昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
「なんちゃってフォーベアランス組みがいる」
という趣旨でお伝えしています。
改めて定義をお伝えしておくと、Mortgage Forbearance(モーゲージ・フォーベアランス)は「差し押さえ権利行使の差し控え」であり、
モーゲージローン支払いを無条件に待ってもらえる
遅延・滞納に関するペナルティは課されない
けれども過去の滞納累積額が免除されるわけではない
という条件の元に加入できる米国政府支援プログラムです。
大げさではなく、やや乱暴に言えば
「手を上げればモーゲージローン保有者は誰でも恩恵を受けられる」
というのが現状です。
「Mortgage Forbearance(モーゲージ・フォーベアランス)は本当に必要なのか?」
といえば、このような難局には必要な措置だろうと思います。
けれども申し込むべきは、
「本当にモーゲージローンの支払いが出来ない人々」
であるべきです。
例えば、モーゲージローンを保有する人々を
A … 収入が激減し、モーゲージローンが本当に支払えなくなった。
B … コロナウイルスの影響で収入が少なくなってきた。先が心配。
C … ちょっとやそっとでは揺るがない。モーゲージローン支払いは大丈夫。
という3つのカテゴリーに分けたとしましょう。
当然、米国政府がCARES ACT(ケアーズ法)を通して意図しているMortgage Forbearance(モーゲージ・フォーベアランス)の対象は
カテゴリーA
にいる人々です。
けれどもその審査基準は緩いのが現実であり(緩くせざるを得ないのかも)、手を上げれば誰でもプログラムが適用される、ある種の無法地帯になっていることは指摘しておかなければなりません。
カテゴリーC
の人々は論外ですし、
カテゴリーB
にあったとしても、その気持ちはよく分かりますが、転ばぬ先の杖のようにMortgage Forbearance(モーゲージ・フォーベアランス)を適用させることは倫理的にも憚られます。
そもそもMortgage Forbearance(モーゲージ・フォーベアランス)は本当にモーゲージローン支払いが出来ない人々の為のものですし、自分が支払わなかったとすれば、誰かがそのツケは支払わねばならないのです。
例えば商業部門で言えば、
こちらもその一例です。
Mortgage Forbearance(モーゲージ・フォーベアランス)によるモーゲージローンの影響が全てではないとはいえ、大なり小なりMortgage Forbearance(モーゲージ・フォーベアランス)の施行による影響は誰かが被らなければなりません。
そうすると、
B … コロナウイルスの影響で収入が少なくなってきた。先が心配。
C … ちょっとやそっとでは揺るがない。モーゲージローン支払いは大丈夫。
これら2つのカテゴリーに入る人々は、倫理的にもMortgage Forbearance(モーゲージ・フォーベアランス)の適用を受けるべきではないだろうと思います。
「取れる利益はグレーでも取っておきたい」
そんな心理は誰にでも起こり得るものです。
そこで上記のBやCのカテゴリーに入る人々がMortgage Forbearance(モーゲージ・フォーベアランス)の適用を受ける場合、その効果は不動産投資で例えると減価償却や1031 Exchangeに似たものがあります。
等価物件と交換する1031 Exchange(別名Like-kind exchange:ライクカインド・エクスチェンジ)は、その歴史は1921年からと古く、来年に施行100周年を迎えます(笑)。
いわゆる投資物件売却時のキャピタルゲイン課税を繰り延べ出来る仕組みであり、1031 Exchangeを使うことで
物件A ⇒ 物件B ⇒ 物件C
と買い替えをしていく限り、物件Aの簿価との現状の物件価値との差額に起こり得る税金は繰り延べが続いていきます。
この税制には米国政府の
「物件をどんどん購入させ、不動産市場を活性化させると同時に住環境を拡充させてたい。」
そんな意図があります。
この仕組みが景気刺激政策の一つとして健全に働いてきたからこそ、税制として長く残され来年は100周年を迎えることになるのです。
すなわち不動産投資家としては
減価償却
1031 Exchange
これらを活用することで手元にキャッシュを残すことが出来ますから、その残ったキャッシュをもって次の投資に動けることになります。
そこで今回のMortgage Forbearance(モーゲージ・フォーベアランス)では例えば
住居物件モーゲージローン:$1,200/月
商業物件モーゲージローン:$4,200/月
という2つがあった場合、年間にすると
住居物件モーゲージローン:$14,400
商業物件モーゲージローン:$50,400
と相当な額になります。
モーゲージローンは個人としては最も大きな毎月の支出ですし、ビジネスでも大きな固定費としてのしかかっています。
そこで今は支払える体力があったとしても、
「この先に何かあった時の為に、念の為。」
と現金を手元に残したい意図でMortgage Forbearance(モーゲージ・フォーベアランス)を適用させている例があるのです。
このなんちゃってについては正確な数字は決して出てくることはありません。
個人であれ法人であれ、
「○○の理由で支払えない」
とはいくらでも言えることですし、その状況も刻々と代わってきますから、
「本当は必要のないフォーベアランス数」
を把握することは不可能です。
すなわち、この場合はMortgage Forbearance(モーゲージ・フォーベアランス)が期限切れとなれば過去の滞納分を一遍に支払って精算するはずですから、「なんちゃってフォーベアランス」が需要の増加に影響を与えることはないのです。
結果として現在の340万件のMortgage Forbearance(モーゲージ・フォーベアランス)適用数の中で
「本当は必要のないフォーベアランスが何パーセント隠れているのか」
ここが年末からのアメリカ不動産価格に影響することは間違いないそうです。
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