昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
アメリカで投資物件をファイナンシング購入をするパターンで、融資を受ける際の
DTI(Debt-to-Income Ratio:収入に対する借金の割合)
についてお伝えしています。
本シリーズはあくまでも
1 ~ 4戸
の住居用物件に分類される物件への融資ですが、融資を受けられる軒数は
「3軒まで」
「5軒まで」
「いや、10軒までだよ」
と実体験に基づく声を聞く中で、その答えは誰もが正解です。
実際には
「融資を受けられる戸数に制限がある」
わけではなく
「DTI(収入に対する借金の割合)」
に基づいて制限がかけられます。
例えば、分かり易い数字で年収が1.2ミリオン($1=100円で1億2千万円)あるとしましょう。
考え方としてはDTI(収入に対する借金の割合)は
「税引き後の可処分所得」
ではなく
「税引き前の収入」
であり、この収入に対して
「43%以上の借金はNG」
とされています。
そうすると税引前の年収が1.2ミリオンであれば
1ヵ月の収入:$100,000($1,200,000 / 12ヵ月)
であり、
「毎月の返済額は$43,000($100,000 × 43%)まで許容できる」
ということになります。
そこで今のアメリカ中西部であれば、新築に近い中古コンドミニアム物件が
$150,000前後
で購入可能であり、HOAを含めると毎月のモーゲージ支払いは$1,000程度です。
これをキリよく$1,000で考えると
「毎月の返済額は$43,000まで許容できる」
というのであれば、毎月のモーゲージ返済額が$1,000の物件であれば
43($43,000 / $1,000)
で、単純計算で
「中西部の新築に近いコンドミニアム物件を43軒購入できる」
となるわけです。
新築に近い条件であれば修繕費もほとんどかからず、かつ屋根や外壁の修繕はHOAが受け持つことになります。
そこで保守的な数字で毎月のモーゲージ支払い後のキャッシュフローは$200程度とすると
$8,600($200 × 43軒)
と毎月$8,600、年間にして
$103,200($8,600 × 12ヵ月)
のキャッシュフローとなります。
また仮にこれらの物件をモーゲージ完済まで所有するのなら、融資額はそのままエクイティに転換されてしまい
$6,450,000($150,000 X 43軒)
と、仮に物件価格が全く変わらない場合でも将来はほぼ6.5ミリオンの純資産を所有することになります。
現実には年収1.2ミリオンであれば住居用物件よりも商業アパート物件の方がキャッシュフローは成績が良くなりますが、いずれにせよ数字で見ていくと
「DTI(収入に対する借金の割合)で計算すると、自分は投資用の住居物件は何軒所有できるのか?」
の見立ては十分につくのではないでしょうか。
借金を減らす
そこで住居用物件に投資する際の軒数上限は
「DTI(収入に対する借金の割合)に大きく左右される」
ことがよく分かりますが、ということは
「一軒でも多く購入してポートフォリオを拡大していきたい」
というのであれば、ファイナンシング購入においては
「DTIを改善する」
ことがキモになりそうです。
ここでいう改善とは「DTIの割合を下げる」という意味であり、上限が43%のところを
35%
30%
25%
と下げていければそれだけ多くの物件を購入できる可能性が出てくることになります。
そのDTIを小さくする方策は至って単純で
⇒ 収入を増やす
⇒ 借金を減らす
この2つにしか答えはありません。
ただし収入を増やすにせよ借金を減らすにせよ、事はそう簡単に運ばないもの。
特にサラリーマン収入のみの場合はその収入額は自分でコントロールできるものではなく、願わくば年に一度あるかないかの昇給で金額が上昇する程度です。
そこで収入を上げるよりも先に考えたいのが
「借金を減らす」
です。
とりわけ
「これから本契約に入って融資審査を受ける」
というのであれば、本審査が始まる前に
「自分はどれくらいの借金があるのか」
「ここからどれくらい借金を削ることが出来るのか」
をよく調べ、出来る範囲で借金を減らしておく方が得策だと思います。
自分が暮らす物件の
- 賃貸物件の家賃
- モーゲージローン
等はさすがに削りようがありませんが、それでも大別すると
⇒ 生きていくのに必須の借金
⇒ 無くとも困らない借金
の2種類がある中で、後者の無くても困らない借金は削っておいた方がDTIの改善につながります。
また佐藤はCPA資格を有していませんのでブログでの言及は避けますが、
- 家賃
- モーゲージ
- カーローン
これらの生きていくのに必須の借金ですら、DTIに影響しないように削り取る裏技もあります。
日常の生活に影響を及ぼさない必須の借金も削っておくことで
借金の絶対値が下がる ⇒ DTIが下がる
という状況を生み出しておくわけです。
そこで
DTI = Total of Monthly Debt Payments(月間返済額の合計) / Gross Monthly Income(月間総収入)
この公式の中で分子となる借金を小さくなることはDTIの割合を小さくしていきますが、その次にもう一つ改善できるのが分母の月間総収入です。
分母の数字が大きくなればそれだけDTIは小さくなりますから、分子の改善に加えて今度は分母の改善に焦点を当ててみましょう。
明日に続けます。
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