昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
2021年夏に向けて、アメリカ不動産市場もいよいよ盛り上がりに加速が見え始めています。
今のところ、
- バイデン政権の方針
- インフレの風向き
を見ていると「2021年が価格のピークになる」ということはないように見ていますが、それでも
- 連邦準備制度
- 米国政府
この双方が予測しない不測の事態が発生しないとも限らず、アメリカ不動産投資としては
「然るべき市場の然るべきスポットで勝つべくして勝つ」
という手堅い手法が推奨されそうです。
そして春頃からの
- お問い合わせ件数
- お問い合わせ内容
を見ていると、
「老後を真剣に考えて動き始めた方々は多い」
「日本人の投資に対する見方が大きく変化しつつある」
「過剰な儲けではなく、老後の自己防衛策として不動産投資を開始する人々が多い」
と思わずにはいられません。
そこでお問い合わせの中でも準備段階で頂戴する頻度の多い質問に焦点を当てていますが、昨日までに
「所有名義は法人でしょうか、もしくは個人でもよいのでしょうか?」
という質問に対して、佐藤自身の体験談をお伝えしています。
質問への答えは個々の状況に応じて千差万別ですから
- 遺産弁護士
- 公認会計士
といった専門家に相談されることをお薦めしますが、少なくとも私(佐藤)自身は若い時に
「資産というものは所有するとお金の請求がついてくる」
「資産が大きければ大きいほど、多額の請求がやってくる」
と痛感したことから、
「個人名義での資産所有はやめておこう」
と考えたのです。
不動産物件であれば
「ABC Company」
という不動産業専門の法人で所有し、
- モーゲージ支払い
- 管理料
- 固定資産税
- 給与
等の支払い義務を個人ではなく法人が行うことになります。
これらの費用を個人の所得から支出してはかないませんし、
「物件は法人で所有して、費用は全て法人に出してもらう方がいい」
と考えたのです。
スタートはそんな数字上の理由で「法人所有」を選びましたが、それからアメリカ不動産投資家たちに学ぶ中で、かなり重要なポイントに気づくことになります。
それは、
「数字のみならず、法律上も法人所有にした方がよい」
という事実です。
本日も続けます。
【免責】本項に投資アドバイスの意図はありません。ご紹介するのはあくまでも佐藤の知識と経験を共有するものであり、ご自身のケースに適用される前には必ず遺産弁護士・公認会計士にご相談ください。
個人名義の例
分かりやすく、実例を多少脚色してご紹介します。
Aさんは個人名義で物件を購入しました。
自分の家から車で5分程度の距離にある一戸建て物件です。
購入後に賃貸募集を出して間もなく申し込んできたのは、他州から仕事の関係で引越してくるというBさんでした。
Bさんはzillow.comでAさんの物件を見つけ、手頃な広さと写真で見る近所の雰囲気の良さから管理会社を通して申込書を送ってきました。
AさんはBさんと面識がなく、けれども収入やクレジットスコア等の情報では「優良なテナント候補」と判断されたことから、Aさんは入居を許可したのです。
ほどなくしてBさんは街に引っ越し、契約開始日の数日後からAさんの物件で暮らし始めることになりました。
物件そのものはBさんがインターネット上で確認した通りで近所の雰囲気も非常に良く、何よりも仕事とプライベートの双方に最適な環境から
「仕事の契約が続く限り、この物件で暮らしたい」
と引越した数日後には心に決めていました。
通常、物件の管理に管理会社を使う場合はオーナーはテナントとは接触しないことが推奨されます。
良くも悪くも賃貸物件運用は「ビジネス」と割り切るべきであり、過度にテナントと仲良くなって私情が入るといざ問題が発生した時に複雑な状況になりかねないからです。
けれでも元々の性格がフレンドリーなAさんは管理会社は使いつつも、何かのきっかけで自分の物件に立ち寄った際に玄関先にいたBさんを見つけ、自分がオーナーであることを告げて立ち話をする機会がありました。
ほぼ同じ年齢であった二人は意気投合し、それからお酒を一緒に飲む機会も出てきました。
親交を深めた上で、Bさんは仕事の契約が続く限りAさんの物件で暮らし続けることは間違いないだろう雰囲気になっていったのです。
そんな好スタートに見えたAさんの賃貸物件ですが、2年目の冬にとある出来事が起こりました。
その地域はアメリカ北部にあり、冬は毎年のようにそれなりの積雪量を記録します。
この点は賃貸が開始されてから1年目も2年目も変わらなかったのですが、暖かい州から引越してきたBさんにとっては雪国の暮らしは初めてです。
慣れないながらも1年目の冬を何とか過ごし、それは2年目の冬を迎えた時のことでした。
前日から始まった大雪が降り続き、物件も周囲が雪に覆われてしまいました。
Bさんは大雪のために外に出られず、雪をどけてほしい旨を管理会社に連絡しましたが、すぐには対応出来ないとのこと。
そこでBさんはAさんに直接連絡し、雪を何とかして欲しい旨を伝えてきたのです。
物件を賃貸に出す場合、
「Inhabitancy(インハビタンシー:人が暮らせる環境)」
を整えることはオーナーの責任となります。
その観点では雪が邪魔をして外に出られない状況を改善することは確かにAさんの責任となります。
そこで管理会社がすぐに対応できないと知ったAさんは物件に直接出向き、除雪用器具を渡して
「これを使って自分で対応してほしい」
と告げて家に戻ったのでした。
Bさんはやや不満に思いながらも除雪を始め、なんとか目の前の通りに抜ける歩道を確保することができました。
ところがその日の夜、外に出たBさんは除雪後で滑りやすくなった玄関先の路面で足を滑らせて転倒し、肘を強打してヒビが入ったしまったのです。
問題を大きくしたのは
「玄関前の街灯の電球が切れていたこと」
でした。
この点もBさんは以前から管理会社に伝えていましたが、管理会社の対応が遅かったこともあり街灯がつかないままになっていたのです。
真っ暗な中でテナントを歩かせることもまた
「Inhabitancy(インハビタンシー:人が暮らせる環境)」
を欠いていることになります。
そして間もなく、BさんはAさんに対して訴訟を起こしたのです。
明日に続けます。
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