こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
新年が開けて早一カ月が過ぎ、アメリカ不動産市場では第一四半期の動きが随分と見えてきました。
まず大きな変化としては、昨年末からのモーゲージ金利の上昇です。
年末からモーゲージ金利が急激に上昇し始め、1月末には平均で0.5%前後の金利上昇が確認されています。
たった今はやや落ち着いていますが、目先の政策金利引き上げを見込んでモーゲージ金利は大きく上昇してきた様子。
この動き一つ見ても、昨年までの「ボーナスタイム」は実質の終了と言えそうです。
モーゲージ金利上昇は昨年から予想されていた通りですし、遅かれ早かれ金利はパンデミック以前の水準に戻り始めることは分かっていたことです。
過去のモーゲージ金利から考えるとたったまだまだ低い水準にあることは間違いありませんが、けれどもいざモーゲージ金利が上昇し始める様子が現実となった今では
「ああ、昨年までのような低金利はしばらくないだろうな」
「この低金利を自分が生きている間に再び目にすることはあるのだろうか」
そんな想いに駆られてしまいます。
そしてモーゲージ金利上昇と同様に予想されていたのは
「駆け込み需要」
です。
⇒ これまでの実質ゼロ金利政策が終了し、モーゲージ金利も上昇し始める
⇒ 購入を迷っていた人々も低金利を捕まえんと購入に駆け込む
そんな動きは確実に見受けられ、その証拠に年始からは
「モーゲージ金利上昇」
と同時に
「購入数上昇」
という動きが数字で確認されています。
この傾向は3月に予想されている政策金利の引き上げに前後して続くでしょうし、そのあたりが駆け込み需要のピークになるのではないでしょうか。
巷では
「政策金利の上昇は3回どころか4~5回もあり得る」
との専門家の意見も聞きますが、いずれにせよ政策金利の上昇に伴って駆け込み需要は沈下し、徐々にパンデミック以前の水準に戻っていくように思います。
ちなみに
「2022年、アメリカ不動産の大暴落は起こり得るのでしょうか?」
という趣旨のご質問を頂きますが、少なくとも「アメリカ不動産市場の中」だけで見ると大暴落につながるような要素はないように見ています。
価格のバランスを定める需要と供給の関係でいけば、昨年暮れにもお伝えしたとおり
需要 > 供給
このパワーバランスは変わる気配がありません。
途切れることのない根本的な需要の強さは価格を押し上げて続けますが、本年に見えるだろう様子は価格の下落というよりも
「パンデミック以前の伸び率に戻っていく」
という流れに落ち着くように思うのです。
キャッシュフローを充実させるには

そこで傾向としては本年からいよいよアメリカ不動産市場全体がパンデミック以前の水準に戻っていくことはほぼ間違いないと思いますが、同時にここには
「資産バブルの置き土産」
として残された宿題があります。
それは
「潤沢なキャッシュフロー投資を実現するには、過去最高レベルの工夫が必要」
ということです。
ここ数年のパンデミック下において米国ではほとんどの地域市場で物件価格が大きく引き上げられてきました。
この傾向は本年から落ち着いてくるとは思いますが、それでも直ちに価格が元の水準に下がるということはなく
「物件価値の伸び率が鈍化する」
という程度で、裏を返せば
「物件価値そのものは上昇を続ける」
というパターンがほとんどのはずです。
そしてここまでのパンデミック下においては
物件価格の伸び
家賃の伸び
この2つはどちらも大きく伸びましたが、伸び率としては
「物件価格の方が賃料よりも大きく躍進した」
という結果です。
そうすると、ここは運用利回りとして
表面利回り = 年間家賃 / 物件価格
で考えると分母の方が大きくなるわけですから、必然的に表面利回りは小さくなります。
そしてキャッシュフローの観点でいえば、
年間家賃 / NOI(Net Operating Income:ネットオペレーティングインカム、純収益)
の式で算出されるキャプレートというよりも、物件価格が高くなったということは
「毎月のモーゲージ返済額が高くなる」
ということですから
キャッシュフロー = NOI - モーゲージ返済額
この式で出てくるキャッシュフローが小さくなる、ということです。
すなわち資産バブル下の置き土産として
「キャッシュフローが過去よりも出にくくなった」
状況があり、家賃上昇率が物件価格上昇率を甚だ上回る状況にならない限りはこの差は埋まらないことになります。
結果として、昨今の米国不動産投資では
「クリエイティブ投資」
なるものがプチブームの様相を呈しています。
今までのように
1.物件を購入する
2.賃貸物件として仕上げる
3.テナントをつけてキャッシュフローを入れ始める
という流れそのものは変わりませんが、厳密にはこの流れにすら「テコ入れ」をしてキャッシュフローを潤沢にするクリエイティブ投資が流行し始めているのです。
流行とは言い過ぎで私(佐藤)が共に動く投資家達の間だけかもしれませんが、このクリエイティブ投資によりパンデミック以前と同等どころか
「パンデミック以前の水準よりも高いキャッシュフロー」
を実現する実例が出てきています。
クリエイティブ投資の手法はそのやり方が千差万別ですが、ここでは分かり易い例として
「平均よりも遥かに家賃収入を大きくする手法」
について見ていきましょう。
明日に続けます。
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