昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
2021年が始まり半月が過ぎましたが、昨年に本格化したコロナウイルスの影響はさらに勢いを増しているように思います。
日本でも緊急事態宣言に入る都道府県が増えているようですが、実際のところ対象地域に暮らす人々が感じているのは
「でも、前回よりも緩いよね?」
そんな対応の甘さなのだとか(日本の友人・知人からの声)。
この点はアメリカも同様(恐らく日本以上)の緩さで、カリフォルニア州は世界で最も感染者数が多い場所ですが、再度ロックダウンと報道されつつも前回と比べるとかなり緩いように思えます。
このあたりは日本もアメリカもその根本はさほど変わらず、
「ウイルスを減少させたい。けれども経済も回さねばならない。」
その対極にある方向性の狭間で揺れ動いているのかもしれません。
かくして昨年はコロナウイルスによる影響は失業率の増加に始まりありとあらゆる業界に及びましたが、その一方で奇妙な動きも見受けられます。
ご存知の通り数多くの業界が大打撃を受けていると言われながらも、不自然に経済全体が盛り上がっている様子があるのです。
米国株は大きく上がり、同時に日本株も最高レベル。
「カネ余りで、コロナ期にも稼がんと元気にお金が動いている」
とだけで片付けるのは腑に落ちない奇妙な動き。
果たして私たちが今見ている経済は健全なのでしょうか、或いはフェイクマーケットなのでしょうか。
当ブログはアメリカ不動産市場に影響し得る要素を網羅していくことを一つの指針にしていますが、今の経済の流れはもちろん根本的にアメリカ不動産市場にも大きく影響してきます。
本年は昨年からの流れを踏襲し、更に混乱を極める一年になることは間違いないありません。
そこでアメリカ不動産市場を観察し続ける私たちとしては、このあたりの経済全体の動きをより正確に把握しておく必要があります。
市場全体の動きに鈍感なままでやみくもに投資をしても、最悪の場合は大きく打撃を受けてしまいかねないからです。
これを土俵に例えるならば、
「土はしっかりと強く固まっているのか」
「土は適当に盛られて緩々ではないか」
「そもそも盛られている土は本物なのか」
と斜に構えて土俵そのものを調べるようなものでしょうか。
両国国技館で行われる大相撲では呼出(よびだし)と呼ばれる方々が総出で作業を行い、過去の土を削って8トンもの新しい土を盛るのだそうですが、この場合は力士は誰一人として土俵の硬さを信じて疑わず、いちいち土の具合をチェックする必要もありません(たぶん)。
けれども不動産市場という土俵に影響する因数は、誰に頼るでもなく自分でモニタリングしておく必要があるのです。
そこで今日から、昨年に続き2021年にも影響し続けている
「アメリカ不動産市場に影響する因数たち」
を捉えておきましょう。
これら因数を深く理解しておくことが、私たちの本年の投資判断力の精度を上げてくれるはずです。
FED(連邦準備制度)が大きく投資に動いている
一番目に掴んでおきたい因数は、
「FED(Federal Reserve System:連邦準備制度)そのものが投資に大きく動いている」
という事実です。
FEDは日本語で連邦準備制度と呼ばれていますが、より本質をついて分かり易く言えば中央銀行制度と同義と捉えて問題ありません。
新聞に出てくる用語としては
FEDであれ、
FRBであれ、
FOMCであれ、
全ては中央銀行に繋がっていますので、ここからは中央銀行と表現します。
そこで先ほどの
「FED(Federal Reserve System:連邦準備制度)そのものが投資に大きく動いている」
とは、
「中央銀行そのものが投資に大きく動いている」
ということです。
言い換えると、特に昨年から中央銀行は「資産購入」をかなり大胆に進めている事実があります。
実際に今の米国株が上昇基調にあるのも中央銀行からの資金が大きく影響している結果です。
盛り上がる米国株式市場の真因は
- 機関レンダー
- 個人投資家
ではなく、中央銀行が株式市場への出資比率を相当に上げていることが大きく影響しています。
それが為にアメリカの投資家達の多くも
「今の米国株式市場はフェイクだ」
と理解しているわけです。
今の株式市場は中央銀行による莫大な資金が投入された結果の「演出された市場」だということです。
この話が一般にも広く出回っている情報元として昨年5月時点のCNBCを取り上げてみます。
Central banks are creating ‘fake markets,’ Bank of America strategists say
こちらの記事によると
Central banks have deployed a total of around $4 trillion of asset purchases over the past eight weeks
CNBC 2021年5月22日分から抜粋
(佐藤意訳:中央銀行、過去8週間でおよそ400兆円の資産購入を展開)
とのこと。
単純に$1 = 100円の計算ですが、8週間で約400兆円を投資とは天文学的な数字ですし、機関レンダーでもこのレベルはまず無理。
「テスラ株が過去最高」
「アマゾンが堅調」
などと枝葉の報道ばかりを見ていると
「コロナ期にも調子のよい業種もあるものだ」
としか読めませんが、実際には今の米国株式市場は中央銀行の意思決定者によって「演出」されていることが分かります。
ここではその中央銀行の意図が良心に基づくものなのか否かの議論は横におきますが、少なくとも今のアメリカ経済が健全ではないことは確かなのです。
いずこの分野であれ、最も影響力の高い者の動きはしっかりと見ておく必要がありますし、アメリカ経済の強者筆頭は機関レンダーではなく間違いなく中央銀行ですから、彼らの動きはよく観察しておく必要があります。
今のアメリカ経済について、ここから更に深堀してみましょう。
明日に続けます。
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