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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
実例でオースティン市場を上げながら、今のアメリカ不動産において最もコントロールするべき変数である
Deliquency(ディリンクェンシー:債務不履行)
についてお伝えしています。
昨年からテスラのイーロン・マスク氏はすっかりオースティン市場の「広告塔」になったかのような感がありますが、
「オースティン市場は50年に一度のブームタウン」
という言葉はあながち的外れではなさそうです。
私(佐藤)自身もアメリカ国内の他の市場でほぼゼロからブームが起こった街を見たことがありますが、オースティン市場は極めてそれら過去の前例と酷似した条件を持ち合わせていることは否定できません。
テスラのみならずアップル社を始めとするコンピュータ関連企業もこぞってオースティンに根付いている意味では、むしろ過去の前例をも凌駕する可能性を秘めているとも言えそうです。
そこで昨日はその実体を観察するべく、
Zip cord(ジップコード:郵便番号)
を切り口として
Travis County(トラヴィス郡)
の一年間の市場の変化を見てきました。
過去一年間の物件価値の変化をもう一度見てみましょう。
まさに口から泡をふいて卒倒してしまいそうなスカイロケットぶりです。
これらの地域で昨年までに物件を購入した人々はガッツポーズを決めているに違いありません。
けれどもここから少し先の時期には
でお伝えしたとおり供給増が起こる可能性があり、本シリーズでお伝えしている
Deliquency(ディリンクェンシー:債務不履行)
こそがその最たる因数です。
その意味ではこのオースティン市場においても飛ぶ鳥を落とす勢いで価格が上昇し続けているとはいえ、流石に債務不履行がゼロということはないはずです。
むしろ仮説を立てるとすれば、
「オースティン市場は将来性が高いからと無理をして購入した層が多い」
「価格上昇が激しすぎて、固定資産税も急激に高くなってきた」
「予想以上の維持費増加でモーゲージ支払いが厳しい」
「実は今の時点でモーゲージ支払いが出来ていない」
そんな世帯も少なくないかもしれません。
そこで本シリーズではいよいよ、オースティン市場の真実に迫っていきます。
イーロン・マスク氏いわくの「50年に一度のブームタウン」に負の面はないと言えるのでしょうか。
このことを数字をもって検証していきましょう。
本日も続けます。
全体の債務不履行件数は
前回までに、私たちはすでに
Travis County(トラヴィス郡)
の物件総数を把握しているわけですが、実際のところ同郡ではどれくらいの債務不履行が発生しているのでしょうか?
たった今の時期は2020年3月に施行されたケアーズ法により、モーゲージ支払いを滞納してしまったとしても融資元は差し押さえてはならない
Mortgage Forbearance(モーゲージ・フォーベアランス)
の中にあります。
モーゲージ支払いが出来ない理由がパンデミックの影響である場合、支払い義務が一時的に免除されて物件に滞在し続けることが出来ているのです。
けれども裏を返せば、モーゲージ・フォーベアランスが期限切れとなった後にはこれらの物件は差し押さえられて市場に出てくる可能性が高いことになります。
このことを最新情報で読み解くと
- 本年3月下旬からモーゲージ・フォーベアランス失効の第一グループが始まる
- 失効対象となる世帯は約60万
- この数はモーゲージ・フォーベアランス適用件数の24%に相当
と発表されています(2021年2月時点)。
そうすると、現時点で影の供給としてその第一弾となる約60万件が3月以降に市場に出てくる可能性があることになります。
ただし、このモーゲージ・フォーベアランスは2021年2月9日に12ヵ月間から15カ月間に延長が決定されました。
そこでより厳密には、債務不履行期間が90日以上を定義とする
「Serious delinquencies(深刻な債務不履行状態)」
に陥っているモーゲージ件数は最新のデータで
343万件
です。
現時点で15カ月間に延長はされましたが、約60万件をスタートとして343万件までどれくらいの数が市場に出てくるかはをよく見極めておく必要があることになります。
この大まかな数字を踏まえた上でTravis County(トラヴィス郡)にはどれくらいの債務不履行件数があるのでしょうか。
ここでもまた真実を掴む上で債務不履行の素因数が必要になりますから、Travis County(トラヴィス郡)全ての物件とは別に
「Travis County(トラヴィス郡)債務不履行状態にある物件」
についても別途データを入手しました。
それによると、
このようにトラヴィス郡全体で21,263件が債務不履行状態にあるとのこと(2021年2月時点)。
ただしこのデータには全ての種類の物件が含まれていますので、前回と同様にAもしくはBから始まるSPTC(州物件種類コード)を持つデータのみに絞ってみます。
すると、
このように13,251件まで絞り込まれました。
ということはトラヴィス郡全体の住居物件(フォープレックス以下)の数は346,827件でしたから、割合としては
3.8%(13,251件 / 346,827件)
という結果が出ました。
つまり、トラヴィス郡全体としてはフォープレックス以下の住居物件では
「100件に3~4件が債務不履行状態にある」
ということです。
基本的に
- 住居物件
- 商業物件
これら二種類は価値基準が完全に異なりますので、フォープレックス以上の物件の価格変動に影響されるということはありません。
そうするとご近所100件中の96~97件の住居物件(フォープレックス以下)が3~4件の差し押さえ物件に影響されるのかという話になりますが、この割合では差し押さえ物件による価格の影響は極めて限定的になるだろうと予想されます。
参考までに、州単位でみた時に債務不履行に陥っている物件が最も多いのは
ミズーリ州 ... 10.4%
で、10件に1件が債務不履行に陥っています。
反対に最も割合が少ない下から数えた3州は
コロラド州 … 3.9%
ワシントン州 … 3.7%
アイダホ州 … 3.3%
です。
ということは、トラヴィス郡を州と比較した時にはアイダホ州に次いで
「全米で最も債務不履行の割合が少ない2番目の地域」
ということになるのです。
もっぱらアメリカ国内全ての郡と並べた時には順位は下がると思いますが、それでも全米全体でみた時には
「トラヴィス郡市場そのものは健全なレベルにある」
ということが言えそうです。
「オースティン市場は50年に一度のブームタウン」
このイーロン・マスク氏の言葉は数字でもその真実性が裏付けられることが分かりました。
明日に続けます。
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