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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
7月度のカリフォルニア市場の実績が発表されました。
最近の項で
「市場全体を俯瞰する」
という考え方について、今回のコロナウイルスによる影響を踏まえながらリアルタイムのケーススタディ形式でお伝えしています。
昨日までは
Mortgage Forbearance(モーゲージ・フォーベアランス)の今
について見ていきましたが、今日は
カリフォルニア市場の今
を見ていきましょう。
コロナウイルスが本格化して以降4月からのカリフォルニア市場の様子を追っていますが、カリフォルニア市場の様子は全米の先行指標としても使われており、少し先の全米全体の市場傾向を捉えるのにも役に立ちます。
そこで今回は4ヶ月目となる7月度ですが、7月までの統計で2020年夏の傾向がはっきりと現れてきました。
詳細をみてみましょう。
市場は力強い回復を見せている
カリフォルニア市場の6月度の特徴としては
「4月から5月にかけて大きく下落した価格が反発するかのように回復した」
というものでした。
そこで今回特に注目しておきたいのは
「6月度に引き続いて7月度の市場は引き続き回復しているのか、それとも価格は下がっているのか」
という点です。
まずは最新の7月度分に加えて過去4ヶ月分を一気に並べてみます。
(クリックで拡大出来ます)
いかがでしょうか。
数字は嘘をつかないものですが、間違いなくカリフォルニア市場は
「力強く回復している」
と言えそうです。
まず、中央値でいえば見事に全ての地域において6月度の実績よりも物件価格が上昇していることが分かります。
興味深いのは6月度の比較で物件価格が上昇しているのみならず、昨年2019年7月度と比較しても明らかに価格が上昇しているという点です。
最もその回復ぶりが目立つのは中部沿岸地域であり、6月度よりも6.6%価格が上昇するに加えて昨年比では14.6%も価格が上昇しています。
それでは価格は上昇しているにせよ、販売数の方はどうでしょうか。
こちらは4月と5月で大きく販売数が下がった後、6月には大きく反発しています。
同じ中部沿岸地域では6月度に販売数が前月比で83.5%回復していたところ、7月は前月6月度との比較で33.1%の伸びです。
ということは中部沿岸地域に至ってはペースがほぼ回復していると言えます。
しかも昨年比で販売数は21.9%の伸びですから、市場の回復ぶりは疑いようがありません。
市場回復の理由と今後の予想
ここまで市場が回復してくると気持ちがいいくらいですが、その真因は何でしょうか。
いっても、カリフォルニア州は今や全米で最もコロナウイルス感染者数が多い地域です。
当初こそニューヨーク州の感染者数が最も多かったものですが、しばらくしてカリフォルニア州がニューヨーク州を抜いてから感染者数では全米最多が続いています。
佐藤の実感としては
「マスクはそれなりに習慣づいているものの、人々の気は緩んでいる」
と思いますし、不動産売買についても同様でマスク着用で気をつけてはいるものの3月や4月当初の気配はありません。
そしてそれ以上に上記の数字が証明する通りで、不動産市場は元気に動いているのです。
この背景にある一番の理由はやはり
「アメリカ不動産金融市場で最も低い金利」
だと思います。
「コロナウイルスはいつか収束する」
「それなら金利が低い今のうちにモーゲージを組んでおいた方がいい」
そんな風に考える人々が多いことが数字で証明されています。
誰にとっても毎月のモーゲージ支払いは最も大きな出費ですから、少しでも出費を抑えたい人々は元気に動いているのです。
改めて、FRBによる実質ゼロ金利政策は不動産市場には大変な効果を発揮していることが分かります。
そこでこの動きを捉えて日本でも早速
「アメリカ不動産はここから高騰に向かう」
「今こそが買いのチャンス」
そんなポジティブな煽りに近い見出しの記事がポロポロ出ているようです。
確かに今の低金利はしばらくは続くでしょうし、物件購入を考えている人々にとっては好材料が続くことは間違いありません。
けれどもそれなら今の勢いがそのまま継続するのかといえば、そこは決して楽観視は出来ないと思います。
楽観視出来ない理由は、昨日までにお伝えした今後の差し押さえ件数増加の可能性です。
今でこそMortgage Forbearance(モーゲージ・フォーベアランス)の影に隠れて差し押さえは発生していませんが、フォーベアランスでは
遅延ペナルティ
利息の加算
等の措置は行われない一方で、過去の滞納総額が免除されるわけではないのです。
そうすると普通に考えて、今の低金利を捕まえて
リファイナンスする
価格が高いうちに売却する
のいずれかの措置を取らないのであれば、早晩差し押さえ件数が増えてくることはほぼ避けられないと思うのです。
そして差し押さえ件数が増えてくることは、市場にとっては「在庫が増えて供給の割合が高まる」ことを意味します。
需要と供給のバランスでいえば需要に対して供給の方が大きくなり始めるわけですから、物件価格は下げの方向に向かう可能性が高いことになります。
それでは2008年の暴落が再現されるのかといえば、少なくとも不動産業界発の暴落の可能性は低いように思います。
なぜなら、2008年と比較するとサブプライムローン数は圧倒的に少ないからです。
あの時期はアメリカ人の感覚は完全に麻痺してしまい、不動産バブルの真っ只中でした。
物件価格上昇を期待して目先の利益に目がくらんだ人々が明らかに自分が購入できるレベルにない物件を所有し、バブル崩壊の一因となったのです。
その意味では不動産市場そのものが自らトリガーを引く可能性は低いと思います。
それよりもむしろ怖いのは、2008年当時のほぼ倍に膨れ上がったデリバティブ商品ではないでしょうか。
前回の世界金融危機はリーマン・ブラザーズ発でしたが、どこかの大手金融機関が引き金を引いて世界中で連鎖反応が起こるとすれば、その結果は2008年の比ではないように思います。
そこから失業者が再び一気に増え、結果として家を失う人々が出てくることはあるかもしれません。
いずれにせよそのような懸念事項はまだまだ多く、その意味では
「アメリカ不動産はここから高騰に向かう」
という見解には同意出来ないように思うのです。
私達は引き続き、アメリカ不動産市場を冷静に観察し続けていきましょう。
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