昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
昨日までは保険の主要項目についてお伝えしました。
実際の補償内容は保険会社により大きく違いがありますので、賃貸物件契約期間中に取り寄せる内容をしっかりと精査する必要があります。
とりわけ個人名義で物件を購入する際にはこの保険が唯一の砦になりますので、
General Liability(普通賠償責任保険)
を中心にその保険内容を精査することが大切です。
そこで一連の補償内容に十分に納得した後で、最後によく検討したい内容があります。
それは
Deductible(ディダクティブル)
です。
Deductible(ディダクティブル)の言葉そのものはアメリカで暮らす方々は
- 健康保険
- 車両保険
で聞くことが多いのではないでしょうか。
その性質は全く同じですが、物件に関する補償となる保険についても同様のDeductible(ディダクティブル)が存在します。
Deductible(ディダクティブル)は固定費となるべき保険料の価格を決めると同時に、いざ保険を適用させる際の自己負担にも関わってきますのでその趣旨をよく理解すると同時に契約時にどのレベルのDeductible(ディダクティブル)を選ぶのが適切かを判断する必要があるのです。
ここでは本シリーズの最後として、
Deductible(ディダクティブル)の概要
Deductible(ディダクティブル)レベルの選び方のヒント
について触れておきたいと思います。
Deductible(ディダクティブル)の概要
![](http://wedgerc.com/wp-content/uploads/2021/05/shutterstock_1321321151.jpg)
- 健康保険
- 車両保険
- (賃貸物件を含む)住宅保険
の中でほぼ確実に登場するDeductible(ディダクティブル)という言葉は日本語では
「自己負担額」
と訳するのが適切かと思います。
例えば
「屋根が雹(ひょう)でダメージを受け、修繕に$6,000かかることが分かった」
「査定したところ保険が適用されることになった」
「しかしながら、Deductible(ディダクティブル)は$2,500」
というケースがあったとします。
この場合は時間軸で順番をいえば、
1.$2,500を自分のポッケから支払う
2.残り$3,500($6,000 - $2,500)を保険会社が負担
となるのです。
すなわちDeductible(ディダクティブル)は保険の契約時に約束した金額を自己負担することが前提となり、自己負担以上の部分を保険会社が補償してくれることになります。
そうすると
「なんだ、じゃあDeductible(ディダクティブル)以下の修繕は結局は自分で出さないといけないじゃないか」
という話になりますが、その通りです。
例えば上記のDeductible(ディダクティブル)$2,500の例で言えば、
「『Vandalism & Malicious Mischief:破壊行為、故意による器物損壊 』で$2,000の被害を受けた 」
というのなら$2,500には届いていませんから、保険の適用は不可ということなります。
私(佐藤)も当初はDeductible(ディダクティブル)について
「なぜ保険なのに自己負担があるのか」
「保険の意味がないじゃないか」
などと思ったものですが、関係者に言わせるとDeductible(ディダクティブル)という仕組みは保険会社が経営を安定させる数字的な一助になることはもちろんですが、それと同様に(或いはそれ以上に)
「保険の乱用を防ぐ」
という趣旨もあるのだそうです。
「いや、それは体のいい言い訳でしょう。結局は保険会社が儲かる仕組みじゃないですか。」
というご意見もあるかもしれませんが、私(佐藤)自身は抑止力の一面は否定できないと考えています。
実際にアメリカ社会では(恐らく日本でも)クレーマーは決して少ない数で存在し、それら全てのクレームにまともに対応していたら保険会社として成り立たなくなる可能性は否定できません。
似て非なる例ですが日本では未だに救急車を呼んでも無料だと聞きますし、中には救急車をタクシー代わりのように呼ぶケースもあるのだとか。
アメリカでは救急車を呼ぶと$1,000前後の支払いが発生しますから、タクシー代わりに呼ぶようなことはまずありません。
金額については賛否両論あるところですが、少なくとも
「そのサービスを受けるのにお金がかかる」
となれば、クレーマーによる乱用を防げる一面は否定できないと思うのです。
Deductible(ディダクティブル)レベルの選び方のヒント
![](http://wedgerc.com/wp-content/uploads/2021/05/shutterstock_592707407.jpg)
そこでDeductible(ディダクティブル)については、
「Deductible(ディダクティブル)が高いほど年間の保険料が安い」
「Deductible(ディダクティブル)が低いほど年間の保険料が高い」
という関係があります。
このことは
- 健康保険
- 車両保険
- (賃貸物件を含む)住宅保険
のいずれの場合もほぼ同様です。
例えばやや数字を調整して実例に違い数字を挙げると、ある保険契約書の場合
*Deductible(ディダクティブル)を下記の3つから選択
パターン1
Deductible(ディダクティブル):$2,500.00
年間保険料:$1,250パターン2
Deductible(ディダクティブル):$5,000.00
年間保険料:$1,050パターン2
Deductible(ディダクティブル):$7,500.00
年間保険料:$920
このような感じです。
実際のところ、上の例ではどのDeductible(ディダクティブル)を選ぶべきなのでしょうか。
Deductible(ディダクティブル)を選ぶ際は単純に年間保険料との比較だけではなくその補償内容の細部を精査する必要がありますが、ここは大切な話なのでもう少し深堀しておきましょう。
明日に続けます。
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