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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
Eviction moratorium(強制退去禁止)
についての最新情報です。
家賃滞納の理由がパンデミックによる影響である場合にテナントの強制退去を禁ずるEviction moratorium(強制退去禁止)については、本年までその延長が繰り返されてきました。
「テナントの強制退去は避けるべき」
「これ以上のテナント保護の対応は必要ない」
とここでも米国を分断する議論がなされていますが、そもそもが
「今はテナントを強制退去させるべきではない」
という強制退去禁止の命令は
CDC(Centers for Disease Control and Prevention:アメリカ疾病予防管理センター)
から出されたものでした。
その後、繰り返される延長を背景にアラバマ州とジョージア州の不動産協会を始めとする業界関係者により訴訟が行われ、現在は最高裁判所による
「CDCの命令は違憲(CDCに権限はない)」
との判決により、連邦政府レベルでは強制退去禁止命令が取り消される形となっています。
強制退去禁止の更なる延長を求めてきたCDCの見解としては
「強制退去禁止の措置が政府の家賃支援プログラムの適用数を広げ、かつワクチン接種率を上昇させる」
とするものでした。
しかしながら過去1年の間に延長が繰り返されてきた結果、家賃収入がない中でも維持費の支出が続く物件オーナー側は分が悪い状況にあります。
結果として
「強制退去禁止の措置はここまでで十分だ」
とする流れが強くなり、連邦政府レベルではストップがかけられたのでした。
強制退去禁止に対する各州の対応は
そこで連邦政府レベルでは「違憲」と判断されましたが、あくまでもここは連邦政府の判断であり各州においてどれだけ決定が反映されるかは別の話です。
そして実際にこの強制退去禁止延長の措置については各州或いは郡により対応の違いがみられます。
ここでは州単位に絞って、たった今の時点で
強制退去禁止は有るのか(無いのか)
水道光熱停止は有るのか(無いのか)
を各州ごとに俯瞰してみましょう。
州 | 強制退去の有無 | 水道光熱停止の有無 |
アラバマ | 有り | 有り |
アラスカ | 有り | 有り |
アリゾナ | 有り | 有り |
アーカンソー | 有り | 有り |
カリフォルニア | 無し: 2021年9月30日まで | 無し: 2021年9月30日まで |
コロラド | 有り | 有り |
コネチカット | 有り | 有り |
デラウェア | 有り | 有り |
コロンビア特別区 | 無し: 条件付き | 無し |
フロリダ | 有り | 有り |
ジョージア | 有り | 有り |
ハワイ | 有り | 有り |
アイダホ | 有り | 有り |
イリノイ | 無し: 2021年10月3日まで | 有り |
インディアナ | 有り | 有り |
アイオワ | 有り | 有り |
カンザス | 有り | 有り |
ケンタッキー | 有り | 有り |
ルイジアナ | 有り | 有り |
メーン | 有り | 有り |
メリーランド | 有り | 有り |
マサチューセッツ | 有り | 有り |
ミシガン | 有り | 有り |
ミネソタ | 無し: 条件付き | 可能性あり |
ミシシッピ | 有り | 有り |
ミズーリ | 有り | 有り |
モンタナ | 有り | 有り |
ネブラスカ | 有り | 有り |
ネバダ | 有り | 有り |
ニューハンプシャー | 有り | 有り |
ニュージャージー | 無し:非常事態宣言終了後の2カ月まで | 有り |
ニューメキシコ | 無し | 有り |
ニューヨーク | 無し: 2022年1月15日まで | 無し |
ノースカロライナ | 有り | 有り |
ノースダコタ | 有り | 有り |
オハイオ | 有り | 有り |
オクラホマ | 有り | 有り |
オレゴン | 有り | 有り |
ペンシルバニア | 有り | 有り |
ロードアイランド | 有り | 有り |
サウスカロライナ | 有り | 有り |
サウスダコタ | 有り | 有り |
テネシー | 有り | 有り |
テキサス | 有り | 有り |
ユタ | 有り | 有り |
バーモント | 有り | 有り |
バージニア | 有り | 無し: 州の非常事態宣言終了から少なくとも60日間 |
ワシントン | 無し: 2021年9月30日まで | 無し: 2021年9月30日まで |
ウェストバージニア | 有り | 有り |
ウィスコンシン | 有り | 有り |
ワイオミング | 有り | 有り |
上記のとおり、本日の時点でほとんどの州で
「これ以上の強制退去禁止の措置はない」
と判断されていることが分かります。
さしあたり延長措置を継続しているのは
- カリフォルニア州
- コロンビア特別区
- イリノイ州
- ミネソタ州
- ニュージャージー州
- ニューメキシコ州
- ニューヨーク州
- ワシントン州
の7州とコロンビア特別区のみですから、今の時点で
「米国はほとんどの州で強制退去禁止の措置はなくなっている」
のです。
カリフォルニア州でもこれ以上の延長はなし
そこで全米の中で最も賃貸生活者の数が多いと言われるカリフォルニア州に焦点を当ててみましょう。
カリフォルニア州の場合は強制退去禁止の措置を
2021年9月30日まで延長
と州単位で独自に定めていました。
そしてここがポイントですが、本日の時点でカリフォルニア州としては
「9月30日以降は延長しない」
という姿勢のようです。
より厳密にいえば、カリフォルニア州内で9月30日以降も延長するには州議会への法案の提出が
9月10日(金)
までに必要でした。
ところが今回は強制退去禁止推進派からの動きはほぼなく、州議会全体が
「強制退去禁止は9月30日まで」
と認識している様子。
実際には通常の法案提出期限は切れたとはいえ、特別審議の枠も州政府にはあります。
ただし今の空気としては約半月後の9月30日をもってカリフォルニア州でも強制退去禁止が終了となる見込みです。
詳細を見ると、カリフォルニア州の数字としては強制退去禁止令により今の時点で
家賃滞納世帯数:約75万3千世帯
滞納家賃総額:約2,800億円
と見積もられています。
伝統的にカリフォルニア州の不動産市場の動きは全米の指標になる傾向がありました。
人口の多さからその施策と結果が他州に与える影響が決して小さくないからです。
今回は民主党の流れで強制退去措置の延長が図られたものの、カリフォルニア州でも10月1日以降には強制退去禁止令が州内で失効となる上で、アメリカ不動産市場全体としても年末に向けて新しい展開が現れてきそうです。
引き続き市場をモニタリングしていきましょう。
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