昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
この年末に本当の数字を把握しておきたいカテゴリーとして
「失業率(Unemployment Rate:アンエンプロイメント レート)」
についてお伝えしています。
不動産投資を実践する者としては失業率の数字には敏感になっておく必要があります。
失業者の数はそのまんま、
⇒ 物件を購入出来る人々の数が減る
⇒ 所有している物件のモーゲージが支払えない人々が増える
⇒ 賃貸している物件の家賃が支払えない人々が増える
等に反映されてきますから、自分が不動産投資を検討している市場において
- 失業者の割合はどれくらいなのか
- その割合は高くなっているのか、それとも低くなっているのか
は極力正確に把握しておくべき。
政府肝いりの民間企業が根付いている地域市場であれば一時的に失業率が高くなったとしても、むしろ今の時期に失業率が高まっているのであれば逆に参入の好機ともいえます。
けれども通常は失業率が高いかつ増加傾向にあるとなれば、その市場への参入には自分にストップをかける必要があります。
そんな風に不動産投資の判断においては極めて重要な意味合いをもつ失業率という数字ですが、実際には
- 報道で出される失業率
- 経済学者が公の場で説明に使用する失業率
これは実態を現わしてはいない事実があります。
米国の本当の失業率について、本日も続けます。
米国政府が仕分ける6つのカテゴリー
そこで失業率に対する実態を正確に把握する為には、米国政府による集めた数字の扱い方を知っておく必要があります。
先にデータ元をお伝えすると、米国の失業率が最も正確に分かるのは連邦政府機関の一つである
U.S. BUREAU OF LABOR STATISTICS(アメリカ合衆国労働省労働統計局)
のホームページです。
ここには米国の雇用に関するありとあらゆる数字が集められ、その統計結果が掲載されています。
この政府機関は
- 労働市場の活動水準
- 労働条件
- 価格変動
等を調査集計し、定期的に公表する役割を担っているのです。
全米の失業者数もまたこの労働省労働統計局に集められた数字を元に発表されており、この政府機関以上に正確に近い数字を出せる機関は存在していません。
そして失業者の統計において知っておきたいのは、この労働省労働統計局は失業者を6つのカテゴリーに区分して発表しています。
その6つのカテゴリーとは下記のとおりです。
U-1:Persons unemployed 15 weeks or longer, as a percent of the civilian labor force
(米国の労働力であり、15週間もしくはそれ以上の期間失業中の者)U-2:Job losers and persons who completed temporary jobs, as a percent of the civilian labor force
(米国の労働力であり、職を失ったもしくは非正規雇用が終了者)U-3:Total unemployed, as a percent of the civilian labor force (this is the definition used for the official unemployment rate)
(米国の労働力であり、完全な失業者)U-4:Total unemployed plus discouraged workers, as a percent of the civilian labor force plus discouraged workers
(米国の労働力であり、完全な失業状態、就業意欲喪失者)U-5:Total unemployed, plus discouraged workers, plus all other marginally attached workers, as a percent of the civilian labor force plus all marginally attached workers
(米国の労働力であり、完全な失業状態、就業意欲喪失、縁辺労働者)U-6:Total unemployed, plus all marginally attached workers, plus total employed part time for economic reasons, as a percent of the civilian labor force plus all marginally attached workers
(米国の労働力であり縁辺労働者、完全な失業状態、縁辺労働者、経済的事情により完全なパートタイム雇用者)*「U」はUnemploymentのU
アメリカ合衆国労働省労働統計局による失業者指標カテゴリー
*縁辺労働者 … 過去12カ月就職活動し続けていたが、直近の過去4週間は就職活動をしていなかった者
*( )内は佐藤の意訳
米国の労働事情を分類・分析する労働省労働統計局は上記の定義で失業者を分類しています。
そしてここがポイントですが、世界中の人々が報道で目にする米国失業者の数字は実は「U-3」のカテゴリーの人々なのです。
実際に
U.S. BUREAU OF LABOR STATISTICS
上記の6つのカテゴリーのU-3の最後には
「official unemployment rate(公式失業率)」
と書かれてあり、同じく連邦政府機関であるセントルイス連邦準備銀行の失業率の統計ページ
上記の中でも
「This rate is also defined as the U-3 measure of labor underutilization.(この割合は未活用労働のU-3指標とも定義される)」
と明記され、U-3を使った数字で公表していることが分かります。
結局のところ、世界中に告知される米国の失業率は6つのカテゴリーの中で真ん中の統計に過ぎない(全ての数字は反映していない)ということです。
そこで私たちとしては、米国の失業については報道されるU-3ではなく常にU-6に注目しておかなくてはなりません。
ここから、メディアでは報道されない米国の本当の失業者数であるU-6指標の実態を見ていきましょう。
明日に続けます。
投資案件をメールマガジンで無料購読。
下記よりメールアドレスをご登録ください。