こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
アメリカ不動産投資でより良い物件管理を実現するべく、物件構造についてお伝えしています。
Structure(ストラクチャー:構造)
Function(ファンクション:機能)
Finish(フィニッシュ:仕上げ)
の中で、今日からは最後のFinish(フィニッシュ:仕上げ)です。
Finish(フィニッシュ:仕上げ)
Siding(サイディング)

昨日までに
Structure(ストラクチャー:構造)
Function(ファンクション:機能)
までお伝えしてきましたが、ここからは建物構造の最後の仕上げ個所となります。
まず、Finish(フィニッシュ:仕上げ)に相当する部分で最も代表的なのが
Siding(サイディング)
です。
Siding(サイディング)はいわゆる外壁であり、壁をして屋内を守ると同時に外観を魅せる上でも重要な役割を果たします。
現代のSiding(サイディング)素材は主に
Vinyl Siding(ビニール製サイディング)
Hardie Board(ハーディボード)
のいずれかであり、雨風に対する耐久性の高い素材として使われています。
ちなみにSiding(サイディング)素材として全体、もしくはその一部に
Brick(レンガ)
が使われている場合もあり、その外観から
「木製ではなくレンガ造りの家だ」
と勘違いされてしまう場合がよくあります。
このことは特に日本に在住する投資家の方々にとっては
- 木造の家
- レンガ造りの家
この2つは確定申告の際の耐用年数に違いを出してしまいますので非常に重要なポイントです。
そこでたまに
「会計士よりレンガ造りの家ですよね、と言われています」
「木造であることを証明できないでしょうか」
とのご相談を受けることがありますが、一番簡単なのは役所に記録されている建物素材の情報を証拠として提出することです。
或いは役所に十分な情報が存在していない場合、物件購入時に専門家により行われた物件調査報告書内に建物の素材が明記されているはずですから、そちらを提出することで木造であることを証明するとよいと思います。

またSiding(サイディング)の素材について注意しておきたいのは
Asbestos Siding(アスベスト・サイディング)
です。
Asbestos(アスベスト)は日本でもよく知られている天然鉱物繊維の石綿(いしわた)であり、「奇跡の布」と呼ばれ過去には
- 耐火材料
- 保温材
- ブレーキ
- 摩擦材
- 建築材料
などに使われてきました。
実際に1970年代まではアメリカ物件のSiding(サイディング)にもAsbestos(アスベスト)が使われており、耐熱・耐火性の機能を採用して建物のSiding(サイディング)として使われていたのです。
特にアメリカでは1955年までの木造物件であれば、高い確率でAsbestos(アスベスト)が使用されていると思います。
そこで物件管理の観点でSiding(サイディング)に修繕の必要がある場合、1955年以前の物件であればAsbestos Siding(アスベスト・サイディング)であるかを事前に調査した方がよいと思います。
その調査結果がAsbestos Siding(アスベスト・サイディング)であることが確実であれば、その修繕も専門家に依頼する必要があります。
その際は壁全体からAsbestos(アスベスト)素材を抜くことも考えられますが、この方法は専門家の手を借りて結構な金額になる大掛かりな工事となりますので得策ではありません。
そこで
「Asbestos Siding(アスベスト・サイディング)は交換されなければならない」
という法律もないことから、 Asbestos(アスベスト) が外に漏れないようにしっかりと蓋をする修繕が専門家により必要となります。
またこの点はAsbestos(アスベスト)と同様に
Lead-based Paint(鉛製塗料)
にも同じことが言えます。
かつてアメリカ物件の塗料には鉛が使われていましたが、その後に鉛そのものが人体には有害であることが証明されて以来、1978年からはLead-based Paint(鉛製塗料)が禁止されている経緯があります。
けれども Asbestos(アスベスト) と同様に
「Lead-based Paint(鉛製塗料)は塗り替えなければならない」
という法律はなく、Lead-based Paint(鉛製塗料)が使われている可能性のある物件の場合は
- 物件購入希望者
- 入居希望のテナント
のいずれの場合でも、契約時にLead-based Paint(鉛製塗料)が使用されている可能性を知らせておくことが義務付けられているだけです。
ちなみにAsbestos Siding(アスベスト・サイディング)の場合は
- 物件購入希望者
- 入居希望のテナント
に対してAsbestos(アスベスト)使用を知らせる義務はなく、Siding(サイディング)として使われてはいても人体に対して剝き出しにはなっていない前提ですから交換義務もありません。
唯一、何らかの理由で部分的にも交換が必要となる場合は前述のように専門家による修繕作業は必須となりますので、古い物件を所有する場合はSiding(サイディング)の素材については確認しておきましょう。
明日に続けます。
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