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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
「今の市場をどのように見るか、どのように判断するべきか」
についてポイントをお伝えしています。
米国連邦政府レベルでは先だってEviction moratorium(強制退去禁止令)が
2021年7月31日
に失効していますが、ここからの市場を読み解く際にまずこのEviction moratorium(強制退去禁止令)の失効は一つの大きなポイントです。
ちなみにここは昨日お伝えした部分ですが、厳密には州ごとにEviction moratorium(強制退去禁止令)の失効日には違いがあります。
特に
ニューヨーク州 ... 8月31日まで
カリフォルニア州 ... 9月30日まで
等、民主党の州においては更に延長が行われているのです。
この点はコロナウイルスに対するワクチン接種への反応にも似たところがあり、ワクチン接種の場合は
民主党の州
共和党の州
を比較した時にあたかも「政党毎に接種率が違う」とは否定出来ません。
そして今回のEviction moratorium(強制退去禁止令)の期限についてもまた、これら
民主党の州
共和党の州
では対応が違うように見受けられます。
そこで投資家としてはある程度先を読む上では
「自分が物件を所有する州がどの政党派であるか」
は知っておいてよいと思います。
本日も続けます。
現場への影響は
そこで実際にEviction moratorium(強制退去禁止令)が期限切れとなった地域では、どのような影響が見られているのでしょうか。
前提として、前述の民主党派の州を中心にEviction moratorium(強制退去禁止令)の延長を繰り返していた理由の一つに
「連邦政府から割り当てられた家賃支援基金を全て使いきっていない」
というものがあります。
今回のパンデミックに端を欲する家賃未払いが続く問題に対し、
「家賃が支払えないテナントとオーナーの双方を救済する」
との名目で米国政府は約4兆6千億円規模の予算を各州に割り当てていた経緯があります。
その割当てられた予算を使うまでの流れとしては
1.オーナー、もしくはテナントが家賃支援に申し込む
2.審査が行われる
3.認可後、滞納家賃の80%が政府により支払われる
というものです。
ところがここは予想通りですが、どこの国でも見られるように
「政府による臨時プログラムの手続きはうまく進まない」
という問題が露呈されており、現段階で上記のプロセスが完了するのにかかる期間は約6ヶ月かかっています。
この為に本日の時点でも各州に割り当てられた家賃支援予算は全てが使われておらず、これも理由で6月末にはバイデン政権により
「7月31日までに更に延長を」
と最後の延長が実施されていた経緯があります。
この前提を踏まえ、失効後に見られる動きは下記のようなものです。
強制退去手続きそのものが交通渋滞
正式な強制退去手続きでは裁判所に書類を持ち込むことになります。
厳密には州ごとに失効日に違いがあるものの、7月31日が期限であった州(郡)では8月1日からの動きで当然ながら
「裁判所に強制退去手続きが殺到する」
という事態が始まりつつあります。
平時ならまだしも、過去1年以上に渡って保留されていた手続きが一気に始まっているわけですから当然のことです。
強制退去手続きを行うオーナー側からするといつもの何倍も手続きに時間がかかることになり、早くともここから数ヶ月を要するプロセスになりそうです。
それでなくとも米国の役所はお世辞にも仕事が早いとは言えませんから、結果としてオーナーの立場ではあと数ヶ月家賃収入が見込めない場合もあり得ると思います。
その意味では特に海岸沿いの州のマイナスキャッシュフローに陥りやすい地域では物件維持に苦労し、最終的に維持しきれずに物件を手放すオーナーが増えてくるかもしれません。
申請中の強制退去手続きは不可
そしてこの点は
物件オーナー
テナント
の双方で知らない人々が案外多いのですが、各州政府に割り当てられた特別予算で実施されている
Emergency Rental Assistance Program(緊急家賃支援プログラム)
に申請している最中である場合、
申請中 = 審査結果が出るまで強制退去は出来ない
と定められています。
すなわちこのことを熟知しているテナントの立場にしてみれば、
「自分の暮らす州(郡)が定めるEviction moratorium(強制退去禁止令)最終日のギリギリ前に家賃支援プログラムに申し込む」
とすれば、かなり先まで物件に居座れる理屈になります(*推奨する意図はありません)。
そうすると現状では
⇛ 家賃支援の実現に約6ヶ月の手続き時間を要していること
⇛ 駆け込み申込みが増えれば更に手続き期間が長くなる可能性があること
を踏まえると、Eviction moratorium(強制退去禁止令)が失効するとはいえ「その影響下にあるテナント全員がすぐに退去する事態にはならない」という事実が見えてきます。
。。。
このように現場目線で俯瞰してみると
「約400万人が家を失うことになる」
等の見出しで各メディアが報道していましたが、実際は単純にその全員がすぐに退去することになるわけではないことが分かります。
ただし問題は
「オーナーが持ちこたえきれず、物件を手放すパターン」
です。
Eviction moratorium(強制退去禁止令)そのものが失効して強制退去手続きが遅れる場合、物件所有者の中には家賃未収入の為にこれ以上の維持が出来ずに物件を手放し、結果として物件供給数が増えてくる可能性もあります。
その意味でEviction moratorium(強制退去禁止令)以上に見ておきたいのは
「現在の米国不動産市場の債務不履行率」
になります。
ここからEviction moratorium(強制退去禁止令)に関する詳細と並行して
Mortgage Forbearance(モーゲージ・フォーベアランス:差し押さえ権利行使の差し控え)
の観点から市場を捉えてみましょう。
明日に続けます。
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