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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
アメリカ不動産とインフレの関係についてお伝えしています。
「家賃はインフレと共に上昇していく(運営事情からも家賃は増額する必要)」
「住居物件の価格はインフレに間接的に影響される(直接の要因は人の心理と購買力)」
この前提で、昨日は1929年以降の大恐慌の時代をみていきました。
1929年以降の数年間、アメリカ経済はデフレに陥っていたことが当時の記録から分かります。
今一度
インフレ率の変化
物件価格指数の変化
の2つを並べると、
年代 | インフレ率の変化 | 物件価格指数の変化 |
1928年 | -1.2% | 2.7% |
1929年 | 0.6% | -0.9% |
1930年 | -6.4% | -4.3% |
1931年 | -9.3% | -1.2% |
1932年 | -10.3% | -0.4% |
1933年 | 0.8% | 6.6% |
1934年 | 1.5% | 0.6% |
このような感じでした。
興味深いのは、この時期のデフレ下で大量の失業者が出る中でも物件価格はそれほど大きく下がってはいません。
本年の4月から6月までの急激な下落にしても、その理由は失業者が大量に出た影響もさることながら「ロックダウンで家を買うどころじゃない」という要素も大きかったということが言えそうです。
そうすると大量の失業者が出る状況下においても今回のパンデミックのような特殊な事情がない限り、インフレとの間接的な関係において不動産価格の下げは2008年以降のレベルには至らないだろう見立てがつきます。
そこで今度は反対に、インフレが急上昇した場合はアメリカの不動産価格はどのような動きを見せるのでしょうか?
この点も過去の歴史を振り返ることが参考になりますので、近代史で急激なインフレが起こった代表的な時期として「ニクソンショック」以降の数年間を辿ってみましょう。
物価が急騰する最中の不動産価格は
1971年8月15日、当時のニクソン大統領がラジオで新経済政策を発表しました。
その発表の焦点は
- 10%の輸入課徴金
- 米ドルと金(ゴールド)の交換が停止
です。
それまで長い間
金(ゴールド)1オンス = $35
の固定価格で金(ゴールド)に価値が紐付けられていた金本位制は終わり、日本円も
$1 = 360円
の固定相場制が崩れ、近代金融資本主義は新しい時代に入ることとなりました。
同年の12月には「スミソニアン協定」が結ばれ、金(ゴールド)とドルは交換出来ない条件のままで新しい固定相場の合意がなされています。けれどもこのスミソニアン体制は長続きせず、各国はそのまま変動相場制へと移行することになります。
日本が正式に変動相場制に切り替えたのは2年後の1973年のことです。
そこからドルの価値は下落を続け、1978年には
$1 = 200円
を下回るまでドル安が進んでいきます。
ドル安ということはドルの価値が低くなり、例えば
ハンバーガー1個 ... 80セント
で買えていたものが、
90セント
1ドル
。。。
と、どんどんモノの値段が高くなることを意味します。
そこでこの時のアメリカ国内のインフレ率の変化を見てみましょう。変化が分かりやすいように、長めに1971年から1982年の期間でインフレ率の変化を並べてみます。
年代 | インフレ率の変化 |
1971年 | 3.30% |
1972年 | 3.40% |
1973年 | 8.70% |
1974年 | 12.30% |
1975年 | 6.90% |
1976年 | 4.90% |
1977年 | 6.70% |
1978年 | 9.00% |
1979年 | 13.30% |
1980年 | 12.50% |
1981年 | 8.90% |
1982年 | 3.80% |
それまで3%台で推移していたインフレ率は1973年に各国が変動相場制に移行した途端、急上昇を始めていることが分かります。
特に
1973年 ... 8.70%
1974年 ... 12.30%
とスカイロケット式に物価が高騰している当時の様子が数字から分かります。
そこで同期間の物件価格指数はどうでしょうか。
年代 | 物件価格指数 |
1971年 | 109.2 |
1972年 | 110.1 |
1973年 | 105.9 |
1974年 | 102.5 |
1975年 | 102.3 |
1976年 | 103.8 |
1977年 | 109.1 |
1978年 | 116.7 |
1979年 | 121.1 |
1980年 | 117.1 |
1981年 | 112.8 |
1982年 | 108.5 |
数字をパーセンテージに修正します。
年代 | 物件価格の変化 |
1971年 | 1.20% |
1972年 | 0.80% |
1973年 | -3.80% |
1974年 | -3.20% |
1975年 | -0.20% |
1976年 | 1.50% |
1977年 | 5.10% |
1978年 | 7.00% |
1979年 | 3.80% |
1980年 | -3.30% |
1981年 | -3.70% |
1982年 | -4.30% |
2つを並べてみると
年代 | インフレ率の変化 | 物件価格の変化 |
1971年 | 3.30% | 1.20% |
1972年 | 3.40% | 0.80% |
1973年 | 8.70% | -3.80% |
1974年 | 12.30% | -3.20% |
1975年 | 6.90% | -0.20% |
1976年 | 4.90% | 1.50% |
1977年 | 6.70% | 5.10% |
1978年 | 9.00% | 7.00% |
1979年 | 13.30% | 3.80% |
1980年 | 12.50% | -3.30% |
1981年 | 8.90% | -3.70% |
1982年 | 3.80% | -4.30% |
このようになりました。
興味深いことに、急激にインフレが進み始めた1973年から物件価格は下がり始めています。ここでは明らかに人々の購買力の低下が反映されているようです。
けれども反対に1977年からはインフレ率がかなり進んでいるにも関わらず、物件価格は急上昇しています。
インフレ率と物件価格の変化は比例しない証拠がここにもあります。
実はこの時期に物件価格が急上昇した理由は、当時の政策として銀行がモーゲージローン審査に必要なクレジットスコアを大きく引き下げた為です。
結果としてこの時期にプチ不動産ブームが起き、需要が高まった結果として不動産価格が急に上昇しています。インフレ率が急上昇しているにも関わらずです。
その後の高金利政策により物件価格の上昇はマイナスに抑えこまれますが、このことは2008年前のサブプライムローンと同様に
「借り手の層が広がってくると、インフレの急激な上昇にも関わらず需要は増える。」
ということが言えそうです。
すなわちアメリカ不動産とインフレの関係は常に「間接的」であり、直接の要因は人々の心理である上でその力学としては
「物価高騰から買い控える心理」 < 「モーゲージローンの組み易さに動かされる心理」
であり、いつの時代にも人々は利益を中心に動くことが分かります。
「人の心理はいつの時代にも変わらない」
このことは間違いないようです。
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