昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
今のアメリカ不動産市場の動向の中で私(佐藤)が最も注意している
Affordability(アフォーダビリティ)
についてお伝えしています。
昨日までは
2019年 〜 2021年
の3年間のAffordability(アフォーダビリティ)の推移、そして2021年のAffordability(アフォーダビリティ)を月別に見ることでその傾向を捉えてきました。
数値の動きを見る限り、
「パンデミックから2021年までのボーナスタイムは終わり、物件購入に手が出せない傾向が顕著になり始めている」
「2022年も2021年までの推移を踏襲している」
「2022年末までにAffordability(アフォーダビリティ)の数値はより下がる可能性が高い」
ということが言えます。
ついでに言えば、このAffordability(アフォーダビリティ)の推移が2022年においては
「変化は一定なのか、それとも加速するのか」
と言えば、
「Affordability(アフォーダビリティ)指数の下げは加速する公算は高い」
と見ています。
なぜなら、
⇛ 金利上昇
⇛ ロシアとウクライナ情勢からの影響
この双方が人々の生活を直撃するからです。
ここをもう少し詳しくいきますが、Affordability(アフォーダビリティ)の公式は
Median Family Income / Qualifying Income × 100
でした。
そして分母の「Qualifying Income」については、より厳密には
Based on a 25% qualifying ratio for monthly housing expense to gross monthly income with a 20% down payment.
(意訳:頭金は物件価格の20%で月のグロス収入に対する毎月の居住費が25%)
と定義されています。
ここで
「月のグロス収入に対する毎月の居住費が25%」
という部分に注目すると、
物件価格 ⇛ 上昇中
であれば当然毎月の居住費(ローン返済額)は大きくなり、かつ
金利 ⇛ 上昇中
この金利上昇が返済額上昇の相乗効果をもたらして、
「居住費を大きく上昇させる」
という結果になります。
そうするとこれを25%に保つには結構な収入が必要になりますから、膨れ上がる分母に対し、物件価格と金利の上昇に追いつかない収入は後塵を拝してしまい
「Affordability(アフォーダビリティ)指数は加速度的に下がる」
ことが予想されるのです。
高値が高値を叩く向こうに
そうすると、本年以降のアメリカ不動産市場では
Affordability(アフォーダビリティ)指数
をもって推し量るに2つの傾向が見えてきます。
1つには
「どこかの時点で価格調整が起こる可能性」
そしてもう1つは
「Affordable Housing(アフォーダブル・ハウジング)の需要が高まり続ける可能性」
です。
ちなみにここ数日に渡りお伝えしているAffordability(アフォーダビリティ)に関するシリーズでは近年の指数を取り上げていますが、Affordability(アフォーダビリティ)そのものの問題は今に始まったことではありません。
ここを補足的に振れておくと、
物件価格の上昇率
賃貸価格の上昇率
これら2つに対して
「長年に渡り、世帯収入の上昇率は追いついていない」
これが事実です。
具体的には、米国では
1960年 〜 2017年
の期間、それぞれの変化は平均で
物件価格の上昇率:121%
賃貸価格の上昇率:72%
であったのに対し、
世帯収入の上昇率:29%
と、物件価格と家賃の上昇率に収入の伸びが全く追いついていません。
ただしここはあくまでも平均値の話であり、
「給与が上がる人は上がる」
「給与が上がらない人はほとんど上がらない」
すなわち
「経済格差の拡大」
のもう一つの証拠でもあります。
この前提で、本年以降の傾向としては
「すでに物件購入が難しい層が増えている中で、ここからは加速度的に物件が購入できない層が増えてくる」
と見立てられることになります。
これが、
「米国はRental Nation(賃貸物件に暮らすことが当たり前となる国)になる」
という傾向が顕著化してくる理由です。
だからこそアメリカ不動産市場全体として
「賃貸に対する需要は高まり続ける」
ということが言えるわけで、その中でも特に人々が手を出しやすい
「Affordable Housing(アフォーダブル・ハウジング)」
については一層のことその需要が高まり続けると思います。
一言でまとめると、不動産投資家目線では
「アメリカでのキャッシュフロー型不動産投資は有利になり続ける」
ことになり、
「小ぶりで手頃な一戸建て」
或いは
「中西部のアパート物件」
等はより人気が高まってくるのではないでしょうか。
過去からの傾向と今起こる現象を俯瞰した上で先を見通すと、アメリカ不動産市場では
「リーズナブルな賃貸価格で住環境を提供する行為は推奨される」
「キャッシュフロー投資の未来は明るい」
と言えると思うのです。
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