こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
不動産投資のファイナンシングについてお伝えしてきました。
投資用物件の購入もそうですが、融資を申し込んだ後のやりとりもまた教科書には出てこない世界であり、実際に体験してみないとその全容が見えてこない部分は多々あります。
固定金利にしたいのに変動金利を薦められたり
HELOCにしたいのにFHAを薦められたり
3.5%の頭金のつもりが2.3%でいいですよと言われたり
その時々の金融会社が打ち出す戦略や個人の条件によって目の前に出される選択肢は多岐に渡るものです。
そこで本シリーズではブログで語っても差し支えない範囲で私(佐藤)自身が知るポイントをお伝えしていますが、昨日お伝えした
「ローンオフィサーは何よりもW-2フォームを重視する」
「例外はあるにせよ、原則として固定収入がないと融資は通らない」
「W-2で証明される収入と返済義務から融資上限が算出される」
等は個人への融資の原理原則になってきます。
その上で個人に対する融資枠を青天井にしたいのなら、
⇛ 自分でビジネスをもつこと
⇛ 自分の会社から自分に給与を支払うこと(W-2フォームを発行する)
⇛ Profit and Loss Statement(プロフィット アンド ロス ステートメント:損益計算書)をもって業績が順調なことを証明すること
が有効です。
もちろん勤務先からの給与証明となるW-2フォームだけでも数件は購入できる場合がほとんどだと思いますし、
「賃貸物件は数軒で十分」
というのであれば勤務先からの給与で定められる上限でよいと思います。
けれども
「将来は不動産事業で生活していきたい」
或いは
「老後の自分基金を固めるには数軒では不十分」
と更に上の望む方々の場合は
「自分の事業を伸ばしながら自分にW-2を発行する」
「自分に支払う給与額を徐々に上げていく(← 大事なポイント)」
という方法が考えられます。
そこで最後に本シリーズの締めくくりとして、
「法人名義で融資を受ける場合」
を見ていきましょう。
法人への融資では何を審査されるか

個人で融資を受ける場合のおさらいも兼ねますが、個人融資への審査でローンオフィサーが注目するのは
「W-2フォーム」
であることをお伝えしました。
そこで不動産投資を通してポートフォリオを充実させていく場合、
「勤め先からのW-2フォームだけでは足りない(更に不動産事業を拡大したい)」
というのであれば自分のビジネスを立ち上げて自分にW-2フォームを発行することが有効です。
けれどもここは強調しますが、それならばやがては
「自分の会社を辞めて自分のビジネスに集中する」
のがいいかといえば、勤務先からの給与が安定しているのであればもちろん勤め先は辞めずに
勤務先からのW-2フォーム
自分の会社からのW-2フォーム
これら両方が使えるのであればその方がよいと思います。
不用意に危ない橋を渡ることはお薦めしませんし、成功率を高めるとは「失敗する確率を下げること」ですからわざわざ勤務先を辞める必要はなく、むしろ複数のW-2を使った方が成功率は高まると思うのです。
そこで物件を購入する名義を
「個人ではなく法人で融資を受けたい」
とした場合は個人と比較するとどのような違いがあるのかを見ていきましょう。
法人名義は商用枠になる

まず前提として知っておきたいのは、個人名義ではなく法人名義で融資を受ける際は
「商用枠で扱われる」
ということです。
この点は数日前にも触れたばかりですが、個人枠と商用枠では扱われ方が全く違ってきます。
具体的に例を上げると商用枠の場合は通常は審査そのものに手数料がかかり、しかもその審査手数料は
$1,500 〜 $5,000
と実に高額な範囲でかかります。
個人名義で融資を受ける場合、ほとんどのモーゲージ会社では融資審査を受ける最中に支払うのは
Appraisal Fee(不動産鑑定料)
等の実費のみとなり、最後のクロージングに至ってようやくそこでその他の費用の精算がなされます。
けれども商用枠の場合は審査そのものに多額の手数料が発生するのです。
過去2年以上の実績

なぜ商用枠の場合は手数料が高いのかといえば、精査にそれだけ時間と手間がかかる為です。
すなわちここは個人への融資でも自分のビジネスからのW-2フォームを使うパターンでお伝えした
「Profit and Loss Statement(プロフィット アンド ロス ステートメント:損益計算書)をもって業績が順調なことを証明すること」
ここに絡んできますが、法人名義で融資を受ける際は金融会社が精査するのは個人に出されたW-2フォームではなくビジネスそのものの健全性になります。
法人枠の融資でも
「既存の物件を担保にするリファイナンス」
というであれば話が簡単なのですが、何も担保がない場合は当然ながら金融機関としては
「そのビジネスの健全性と将来性」
に注目して審査するしかありません。
そしてこの査定には専門家による調査が必要となり、審査官は
Profit and Loss Statement(プロフィット アンド ロス ステートメント:損益計算書)
法人としてのタックスリターン(確定申告)
等を手がかりに緻密に審査を行うのです。
自分が所有する法人の場合は当然ながら自分ではなく法人そのものが査定されているわけですから、法人の実績そのものが査定されることになります。
ちなみに法人名義で融資を申し込む場合は
「過去に最低2回、法人としてタックスリターン(確定申告)を行っていること」
が条件となり、設立から2年以下(タックスリターンを1度もしくは全く行ったことがない)場合は融資対象外となりますので注意が必要です。
。。。
かくして法人名義で融資審査を受ける場合、そのコツは
「事業そのものが数字で順調に成長している」
ことであり、より的確にいえば
「純利益が十分」
「キャッシュフローが抜群」
この2点につきます。
とどのつまり、不動産事業を前進させ続けるためには
「本業が拡充し続ける必要がある」
ことが必須であることは間違いありません。
本シリーズではアメリカ不動産に投資する際のファイナンシングについて差し障りのない部分を上げてみました。
何かの参考になりましたら。
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