昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
年末にQ&Aシリーズでお伝えしています。
かなり昔のCMですが、20世紀に流行した花王の掃除用洗剤のCMで
「今年の汚れ、今年のうちに♪」
というフレーズがありました(覚えている方も多いのでは)。
大掃除で年内に自宅を綺麗に仕上げ、気持ちよく新しい年を迎えようという意味の込められたこのフレーズは何となく耳に残ってしまいます。
そして私(佐藤)の場合、この時期になると自分の頭に繰り返し流れるがこのフレーズに掛け合わせた
「来年の目標、今年のうちに♪」
です。
「この年末に来年の目標を整えて、年明けからは動くだけ!」
と年明けから動くのではなく、来年の目標達成向けて「年末から動く!」のがマイルール。
実際、年内に実働レベルで来年のめどをつけておけば
「あ、これは来年も目標が突破できるな」
と体感レベルで確信が持てますから、それこそ枕を高くして年明けに初夢を見ることが出来るのです。
かくしてここ最近も
⇒ 年末の仕上げ
⇒ 来年の仕事始め
の両方で怒涛のように大いそがしですが、本年も最後まで駆け抜けていきたいと思います。
そしてこのQ&Aもまた、お読みくださる方々の来年の目標達成の一助となり得ることを願うばかりです。
本日も続けます。
質問
家を購入する際、オファーがアクセプトされたあとのContingency Periodですが、通常どのくらいの期間ですか?又この期間を多少変更するなどSeller側から要求することは可能でしょうか?
初心者の方々用の注釈)
不動産売買の契約には
Contingency Period(コンティンジェンシー・ピリオド)
と呼ばれる期間があります。
Contingency(コンティンジェンシー)
とは一言でいえば
「確定するか分からない・不確かな状態」
です。
不動産売買ではこのContingency(コンティンジェンシー)となり得るものに
Inspection Contingency(インスペクション・コンティンジェンシー)
Financial Contingency(ファイナンシャル・コンティンジェンシー)
の2種類があります。
前者のInspection Contingency(インスペクション・コンティンジェンシー)は専門家を雇って
「物件に瑕疵がないか」
を調査する期間であり、調査結果をもってこの期間内に
「〇〇の箇所に〇〇の瑕疵が確認された」
「クロージングまでに修繕するか、$〇〇〇値引いて頂きたい」
と売主との交渉が可能となります。
後者のFinancial Contingency(ファイナンシャル・コンティンジェンシー)はいわゆる
「ローン審査期間」
です。
この期間内に融資可否が決定し、もしも融資が不可であれば残念ながら物件契約は停止となります。
このFinancial Contingency(ファイナンシャル・コンティンジェンシー)期間内であれば、買主自身はベストを尽くしたわけですから、何らペナルティなしで契約を降りれるわけです。
これらContingency(コンティンジェンシー)に関する前知識をもって、お答えにいきます。
お答え)
質問者様の
「オファーがアクセプトされたあとのContingency Period」
とは前述の2つのContingency(コンティンジェンシー)のうち、最初の
Inspection Contingency(インスペクション・コンティンジェンシー)
のことです。
この売主が買主に物件調査する権利を与えるInspection Contingency(インスペクション・コンティンジェンシー)については、その期間は各州で違いが見られます。
原則として、各州のリアルターは売買の仲介にあたり各州で定めれらた既定の契約テンプレートを使うことが求められています(不動産会社独自の契約書を使うことはまずあり得ません)。
そのテンプレート内には最初から標準の期間が記載されているはずです。
例えばカリフォルニア州の場合はその定型の契約書内に
「BUYER HAS: 17 (or _) Days After Acceptance …」
と記載されており、標準で17日間、もしくは( )内に数字を記入してお互いが同意した期間がInspection Contingency(インスペクション・コンティンジェンシー)の期間となります。
そこで質問者様からは
「この期間を多少変更するなどSeller側から要求することは可能でしょうか?」
と売主視点の質問内容ですが、売主の立場は基本的に物件を市場に出したら
「オファーを待つ身」
です。
最終的にいくつのオファーが入るかは分かりませんが、オファー受ける際には
- 購入契約書
- 添付書類(銀行明細や融資資格を示すPre-Approvalレター等)
が届きますから、届いた購入契約書を見てInspection Contingency(インスペクション・コンティンジェンシー)に何が記載されているかを見ます。
そこで例えばカリフォルニア州の場合でA,B,Cの三つのオファーが届いたとして、それぞれの契約書が
A … 17日間(標準)
B … 10日間(買主による10日でいいですよ、という意思)
C … 17日間(標準)
と3パターンがあれば、それだけを見ればBが有利です。
けれども、もしもオファー価格がCが最も高い、かつ売主としてInspection Contingency(インスペクション・コンティンジェンシー)を短くしたいというのであれば、Cに対して
「Inspection Contingency(インスペクション・コンティンジェンシー)は10日で」
と、カウンターオファーを出すことももちろん自由です。
けれどもこの場合は買主Cから
「10日にする代わりに$〇〇〇の値引きを」
等のカウンターオファーが返ってくることも考えれます。
そこで売主目線でみれば、私(佐藤)自身は
「Inspection Contingency(インスペクション・コンティンジェンシー)の期間は買主の要望に委ねる」
方がよいと考えています。
どのみちFinancial Contingency(ファイナンシャル・コンティンジェンシー)がつく場合はローン審査に30日以上かかるでしょうし、現金購入であったとしてもInspection Contingency(インスペクション・コンティンジェンシー)を短くしてもクロージングにはさほど大きく影響しないからです。
かえって売主からInspection Contingency(インスペクション・コンティンジェンシー)を短くする交渉を持ち出すと
「この物件はそんなにヤバいのか?」
と変に勘繰りを持たせてしまうことにもなりかねませんし、前述のように値引きのカウンターオファーを出させてしまう結果にもなりかねません。
その為、よほどの事情がない限り売主としてはInspection Contingency(インスペクション・コンティンジェンシー)の期間は買主に委ねた方がよいと思います。
反対に、取引に慣れている投資家が買主の場合は要領を得ていて
「Inspection Contingency(インスペクション・コンティンジェンシー)は5日でいいです」
等の売却心をくすぐるオファーもあり得ますが、少なくとも売主からは交渉材料にはしない方が得策のように思います。
投資案件をメールマガジンで無料購読。
下記よりメールアドレスをご登録ください。