こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
すぐる12月20日、アメリカ国会はコロナウイルス対策の一環として900ビリオンの追加救済法案を可決しました。
数字を簡単に、
$1 = 100円
で計算すると90兆円です。
本年3月以降、コロナウイルス対策について様々な救済法案が検討されてきましたが今回の追加救済法案は特に
「二回目のStimulus Check(スティミュラス・チェック:景気刺激政策としての現金支給)」
を中心に議論が二党の間で完全に別れ、揉めにもめてなかなか追加法案が決定できない状態が続いていました。
不動産投資家に影響する要素として当ブログでは
- Pandemic Unemployment Compensation(パンデミック失業手当)
- Eviction Moratorium(エヴィクション・モラトリアム)
の二点をあげていましたが、これらについても救済法案に含まれています。
そこで目の前の2021年アメリカ不動産市場に飛び込む前に、本年の締めくくりとして今回発表された追加救済法案の詳細についてポイントを押さえておきましょう。
アメリカ不動産投資を実践する方々、来年に参入を検討されている方々が押さえておきたいポイントは下記の通りです。
追加スティミュラス・チェック

当ブログではスティミュラス・チェックを「景気刺激政策としての現金支給」と意訳していましたが、要は政府からの現金支給のことです。
この点は日本でも10万円の現金支給が実施されていたと思いますが、米国では先駆けて一定の年収以下の方々を対象に$1,200が一律に支給されていました。
あくまでも統計上ですが、この時の支給金の多くは狙い通り食料や家賃支払い等、日々の生活資金として活用されたと発表されています。
実際には各種借金の返済に使われた部分も大いにあるだろうと思いますが、いずれにせよアメリカに納税する人々の生活の一助になったことは間違いありません。
そして今回第二弾となるスティミュラス・チェックについてはその額が
「$600」
と決定しました。
一定の収入以下(2019年の年収が$75,000以下)になる方々を対象に一律に$600が支給されることになりますが、こちらは比較的速やかに対象者の口座(昨年の納税時に登録した口座)に直接振込、もしくはチェック郵送となります。
対象者の方々は多少なりとも懐が温まり、年を越すことになりそうです。
パンデミック失業手当の継続

次に、当ブログでも触れていた
Pandemic Unemployment Compensation(パンデミック失業手当)
についても延長が決定しました。
米国では他国と同様、コロナウイルスが拡散する以前から失業者手当は存在しています。
これとは別に、コロナウイルスの影響で仕事を失った人々を対象に救済措置となるパンデミック失業手当が実施されていたものが
2020年12月26日
に期限切れになる予定だったのが延長される形です。
この点は昨日までに今のアメリカの本当の失業率について言及していたとおりでパンデミック失業手当の終了による影響が懸念されていましたが、今回の追加救済法案により延長が決定となりその影響は緩和される見込みです。
ただし、その金額は前回の半分となる
$300/週
となり、また期間は今回期限切れとなるその日から11週間の延長で、
2020年12月26日 ~ 2021年3月14日
となります。
ちなみに詳細を付け加えると、
「2021年の年明け後も失業状態が続いていた」
という場合はさらに3週間追加で
2021年4月5日
までの失業手当延長となります。
おそらく受給する人々はほとんどがその延長対象になると思われますので、今回のパンデミック失業手当の延長は実質的に2021年4月5日までと考えておいてもよいかもしれません。
またもう少し厳密にいえば、受給額は受給者が暮らす州、または受給者の条件により大きく違ってきます。
この点は米国労働省が発表しているデータをもとにCNBCニュースが
- 受給最低額
- 受給平均額
- 受給最大額
の3点にまとめて分かりやすく発表しているグラフを引用してみます。

各州により随分と開きがあることが分かりますが、最低ラインの$300が確保され、受給者が受け取る平均額は概ね$600あたりになるだろうことが予想されます。
以前はテナントが家賃が支払えない場合はすぐに強制退去となるところ、それを禁止する法律により今は強制退去はできない状態が続いています。
そこでテナントが家賃が支払い続けられるか否かは不動産投資家にとってもかなり気になるところです。
もしも家賃が支払えない場合、物件オーナーが家賃を受け取れずに最悪の場合はモーゲージの支払いができないことになります。
それが今回はパンデミック失業手当の延長により、多くのテナントは家賃支払いの継続が可能な条件が整ったといえると思います。
大きく分けると
- すでに家賃滞納を始めている世帯
- パンデミック失業手当により家賃は支払えていた世帯
の双方がある中で、後者については多くの場合、家賃支払いの継続は可能になるものと予想されます。
結果として家賃収入が続く賃貸物件のオーナーはほぼ維持されることとなり、物件を手放さなければならないパターンは随分少なくなるはずです。
今回の追加救済法案から不動産市場に影響する部分について、明日に続けます。
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