昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
本年3月、アメリカ不動産市場では大きなターニングポイントを迎えたように思います。
3月中旬にFRB(連邦準備制度理事会)がゼロ金利政策を実質的に終了させて政策金利の上昇を実施。
それに伴い世界経済が反応し始めているのは周知のとおりです。
ロシアとウクライナの情勢の影響で日常生活で必要な物価が上昇し続けており、不動産業界にも大なり小なり影響が見受けられます。
顕著なのは
⇛ 需要に対する圧倒的な供給不足による価格高騰
⇛ 金利上昇
この2つの力学からの圧により、先日確認したようにAffordability(アフォーダビリティ)の指数も急激に下がり始めています。
特に金利については以前から3月を皮切りに上昇し始めるだろうことは概ね分かってたため、その直前に「駆け込み需要」なる様子が見られていたのです。
ところが、その駆け込み需要も3月中旬の政策金利上昇からベクトルが変わってきた様子。
その明白な証拠として昨日はリファイナンス申込み数の変化を見ていきました。
不動産においてリファイナンスを実施する理由は主に
「減少した元本残高でリファイナンスして、毎月の返済額を下げたい」
「高まった物件価値をもって再査定して融資を受け、毎月の返済額が上がったとしても大きくキャッシュアウトしたい」
この2つのいずれかです。
特に後者の場合は緊急性はなく、
「キャッシュアウトしなくとも困らない」
という場合がほとんどです。
けれども昨今の歴史的なゼロ金利政策の中にあっては
「これほど低い金利はなかなかこないだろう」
「物件価値も高まっている。今キャッシュアウトしないと損」
そんな風に考える人々が一斉に動いていた事実があります。
そしてFRB(連邦準備制度理事会)が3月中旬にゼロ金利政策を実施して意向、特にリファイナンスにおいては
「はい、ここまで」
という向きが多く、そもそもがリファイナンス人気のピークが昨年に終わっていた向きからも3月下旬のリファイナンス申込みが
「1週間で75%減少」
という結果が出ました。
かくも経済とは人の心理で大きく動くものだと思わざるを得ませんが、少なくとも「リファイナンス組み」にとっては昨月までのゼロ金利政策の意義はほぼ失われたと捉えてもよいのかもしれません。
ファイナンシングの動きは
そこで昨日はリファイナンスの動向を先にお伝えしましたが、肝心なファイナンス(融資申し込み)そのものの動きはどうでしょうか。
リファイナンスの場合は概ね緊急性や必要性は少なく、申込数が激減する様子も分かります。
けれどもファイナンスの動きはそのまま
「需要の変化」
としてのバロメーターになるものです。
そこで3月中旬以降の一週間のリファイナンスとファイナンスの申込み数増減を比べてみると、
リファイナンス … 75%減少
ファイナンス … 2%減少
と、2%の減少に留まったようです。
ちなみにファイナンスについて詳細を見ると、
30年固定金利
コンフォーミングローン(融資額は$647,200以下)
頭金20%
の条件で
金利 :4.27% ⇛ 4.50%
ポイント:0.54 ⇛ 0.59(オリジネーションフィーを含む)
となっています。
モーゲージの世界ではすっかり4%台が定着し始めた感があり、更にここからも金利が上昇していきます。
そんな中で激減したリファイナンスに対し、ファイナンスそのものは前週比で2%のみの申込み減だったとのこと。
このことは需要に対する鈍化の現れとも言えますが、ゼロ金利終了となった後の反応としてはそれほど大きな減少ではないように思われます。
駆け込み需要は鈍化しつつも、需要そのものは手堅いことが裏付けられていると思うのです。
とはいえ、それ以上に注目しておきたいのはファイナンス申込数の前週比ではなく昨年比の方です。
不動産購入におけるファイナンス申込みの場合、その申込数は需要に対する反応に直結するべき数字になりますが、3月下旬の「2%減」の動きを昨年同時期との比較で見ると
前週比:2%
昨年比:12%
と、昨年2021年3月の同時期と比較すると12%も落ちているようです。
すなわち、ファイナンスの動きを見る限りは間違いなく昨年よりも需要が減少していることが分かります。
また補足すると、ファイナンス申込みの内訳はいつの時期も概ね
新規ファイナンシング(物件を初購入):80%
リピートファイナンシング(引っ越し等で2件目以降を購入):20%
と、8対2の割合になっています。
つまり全体としては新規に物件購入を希望する世帯が圧倒的に多いことになりますが、物件初買いの動きもまた金利上昇の動きを受けて鈍化しているということです。
とはいえ、金利が最も低い水準にあった昨年比では12%の下げとはいえ、ゼロ金利政策の終了宣言を受けても2%しか下がっていないということはやはり需要の底の厚さを感じさせます。
注目するべきはここから夏に向けてのピークタイムの中で
⇛ 本来起こるべき季節上の需要増大
⇛ 金利上昇による下げの抑圧
これら正反対の力学がどのような結果を出してくるかです。
恐らくは金利上昇の影響はそれなりに大きくなり、需要の減少により物件価格の上昇率も落ち着く方向に進むのではないでしょうか。
それは価格の暴落に進むというよりも、
「パンデミック以前の水準に戻り始める」
と表現するほうが適切なように思います。
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