こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
前回のシリーズで
「法人で物件を所有する」
パターンについてお伝えしてきました。
個々に対するそれぞれの最適解は全く違ってくることになりますので、あくまでも実行前には経験豊富な
- 遺産弁護士
- 公認会計士
等に相談することをお薦めしますが、これら専門家に相談するにしても資産運用において不動産投資を前提とするのであれば、やはり「自分で不動産投資を実践している弁護士や公認会計士」に相談するのが一番良いと思います。
このことはどの業界にも言えることかと思いますが、専門性が深まれば深まるほど
1.その分野の資格を取得できるレベルの知識
2.学んだ知識をもっての実践
この比重は確実に
1<2
となるはずだからです。
不動産業界で言えばリアルターはもちろんのこと、医者や弁護士など最たるものでしょうし、だからこそ一口に医者や弁護士と言っても
◯◯専門医
◯◯専門弁護士
という同じ業界内でも専門家がいることになります。
このような専門性のシステムの背景には
「全ての分野を個人が完全に把握することは不可能」
「知識は元より専門的な経験に裏打ちされた実績が伴わないと(実践に時間をかけないと)深みは出てこない」
「実践経験を欠いた知識のみはクライアントにとって危険ですらある」
という前提があると思うのです(あくまで佐藤個人の見解です)。
先だってとある医者の方がテレビの特集で
「医者も人体については分からないことの方が多い」
「全てを分かっているかのように診察にあたるものの、人体については未知のことの方が多いのです」
とコメントをしておられました。
その真偽は私(佐藤)には分かりようがありませんが、少なくとも不動産業界にしても似たような側面は大いにあると思います。
私自身も知識と経験をブログに綴りながらも、それならば佐藤がアメリカ全州の不動産に関する法律を全て事細かく把握しているかといえばそんなことはありません。
投資分野であれば巡航速度を保てたとしても、不動産弁護士ですらその資格は州ごとに異なっているのが実情です。
とどのつまり、資格があろうがなかろうが
「自分で経験してみないと分からないことが多い」
というのが正直なところで、だからこそ
- 遺産弁護士
- 公認会計士
に相談するとは言っても、
「自分で不動産投資を実践している弁護士・公認会計士に相談する」
のがよいと考えています。
個人名義で所有する場合の必須条件

そこで法律的な観点から法人名義で所有することの優位性についてお伝えしてきましたが、アメリカ国外の方から
「アメリカで不動産投資を実践するのであれば、自分も法人名義にするべきでしょうか?」
というお問い合わせを頂きました。
アメリカ国外からアメリカ不動産に投資される方々の中には
- 法人名義で投資される方
- 個人名義で投資される方
の双方がいらっしゃいます。
結論、「法人名義にするべきか?」と言えばここもやはり
「個人の背景、条件、将来の目的により答えが違う」
ということになりますし、日本国内にお住まいの方であれば日本国内の中で
- 弁護士
- 税理士
等の専門家に相談されるのがよいと思います。
同時にここで強調してお伝えしておきたいのは、
- 法人名義
- 個人名義
このどちらの場合でも共通することではありますが、個人名義でももちろん
「保険加入は必須」
になることです。
不動産物件に絡む訴訟で最も気をつけるべきなのは
「テナントからの訴訟」
になりますが、あくまでも経験則で訴訟が起こる理由の順番を上げるとすれば割合順に
1.テナントが怪我をした場合
2.テナントのゲストが怪我をした場合
3.Inhabitancy(この場合は法的に義務付けられる居住性の確保のこと)が改善されない場合
あたりになろうかと思います。
つまりここで気づいておきたいのは、火事や自然災害等で「物件に大規模な修繕が発生した場合」を前提に
「保険には加入しておこう」
と考える方々が多いのですが、実際には修繕関連で保険を使う場面はないということです。
そもそもが不動産投資は経験劣化により
「修繕が発生するもの」
という前提で実行するべきものですし、購入前のプロジェクションにしても修繕が発生する前提で計算されて然るべきです。
その為に大抵の場合は修繕が発生しても家賃から賄うことになりますし、それ以前にほんのちょっとした修繕はいずれにせよ保険はカバーしてくれないものです。
あり得るとすれば屋根交換のような大規模修繕で保険を使用することはありますが、屋根の場合でも保険は本来の性質が「補償」であるだけに、経年劣化が理由では保険が適用されない場合の方が多いものです。
そこで所有する物件を貸しに出す場合に保険を使用するパターンで多いのが上記でいう
1.テナントが怪我をした場合
2.ゲストが怪我をした場合
になる傾向があります。
そこでもしも法人名義ではなく個人名義で物件を所有する場合、「1」と「2」のどちらのパターンでも資産保護の観点では
「テナント・ゲストが怪我をした場合の補償(裁判結果を含む)」
の準備は必須になり、この補償を確保しておくべく
「賠償責任補償額が高い保険」
への加入は必須なのです。
そこでアメリカで加入出来る賃貸物件用の保険としてはどのような種類があり、どのあたりの項目を事前に把握しておくべきなのでしょうか。
本シリーズでは「賃貸物件用の保険」について掘り下げ、アメリカ不動産投資を検討する方々への情報共有としていきたいと思います。
明日に続けます。