向にあるはずです。
不動産需要の要素はほぼ完全に満たしているはずなのに、不動産価格はこの時期に大きく下がっているとは一体何が起こったのでしょうか?
この原因について、私(佐藤)はおそらくNAR(National Association of Realtors:全米不動産協会)が大きく影響したのではないかと考えています。
NARは今でも存在する、1908年5月に設立された全米のリアルター協会です。
シカゴにおいて
The National Association of Realtors
という名称で発足し、その後に1916年に
The National Association of Real Estate Boards
へと改名しています。
現在はNational Association of Realtors(略してNAR)と呼ばれ、全米の不動産協会の中心として全国の不動産業務に影響を与えています。
この当時のアメリカ不動産協会が最も力を入れたのは「Code of ethics(倫理規定)」についてでした。
言い換えると、倫理規定をしっかり定めることが全米不動産協会の設立理由といってもよいかもしれません。
どういうことかと言えば、1900年代初期までのアメリカ不動産売買はいわゆる「ぼったくり」が横行する世界でした。
歴史を振り返ると、欧州から北米へ移民が数多く移り住み始めたのは1600年代からです。
1627年にはオランダ提督のピーター・ミニュットが現地のインディアンたちと物々交換を行い、その流れでマンハッタン島をモノと交換したことはよく知られています。
その時に提督が渡したものは
- 布
- 短剣
- ビー玉
という24ドル相当の品だったと言います。
もちろんインディアンの彼らにとっては不動産売買の概念など存在しないわけですが、これを現代の基準で考えれば史上最大のぼったくりですね。
その後もアメリカ大陸は人口が増えると同時に、生活に必須となる住は当時から売買が開始されてきました。
当時のアメリカ大陸に売買の基準などありませんから、ある意味ヨーロッパの不動産業者にとってはルールの存在しない新天地だったのです。
それから人口増加と共に不動産売買は活発になっていきますが、前述のようにアメリカの不動産売買は1900年初頭までは倫理規定が定まっておらずにぼったくりが横行する世界でした。
売主
買主
この二者がいた時にぼったくられてしまうのは大抵は買主。
現代のように
「売買契約中に不動産権を調べることが出来る」
「売買契約中に物件の状態を調べることが出来る」
などという買主を守るための法律など存在していません。それどころか、価値のない物件を不当に高く売る行為が横行していたのです。
結果としてアメリカ不動産価格には統一感がなく、不当に高額な売買が横行する傾向がありました。
1929年前後のアメリカ不動産の動向について、明日に続けます。
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