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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
バイデン政権による税制改正案についてお伝えしています。
今回の税制改正案の中でアメリカ不動産業界に大きな影響を及ぼすポイント
キャピタルゲイン課税に対する増税
1031 Exchange(テンサーティーワン エクスチェンジ)制度の部分的終了
Stepped-Up Basis(ステップドアップ ベイシス)制度の部分的終了
の中で昨日までは
1031 Exchange(テンサーティーワン エクスチェンジ)制度の部分的終了
についてお伝えしました。
現時点ではあくまでも法案ですのでこのまま可決するかは分かりませんが、もしもそのまま可決するようであれば増税により歳入が充実というプラス面よりも、不動産売買の流動性が大きく減速させるマイナス面の方が大きいかもしれません。
なぜなら
⇛ 現行の投資家の動きを止める(将来交換予定だった物件をそのまま保有)
⇛ 将来の投資家の動きを止める(交換を前提に物件を購入する予定だったが中止)
これら2つが起こるだろうことはほぼ確実で、反対に
「この法案が通るならぜひ投資したい!」
とプラスに考える投資家はほぼ皆無と思われるからです。
すなわち
「物件購入を控える抑圧」
はある一方で
「物件購入を促す引力」
はほぼありませんから、どう考えても
「供給量が増える」⇛ 「物件価格に下げに影響」
という方向に向かわざるを得ないと思うのです。
結果としてそれがどれくらいのインパクトを市場に与えるかは未知数ですが、ひとつ言えることは
1.2021年はここから駆け込み交換が起こる
2.改正法案が可決される場合、来年以降の取引量が減速する
これはほぼ間違いないのではないでしょうか。
そこでここから本シリーズで上げる最後の項目、
Stepped-Up Basis(ステップドアップ ベイシス)制度の部分的終了
について詳細をみていきましょう。
本日も続けます。
Stepped-Up Basis(ステップドアップ ベイシス)とは
最初にStepped-Up Basis(ステップドアップ ベイシス)制度そのものについて、改めてその概要を捉えていきましょう。
例えば自分の父が30年前に$100,000で株を購入していたとします。
父はその株を保有し続け、現在の価値が$500,000と5倍になっていたとしましょう。
その父が亡くなり、息子が株をそのまま相続したとします。
この時点で過去30年間に発生したキャピタルゲインは
$400,000($500,000 - $100,000)
ですから、息子は$400,000もの含み益をもつ株を手にしたことになります。
そこで息子が相続した時点でこの$400,000のキャピタルゲインに対して納税の必要があるかといえば、現行の税法では「キャピタルゲインに対しては無税」となっています。
これがもしも父が生前に$500,000で売却して$400,000のキャピタルゲインを得ていたとしたら父にはこの$400,000に対してキャピタル課税が発生しますが、株の保有権を引き継いだ息子には納税義務はありません。
これはなぜでしょうか。
ここで、会計でよく出てくるBasis(ベイシス)のことを思い出す必要があります。
キャピタルゲインの基準はあくまでもこの
「Basis(ベイシス)に対して『いくら含み益が出たか』」
であり、この例のBasis(ベイシス)は父が30年前に購入した時点の
Basis(ベイシス)= $100,000
でした。
購入時の価値から$500,000まで上昇していたのであればBasis(ベイシス)に対して
$400,000($500,000 - $100,000)
これだけキャピタルゲインが発生してますから、この$400,000に対してキャピタルゲイン課税がなされるわけです。
ところが株を保有していた父が他界した場合、息子は(遺言がない限り)株の保有権を譲渡されるわけですが
「あなたの父のBasis(ベイシス)$100,000を引き継ぎなさい」
とはならず、代わりに
「Basis(ベイシス)は父が死亡した日の価値にステップアップする」
という形で扱われることになります。
すなわち父の生前は
Basis(ベイシス)= $100,000
だったものが、息子が引き継いだ日の価値に上方修正されて
Basis(ベイシス)= $500,000
とステップアップされるわけです。
このことを
Stepped-Up Basis(ステップドアップ ベイシス)
と呼び、結果として息子に対しては
「キャピタルゲインは全く発生していない」
ということになりますから、息子が引き継いだ直後に$500,000で売却した場合は
$0($500,000 - $500,000)
でキャピタルゲイン課税は全く発生しないのです。
そしてこの原理は不動産投資物件の場合も全く同じことが言えます。
例えば父が賃貸物件を$100,000で購入して、過去30年の間にその価値が$500,000になっていたとします。
実際には父はこの間に2回1031 Exchange(テンサーティーワン エクスチェンジ)を使っており、最終的に3目の物件が父が亡くなった時点で$500,000になっていたとしましょう。
この間、不動産の場合は減価償却の概念でBasis(ベイシス)が年々下がってくることはお伝えしたとおりで、すなわち保有期間が長いほど物件価値の上昇に伴いキャピタルゲインは結構な金額になってくるものです。
ところがその父が亡くなり息子が物件を引き継いだ場合はどうでしょうか(ここでは妻帯者のことは割愛します)。
この場合、物件もまたそのBasis(ベイシス)は父が亡くなった日の物件の価値にステップアップし、結果として
1.父は死ぬまでキャピタルゲイン課税を支払わなかった(1031 Exchangeで繰り延べを続けた)
2.息子は$500,000のBasis(ベイシス)でスタート(すぐに売却すればキャピタルゲイン課税はなし)
の2つが実現されることになります。
そこで米国内の不動産に初めて投資される方々から
「1031 Exchange(テンサーティーワン エクスチェンジ)を使うのはいいのですが、雪だるま式になったキャピタルゲインを将来子どもたちが被ることを懸念するのですが」
との懸念を伺うことがありますが、その心配はない理由はこの
Stepped-Up Basis(ステップドアップ ベイシス)制度
にあります。
ところが今回、ここにバイデン政権が待ったをかける法案を提出してきたわけです。
明日に続けます。
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