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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
先だって開催した
「2021年夏パーソナルトレーニング」
の中でも最も多かったご質問、
「今のタイミングで物件購入を進めるべきでしょうか」
「それとも今は様子を見るべきでしょうか」
という、たった今の資産バブルの中での進め方(検証の仕方)についてお伝えしています。
「今購入すると高値づかみになるかもしれない」
「けれども価格が下がらないのであれば、遅くなるほど後塵を拝するだけの結果になる」
そんな焦りにも似た感覚でアメリカ市場を見つめている方々は多くいます。
そして動くべきか否かを判断する際の答えは
「地域市場により答えは違う」
となり、その答えを紐解く糸口は各地域市場の
「需要と供給の変化を見る」
ことにあります。
すなわち
1.需要が増え続ける市場
2.需要が変わらない市場
3.需要が減り続ける市場
4.供給が殖え続ける市場
5.供給が変わらない市場
6.供給が減り続ける市場
と6つに分けれられる中で、より厳密には
1〜6
の元になる力学が複雑に混在した結果が各市場を形成することになりますから、それぞれの市場がどのように変化しそうかを
- 過去の力学
- 今の力学
の双方から俯瞰していくと
「こんな風に進むだろうな」
という力学の総和から、将来を指すベクトルがおぼろげながらも見えてくるわけです。
そこで各地域市場に変化を与える力学について、ここではタイムリーに
Eviction moratorium(強制退去禁止令)
の影響から見ていきましょう。
テナントは守られていた
本来、米国の賃貸市場では家賃滞納への対応は厳しいものがあります。
通常はテナントが家賃を滞納すると即強制退去の手続きが始まるものです。
流れとしては賃貸契約書そのものに
家賃支払い期限から5 〜 10日間
の猶予があり、その期間であれば遅延に対するペナルティを上乗せした上で
「遅れながらも今月の家賃支払いは無事になされた」
と見なされ、翌月から再び期限までに支払うことで契約履行の軌道に戻ることになります。
ところがこの延滞が認められる期日を過ぎても支払いが行われない場合は
「賃貸契約不履行」
と見なされ、
1.30日前通知を送付してこのまま不履行が続いた場合の可能性を警告
2.30日以内に「1」で知らせた内容に従っていない場合は裁判所を通した強制退去手続きを実施
3.強制退去当日は専門家が対応(通常は不動産管理会社以外の専門家)
の段取りで強制退去が進められることになります。
実際は各地域の規定や不動産管理会社と結ぶ賃貸契約において若干の違いは起こり得るものの、手続きとしては概ね上記のような流れです。
日本の場合は強制退去の実施が行いにくい風土があると聞きますが、ともするとこの点は
日本 … 性善説前提
米国 … 性悪説前提
という感性の違いがあるのかもしれません(佐藤個人の主観です)。
良し悪しは抜きに、米国の商習慣では当人の善意に期待しない対応が多いように思います。
「もう少し待ってあげれば、テナントは頑張って家賃支払いのペースを戻してくれるだろう」
そう本人の努力を信じてあげたいところですが、
「ルールに則って厳しくいかねばナメられる」
「言わなければ『それでいいんだ』と思われて滞納が続く」
どちらかと言えばこの性悪説の方が米国では色濃いと思うのです。
ところが、過去には上記の手順で家賃不履行が発生すると契約に則ってモタモタせずに退去命令の手続きに進めていたはずがパンデミック以降は
- コロナウイルスの拡散
- 米国経済の混乱
等への懸念からEviction moratorium(強制退去禁止令)をもって
「家賃支払の滞りがパンデミックの影響によるものであれば、強制退去を実施してはならない」
という法令が出されていたのでした。
7月31日に期限切れ
ところがこのEviction moratorium(強制退去禁止令)がついに、過ぎる7月31日に失効となりました。
もともとこのEviction moratorium(強制退去禁止令)は
CDC(Centers for Disease Control and Prevention:アメリカ疾病予防管理センター)
からパンデミックによる影響を加味して出されていたもので、最近のEviction moratorium(強制退去禁止令)に関する訴訟では
「CDC(アメリカ疾病予防管理センター)に法令を出す権利はない」
という部分が法廷での論点になっていました。
U.S. appeals court finds CDC eviction moratorium unlawful
上記のような論調でEviction moratorium(強制退去禁止令)に違憲を唱えていたわけです。
そしてEviction moratorium(強制退去禁止令)は昨年から延長が繰り返されてきましたがついに昨月末に連邦政府レベルで期限切れとなりました。
ちなみにこのEviction moratorium(強制退去禁止令)が失効したことは日本でもそれなりに報道されているようですが、厳密には各州により期限日に若干の違いがあることは知っておく必要があります。
連邦政府レベルでは確かに7月31日で失効だったのですが、その一方で
ニューヨーク州 ... 8月31日まで
カリフォルニア州 ... 9月30日まで
等、州ごとに失効日が違っています。
米国は連邦政府制度を採用する上で各州がプチ小国のように扱われて自治権がありますから、連邦政府レベルで決まったことでも各州の知事の判断で法令の
- 適用方法
- 適用期間
- 適用範囲
に違いが出ることはよくあり、今回のEviction moratorium(強制退去禁止令)についても知事の判断により差が出ているのです。
そこでポイントとしては2021年夏から秋にかけて1年以上続いたEviction moratorium(強制退去禁止令)は連邦政府レベルでは終了したということになりますが、このEviction moratorium(強制退去禁止令)のインパクトによる市場への影響を見ていきましょう。
明日に続けます。
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