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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
物件所有の名義についてお伝えしています。
「法人名義でしょうか、もしくは個人名義でもよいのでしょうか?」
という質問に対しての解答は個々で状況が違いますので
- 遺産弁護士
- 公認会計士
等の専門家に相談することをお薦めしていますが、少なくとも私(佐藤)自身は
1.若かりし佐藤は数字上、人生で資産は個人名義で所有しない方がよいと考えた
2.けれども後に法的シールド(盾)の観点から法人所有にする必要があると気づいた
という流れでした。
ここで言う資産とはもっぱら不動産物件のことですが、なぜ
「物件は法的に法人所有にする必要がある」
と理解したかと言えば、それはやはり
「賃貸事業は常に訴訟と背中合わせ」
だと感じたからです。
もっぱら、このことは不動産事業のみならず通常のいかなる商売でも同じことが言えると思います。
商売を通して人様からお金を頂戴する上では、その前にモノやサービスを提供する行為があります。
その提供した行為に対して不備があった、或いはそのサービスを購入したお客が甚だ理不尽に感じることがあれば訴訟を起こし、仮に裁判で
「確かに提供者側に非があった」
と判断されたら賠償命令に応じなくてはなりません。
不動産事業の場合は「住を提供する」というサービスに他ならず、その提供する住環境が法律に基づいて適切に保たれているかが非常に大切なのです。
仮にテナントが怪我をして訴訟を起こした場合、その物件が「個人名義」になっているのであれば当然ながら賠償命令は「その物件を所有する個人」に対して下されることになります。
とりわけアメリカでは医療費は法外な金額になり得ますから、テナントが怪我を追った際にその責任を問われて個人が医療費を負担するとなると結構な金額を支払う羽目になりかねません。
そこでもしも銀行の個人口座にテナントの治療費を負担する金額が残されていなければどうなるでしょうか。
この場合、個人名義となっている物件を売却して賠償金を支払わねばならない可能性もあるのです。
けれども、もしもここで個人ではなく「法人名義」で物件を所有していたとすればどうでしょうか。
法人とはそのまま「法の人」であり、「Entity:エンティティ(法人)」は個人とは別の人物の如く扱われることになります。
そうするとその医療費の請求は個人ではなく「法の人」が所有する物件で発生したわけですから、賠償命令は「法の人」に対して下されるわけです。
昨日のAさんの話の続きにいきましょう。
【免責】本項に投資アドバイスの意図はありません。ご紹介するのはあくまでも佐藤の知識と経験を共有するものであり、ご自身のケースに適用される前には必ず遺産弁護士・公認会計士にご相談ください。
個人名義と法人名義の違い
かくして、Aさんは自分名義で所有する物件で暮らすテナントのBさんから肘にヒビが入る大怪我をした責任を問われ訴訟を起こされました。
話は遡りますが、Aさんはこの物件とは別に2軒目の物件を所有しており、その2軒目は法人名義で購入していた経緯がありました。
その法人名を仮にXYZ, LLCとしておきますが、この2軒目の物件はAさんではなく法の人であるXYZ, LLCが所有していますから、2軒目の場合は
Aさん ↔ XYZ, LLC(物件所有者) ↔ テナント(Bさん)
という関係でAさんはXYZ, LLCというシールド(盾)を持っていることになります。
結果としてAさんの物件所有は
1軒目 … Aさん名義
2軒目 ... XYZ, LLC名義
という形になっていました。
今回の場合はテナントBさんが怪我をした物件の所有者はAさん本人ですから、結果的に敗訴したAさんは個人として数万ドルの支払いを命じられたのです。
しかも不運なことに、Aさんは運用成績を少しでもあげようと物件にかけていた保険は格安のものでした。
今回の賠償責任に対して保険を提供させようと試みたものの、
1.Bさんが夜の外に出た際、街灯がない真っ暗な状態だった(テナントの安全性が確保されていなかった)
2.除雪用具を渡すだけではオーナーの責任を果たしたとはみなされなかった
という、
「十分な住環境が整えれていなかった」
との裁判所と全く同じ判決理由で保険会社は保険適用を却下したのです。
不幸中の幸いだったのは、賠償金は数万ドル単位になったもののAさんが破産宣告をするレベルではなかったことでした。
ここで、もしもBさんの治療費が1千万円単位に及んでいたとしたらどうでしょうか(アメリカでは数日緊急病棟に入るとほぼ確実に費用は1千万単位になります)。
この場合は自分の銀行口座にある口座だけでは足りず、高い確率で物件そのものを売却してBさんに賠償する必要が出てきますから、Aさんは財産のほとんどを失ってしまうことになるのです。
法人所有の場合
そこで仮にテナントのBさんがXYZ, LLCが名義で所有する2軒目の物件で暮らしていた場合、その結果はどうなっていたでしょうか。
この場合、原告と被告はそれぞれ
原告 ... Bさん
被告 ... XYZ, LLC
であり、ここにAさん自身は登場しません。
そうすると賠償命令はAさんではなくXYZ, LLCに下されることになり、XYZ, LLCが賠償金を支払うことになるのです。
正にXYZ, LLCがシールド(盾)の役割を果たすことになり、賠償責任はAさん個人名義の資産に及ぶことはないことになります。
この一件はAさんにとって苦い失敗体験となりました。
少なくともテナントのBさんとは顔見知りとなりお酒も飲んだ仲ですから、Bさんが怪我をした時にもAさんは謝意を示しつつ示談で済ませられるだろうと高を括っていたのです。
ところがその考えは甘く、
「それはそれ。これはこれ。」
の式でBさんは遠慮なく訴訟を起こしてきたのでした。
この一件で高い勉強代を支払ったAさんはすぐに、この1軒目もXYZ, LLCの名義に変更して運用を継続されています。
。。。
実例を多少脚色してお伝えしましたが、ポイントとしては
「事が起こってからでは遅い」
ということになりますから、願わくばこのような訴訟を起こされる憂き目に合わないことはもとより、仮にその「もしも」が起こった場合の為にも名義は法人にした方が得策と言えます。
かくして、当初は
「数字の観点から資産は自分名義で持ちたくない」
と考えていた若い佐藤ですが、その後に不動産業界を深く知り始めて間もなく
「数字上の損得以前に、法的シールド(盾)の意味で法人名義にしておく必要がある」
と気づいたのでした。
法人所有にすべきか否かの答えは個々の状況により異なりますので
「絶対に法人名義であるべき」
と断ずるものではないのですが、法人名義の方が心の安心感に寄与することは間違いないように思います。
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